2026/8/19
道路沿いの植え込みは、緑化という言葉だけで当然のように整備されてきました。しかし、道路本来の目的から考えれば、全ての植え込みを維持する必要があるのか、一度立ち止まって検証する必要があります。
道路の第一の役割は、人や車が安全に通行できる空間を確保することです。ところが、歩道の一部を植樹帯が占めることで、車椅子やベビーカー、自転車がすれ違いにくくなっている場所があります。枝が歩道や車道へ張り出せば、歩行者や自転車はそれを避けて通らなければなりません。
特に問題なのが、交差点、横断歩道、沿道施設や駐車場の出入口です。低木があると、運転者から歩行者や自転車が見えにくくなり、反対に歩行者側からも接近する車が見えにくくなります。少しずつ車を前に出さなければ左右を確認できない道路は、それ自体が危険な構造です。
これは単なる印象論ではありません。埼玉県の「街路樹マネジメント方針」も、低木植樹帯のある道路では、枝の伸びや雑草の繁茂が交差部や出入口の見通しを妨げ、歩行者や自転車の通行に支障を与えていると整理しています。県に寄せられた植栽関係の苦情では、雑草繁茂が半数以上を占めていました。埼玉県街路樹マネジメント方針
植え込みには、景観、木陰、歩車道の分離などの効果があります。しかし、それらは道路ごとに確認すべきものです。幅の広い幹線道路と、車椅子同士がすれ違えない歩道を同じ基準で扱う理由はありません。
まず、交差点や横断歩道、駐車場の出入口付近では、見通しを遮る低木を原則として撤去する。狭い歩道では、植え込みより歩行空間を優先する。自転車交通量が多い路線では、撤去した部分を自転車通行空間へ転換する。植栽を残す場合も、枝が伸びた状態ではなく、通常の管理状態で安全性を確保できるかを判断基準にすべきです。
高木についても、一律に残す、一律に切るという話ではありません。十分な木陰をつくる樹木、地域を象徴する並木、車道と歩道を安全に分ける樹木には、残す理由があります。一方、根が舗装を押し上げ、信号や標識を隠し、通行を妨げる樹木は、更新時に植え替えない選択肢も必要です。
行政は「緑があること」を成果にしがちです。しかし、本当に測るべきなのは植栽の本数ではありません。事故防止、視認性、通行可能な幅、管理費、苦情件数などを数字で評価する必要があります。
道路を安全にするため植え込みを剪定し続けるより、不要な植え込みそのものをなくした方が、問題の発生を防げる場合があります。目先の手入れを繰り返すのではなく、危険を生む道路構造を源流から見直すべきです。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>山田 信一 (ヤマダ シンイチ)>【道路の植え込み】 道路の植え込みは本当に必要か 安全な通行を緑化より優先する