2026/9/15
草加市立病院と越谷市立病院の経営差は、院内の努力だけでは説明できません。両院が置かれている地域の病院配置が違うからです。
越谷市内には、481床の越谷市立病院に加えて、928床の獨協医科大学埼玉医療センターがあります。獨協医大は救命救急センター、集中治療、周産期母子医療、がん、心臓血管外科などを備えた大学病院です。市内の二つの大病院だけで計1400床を超えます。
一方、草加市立病院は380床ですが、草加、八潮、三郷、吉川で構成される埼玉県東部(南)保健医療圏では最大で、唯一の公立・公的病院です。この区域内には三次救急病院がなく、草加市立病院は地域の二次救急、心臓・脳血管、小児、がん医療を引き受ける立場が明確です。
この違いは患者の集まり方にも影響します。高度な救急や難しい手術を必要とする患者が獨協医大へ搬送・紹介されれば、越谷市立病院の入院単価や手術件数には不利に働く可能性があります。ただし、獨協医大の存在だけを経営不振の理由にはできません。低単価の再診患者が多いこと、救急の断り、専門医の退職、リハビリ体制の不足は、越谷市立病院自身が改善すべき問題です。
重要なのは、獨協医大を競争相手だけとして見ないことです。越谷市立病院は獨協医大から救急医の派遣を受けています。三次救急や極めて高度な医療は獨協医大、市立病院は二次救急、脳卒中、小児・周産期、地域のがん治療、計画手術を担い、回復後は診療所や回復期病院へ戻す。役割を明確にすれば、二つの病院は補完関係になります。
越谷市立病院が目指すべきなのは「小さな獨協医大」ではありません。大学病院が高度医療へ集中できるよう、中等症の救急や地域の入院を確実に引き受けることです。そのためには、病院間で救急の受入基準、転院、診療科別の分担、医師派遣を具体化する必要があります。
草加には「地域最大の公立急性期病院」という分かりやすい立ち位置があります。越谷は大学病院と市立病院が併存するからこそ、市立病院でなければ担えない仕事を、より明確にしなければなりません。経営再建とは、単なる経費削減ではなく、病院の存在理由を作り直すことでもあります。
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