2026/9/11
「学校まで3キロ」と聞くと、遠いと感じる人もいれば、歩ける範囲だと考える人もいるでしょう。しかし、大人が身軽に歩く3キロと、低学年の児童がランドセルを背負い、真夏や雨の日にも毎日歩く3キロは同じではありません。距離だけでなく、年齢、時間、暑さ、交通量を重ねて見る必要があります。
レイクタウンに隣接する東町五丁目の千疋地区から大相模小学校までは、約3キロあります。越谷市議会でも、遠距離通学と暑さ対策が取り上げられました。仮に時速4キロで休まず歩いても片道45分、往復90分です。年間200日通うとすれば、単純計算で約300時間になります。信号待ちや集団登校、低学年の歩く速さを考えれば、実際の負担はさらに変わります。
同じ条件で6年間通えば、通学に使う時間は単純計算で約1800時間です。これは連続した時間に直せば75日分になります。もちろん歩く速さや登校日数によって結果は変わりますが、通学距離を一日だけの負担ではなく、毎日積み重なる時間として見るための目安にはなります。
文部科学省は、公立小中学校の適正配置について、小学校はおおむね4キロ以内、中学校はおおむね6キロ以内という目安を示しています。ただし、これは学校統合や配置を検討する際の一つの基準です。4キロ未満なら安全で、負担がないという合格証ではありません。文科省の手引も、スクールバスを含む交通手段や通学時間を踏まえて判断する考え方を示しています。
都市部の3キロには、幹線道路、信号のない横断箇所、狭い歩道、自転車との交錯があります。さらに近年は、登校時間から厳しい暑さになる日があります。同じ距離でも、日陰のある道と直射日光を受け続ける道、歩道のある道と路側帯しかない道では、負担も危険も違います。地図上の直線距離だけでは、子どもが引き受ける通学環境を測れません。
学区変更を検討するときは、教室数だけの表では足りません。街区ごとに、対象児童数、変更前後の実際の通学経路、距離、所要時間、横断する主要交差点、歩道の有無、夏季の日陰を同じ図面へ重ねるべきです。保護者の感覚だけ、市の感覚だけに頼らず、条件を数字と地図で共有すれば、どこから優先して対策するかが見えてきます。
そして、例えば徒歩30分や2キロを超える児童が一定数いる場合は、通学バス、学区の選択、集合場所からの送迎、日陰や給水・休憩場所の整備を自動的に比較する仕組みにします。必ずバスにするという話ではありません。運行費、安全性、利用人数を並べて選べるようにするのです。学校の配置は、空いている教室へ子どもを当てはめる作業ではありません。子どもの一日の時間と安全まで含めて決めるものです。
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