2026/8/20
社会で新しい問題や行事が発生するたびに、新しい法律が作られます。個別の課題に迅速に対応できる反面、同じ分野に似た法律が並び、定義、申請手続、監督権限、報告義務などが法律ごとに少しずつ違う状態を生みます。
これを後から一本ずつ廃止するだけでは、法体系全体は整理されません。似た法律をまとめ、その政策が何を目的としているのかを源流までたどり、共通する原則から組み直す必要があります。
実際に行われた代表例が会社法です。会社に関する規定は、かつて商法第二編、有限会社法、商法特例法などに分散していました。しかも多くが片仮名文語体で、株式会社と有限会社などの間で、似た制度が別々に定められていました。
法務省の法制審議会は、これらを平仮名口語体に改め、用語と解釈を整理し、一つの法典として再編成する方針を示しました。2005年に会社法が制定され、有限会社法と商法特例法は廃止されました。単なる文章の書換えではなく、分散した制度を統合し、会社類型間の不均衡を是正した事例です。法務省「会社法制の現代化に関する要綱」
この方法は、国際行事の特別措置法にも応用できます。ワールドカップ、オリンピック、万博、国際園芸博覧会では、行事名は異なっても、法律で行う措置には共通部分があります。
主催法人の指定、国の補助、国有財産の使用、国や自治体の職員派遣、寄附金付郵便葉書、税制上の特例、主務大臣への報告、立入検査、終了後の清算などです。
これらを「大規模国際行事特別措置基本法」のような共通法にまとめ、個別の行事については国会の承認を経て期限付きで指定する。指定期間が終われば、清算に必要な部分を除いて特例が自動的に失効する。この方法なら、大会ごとに似た法律と施行令を増やし続けずに済みます。
ただし、包括法にすればよいというだけではありません。「国家的に重要な意義を有する行事」のような抽象的な言葉だけでは、何を対象にするかが政府の裁量に委ねられます。参加国数、国際機関による承認、開催期間、事業規模、国の負担上限など、対象を選ぶ客観的な基準が必要です。
個別指定の際には、どの特例を、何のために、いつまで適用するかを明示する。国有財産の無償使用や税制上の優遇を認めるなら、その金額を公表し、終了後に実績と効果を国会へ報告する仕組みも必要です。
法律をまとめる目的は、本数を減らすことではありません。一つの政策分野について、一つの共通法を見れば、目的、適用条件、行政権限、国民負担、終了方法が分かる状態にすることです。
源流主義とは、目先の対処にとどまらず、原因を源流までたどり、問題の発生そのものを無くす考え方です。法令整理でも、増えた法律を後から片付けるだけでなく、似た法律が繰り返し作られる構造そのものを改める必要があります。
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ホーム>政党・政治家>山田 信一 (ヤマダ シンイチ)>【法律が多すぎる】 似た法律をまとめ、源流から組み直す 継ぎ足し立法から統合法へ