2026/6/10
皆さま、こんにちは。
今回は、これからの日本、そして私たちの地域において避けては通れない、そして私自身が人生の重要テーマの一つとして掲げている「認知症施策と介護保険の未来」についてお話しします。
最新の政府推計によると、令和8年度(2026年度)の国内の認知症高齢者数は約470万人に達すると見込まれています。実に対象世代の8人に1人が認知症を迎える時代であり、決して他人事ではない、誰にとっても身近な課題です。
こうした現状を背景に、令和6年1月に施行されたのが「認知症基本法」です。 この法律の核心は、認知症の方を単に「支えられる対象」として見るのではなく、「共に生きる社会の仲間」として尊重し、本人の意思や尊厳を守りながらバリアフリーな地域をつくっていくことにあります。国や自治体、そして私たち国民一人ひとりがこの意識を持つことが、今まさに求められています。
先日、私が駅前で活動を行っていた時のことです。
一人のご高齢の方から、「家に帰る道(場所)がわからなくなってしまった」と声をかけられました。周囲の皆さまと連携して対応致しました。こうした事態は決して特別なことではありません。いまや全国の街角で、日常的に起こっている現実なのです。
「ちょっと様子がおかしいな」「困っているのかな」と感じたときに、周囲が自然に声をかけられる社会。それこそが、認知症基本法の目指す「共生社会」の第一歩だと確信した出来事でした。
私が地元の取り組みとして高く評価しているのが、神戸市が実施している「認知症神戸モデル」です。
「認知症神戸モデル」とは
市民の皆さまに個人市民税の均等割上乗せとして「年額400円」をご負担いただき、それを財源(約3億円)として、以下の2本柱を市が主導して提供する全国初の仕組みです。
診断助成制度: 認知機能検診・精密検査を無料(または自己負担分を全額助成)で受けられる。
事故救済制度: 認知症の方が万が一、事故等で賠償責任を負った場合に最高2億円まで支給される賠償責任保険を、市が保険料を負担して加入する。
私は長年、医療や介護の現場に身を置いてきた人間として、この制度の素晴らしさを実感しています。
家族だけで抱え込みがちな「早期受診へのハードル」と、外出時の「万が一の賠償リスクへの不安」という、現場が最も頭を悩ませる2大障壁を、市民全体のわずかな相互扶助(年400円)でクリアしている点は、まさに自治体認知症施策の理想形と言えます。
最後に、現場にいた人間だからこそ訴えたい「介護保険制度」への自論を述べさせていただきます。
現在の介護保険は、要支援1〜2、要介護1〜5の「計7段階」に細かく分類されていますが、これが非常に複雑で、ご利用者やご家族、さらには現場のケアマネジャーにとっても分かりにくいものになっています。
私は、この区分を「軽度・中等度・重度」のような「3段階」に大胆に簡素化すべきだと考えています。
なぜなら、現在の7段階の判定基準は主に「身体機能(どれだけ身体が動くか)」に重きが置かれがちだからです。しかし、身体は元気に動くものの、認知症状によって見守りや専門的ケアが24時間必要な方の場合、現在の基準では「介護度が低く判定されてしまい、必要なサービスが受けられない」というギャップ(ミスマッチ)が多発しています。
だからこそ、ベースとなる身体の介護度は3段階にシンプルにし、「認知症の介護度(周辺症状や見守りの必要度)」は全く別の独立した尺度で測定し、掛け合わせる仕組みに変えるべきです。
現場の負担を減らし、本当に困っている人に、本当に必要なサービスが行き届く持続可能な制度へ。
皆さまが安心して暮らせる社会の実現に向け、これからも医療・介護の現場感覚を政策にぶつけてまいります。
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