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介護の担い手は「世界」へ。2026年、日本の介護が迎えた大きな転換点

2026/3/18

 

2026年3月15日に大阪経済大学にて開催された、日本の介護現場の未来を占う重要なセミナー「介護分野における人材確保対策と外国人材の活用」の内容を、一般の方にも分かりやすくブログ形式でまとめました。


介護の担い手は「世界」へ。2026年、日本の介護が迎えた大きな転換点

「最近、介護施設で外国人のスタッフさんを見かけることが増えたな」そう感じている方も多いのではないでしょうか。実は今、日本の介護現場はこれまでにない大きな変革の時期を迎えています。先日開催されたセミナーの様子から、私たちの暮らしに直結する「介護と外国人材」のリアルな今をお届けします。

1. 「2.8万人の減少」が突きつけた現実

これまで、介護職員の数は高齢化に伴って右肩上がりで増え続けてきました。しかし、令和5年度、ついに初めて介護職員数が減少(マイナス2.8万人)に転じました。2040年には、今のままでは最大で57万人ものスタッフが不足するという衝撃的な推計も出ています。もはや「日本人だけでなんとかする」のは限界に来ており、海外から来てくれる方々の力が必要不可欠な時代になったのです。


2. 新制度「育成就労制度」で何が変わる?

2027年度(令和9年度)から、これまでの「技能実習制度」に代わり、新しく「育成就労制度」がスタートします。

これまでの制度との大きな違いは、単なる「実習」ではなく、「日本で長く活躍してもらうための育成」に重きを置いている点です。

キャリアの道筋: 3年間の育成期間を経て、より高度な「特定技能」への移行を目指します。

「転籍(転職)」のルール: これまでは原則禁止だった転籍が、一定の条件(介護分野では人間関係構築のため2年間の制限あり)のもとで認められるようになります。

日本語の重視: コミュニケーションが命の介護現場だからこそ、より高い日本語能力の習得をサポートする仕組みが整います。


3. 鳥取県に見る「地方の挑戦」と「家族のような絆」

セミナーでは、人口最小県である鳥取県の事例も紹介されました。そこには、言葉や文化の壁を越えた温かいエピソードがありました。

「怖さ」が「家族」に変わるまで

最初は「外国の人に介護を任せて大丈夫?」と不安を感じていた入居者様や職員。しかし、一生懸命に日本語を学び、笑顔で接する姿に、今では最高齢84歳の職員が「本当の家族のよう」と目を細めるまでになっています。

生活を支える工夫

「車がないと買い物に行けない」という地方特有の悩みを解決するため、週1回の買い物送迎や、翻訳機・LINEを活用したスムーズな連絡体制など、法人が一丸となって「暮らし」を支えています。


4. 「パート合格制」で国家資格が身近に

外国人スタッフにとって最大の壁は、漢字だらけの「介護福祉士国家試験」*です。ここにも大きな助け舟が出されました。

令和8年1月試験より「パート合格制」導入

一気に全科目に合格しなくても、試験を3つのパートに分け、合格したパートを翌々年まで持ち越せるようになります。これにより、働きながら少しずつステップアップすることが可能になります。


5. 私たちができること

外国人材の受け入れは、単なる「人手不足の穴埋め」ではありません。

彼らが日本を選び、この町で暮らしてよかったと思える環境を作ること。それが、巡り巡って私たちや私たちの家族が受ける介護の質を守ることにつながります。 

日本の介護人材確保政策と外国人材受け入れ


講師: [岡本] (厚生労働省社会保護局福祉人材確保対策技術室長補佐)

本講演は、厚生労働省の岡本氏による、日本の介護人材確保に関する政策動向、特に外国人材の受け入れ制度についての行政報告である。まず、日本の人口減少と高齢化を背景に、介護職員数が初めて減少に転じた危機的な状況を説明する。次に、政府が取り組む「総合的な介護人材確保対策」の5つの柱(処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、魅力向上、外国人材の受け入れ環境整備)を概説する。その上で、国内対策だけでは人材不足を補えないため、外国人介護人材の受け入れが重要であるとし、その主要な在留資格制度である経済連携協定(EPA)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つの枠組みを比較解説する。さらに、人材確保と定着を促進するため、海外現地でのPR活動や国内での学習・生活支援、助成金事業といった具体的な取り組みを詳述する。最後に、近年の制度改正として、介護福祉士国家試験の「パート合格制度」、技能実習に代わる新たな「育成就労制度」、外国人材による「訪問系サービス」従事の解禁といった最新の政策動向について解説する。

知識ポイント

1. 介護人材の状況と国内確保対策

日本の人口推移と高齢化

日本の人口は減少傾向にあり、2040年には約1億1284万人、2070年には9000万人を割り込むと推計されている。2070年には高齢化率が39%に達する見込み。

特に2040年は団塊ジュニア世代が65歳以上、団塊の世代が85歳に達する年であり、重要視されている。

介護職員の必要数と危機的状況

2022年度の介護職員数は実績で215万人であったが、将来的に240万~272万人が必要と推計されており、約25万~57万人の追加確保が求められる。

これまで増加を続けてきた介護職員数は、令和5年度に初めて2.8万人減少し、危機的な状況にある。令和6年度もほぼ横ばいであり、楽観できない。

総合的な介護人材確保対策の5本柱

1. 処遇改善: 介護報酬の臨時改定、処遇改善加算の対象拡大(他職種、訪問リハ、居宅介護支援等)、生産性向上に取り組む事業者への上乗せ加算など。

2. 多様な人材の確保・育成: 介護福祉士修学資金貸付制度(5年間勤務で返還免除)など。

3. 離職防止・定着促進・生産性向上: テクノロジー活用や介護助手へのタスクシフトなど。

4. 介護職の魅力向上: SNSやイベントを通じ、学生や保護者等に介護職の社会的意義や実情を伝え、進路選択に繋げる。

5. 外国人材の受け入れ環境整備: 国内対策だけでは不足するため、外国人材の受け入れを推進。

2. 外国人介護人材の受け入れ制度

制度の概要と4つの枠組み

経済連携協定 (EPA): 平成20年開始。二国間連携が目的。インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に限定。介護福祉士候補者を受け入れ、在留者数は約4,000人。

在留資格「介護」: 平成29年開始。国家資格である介護福祉士の資格取得が要件。在留者数は約2万人で、ベトナム国籍者が多い。

技能実習: 平成29年開始。技能移転が目的。在留者数は約2万人。令和9年度から後述の「育成就労制度」へ移行予定。

特定技能1号: 人手不足対応が目的の即戦力向け制度。在留者数は約6万5千人と急増。介護分野に特定技能2号はない。

各制度の要件と特徴

EPA: 原則4年で国家試験を受験。合格すれば「EPA介護福祉士」として継続、不合格でも一定要件で1年延長可。

在留資格「介護」: 留学生が養成施設で学ぶ「養成施設ルート」と、技能実習生等が実務経験を積む「実務経験ルート」がある。

特定技能1号: 日本語能力(JLPT N4相当)に加え、介護現場でのコミュニケーション能力を測る「介護日本語評価試験」の合格が必須。技能実習2号修了者は試験が免除される。

3. 最近の政策動向と制度改正

介護福祉士国家試験のパート合格制度

背景: 就労と学習の両立困難という課題に対応し、受験しやすくするため。

概要: 令和8年1月の試験から導入。試験を3パートに分割し、合格したパートは翌々年度まで有効となる。

在留資格延長: 特定技能1号の外国人が、①1パート以上合格、②総得点8割以上、③学習意欲あり、の3要件を満たすと、在留期間を最長1年延長できる。

育成就労制度の創設

背景・目的: 技能実習制度を廃止し、従来の「人材育成」に「人材確保」を加えて新たに創設。令和9年度から開始。

概要: 3年間で育成し、特定技能1号への移行を目指す。

主な変更点:

転籍: 本人意向による転籍が可能に。ただし介護分野は人間関係構築を考慮し、転籍制限期間が他分野より長い2年に設定。

代償措置: 2年間の在籍を促すため、事業者は処遇改善加算の取得や「育成就労キャリア支援プラン」の作成が求められる。

厳格化: 管理支援機関の許可制導入、送り出し国との連携強化によるブローカー対策など。

地方への配慮: 優良な事業者・機関が地方にある場合、受け入れ人数枠が緩和される。

介護分野の上乗せ要件: コミュニケーション能力を重視し、入国時に日本語能力N4レベルを求めるなど、技能実習制度の要件が踏襲される。

外国人介護人材による訪問系サービスの従事

令和6年4月から開始。

要件: ①介護職員初任者研修の修了、②1年以上の実務経験、③受け入れ事業者が国が定める要件を満たすこと。

事業者には、利用者への事前説明や相談窓口設置などの遵守事項が課される。

4. 人材確保・定着に向けた支援策

取り組みの2つの柱

海外での人材獲得競争に対応する「海外現地への働きかけ」と、来日後の「国内での定着支援」。

海外現地への働きかけ

試験実施: 海外13カ国での試験実施と、今後の実施国拡大。

魅力発信: PR動画や現地説明会を通じ、日本の介護の魅力を伝えミスマッチを防止。

事業者支援: 事業者が海外で採用活動を行う際の支援。

国内での定着支援

学習支援: 在留資格「介護」取得に向け、ウェブコンテンツ「介護の日本語を学ぼう」(14言語対応・無料)や国家資格取得支援講座を提供。

地域医療介護総合確保基金による助成事業(都道府県):

コミュニケーション支援、資格取得・生活支援(住居費等)、教員の質の向上支援、留学生への奨学金給付支援など。

事業者と外国人材のマッチング支援、海外での人材確保活動への補助、ICTツール(携帯型翻訳機等)の導入支援。

地域レベルでの支援体制(プラットフォーム機能)

自治体が中心となり、地域の関係者が連携して外国人材の支援策(日本語教育、生活環境整備、マッチング等)を検討・実行する「プラットフォーム」の活用が提言されている。

課題

1. 介護職員の処遇改善、離職防止、生産性向上、魅力向上といった国内対策を推進する。

2. 海外現地でのPR活動や試験実施を強化し、日本の介護の魅力を伝えミスマッチを防ぐ。

3. 国内の外国人介護人材に対し、介護福祉士国家試験合格に向けた学習支援や、コミュニケーション・生活支援を提供する。

4. 育成就労制度を見据え、「育成就労キャリア支援プラン」の作成や処遇改善加算の取得など、外国人が定着しやすい環境を整備する。

5. 地域のプラットフォーム機能を活用し、他の事業者や自治体と連携して、外国人材のマッチングから定着までの一体的支援に取り組む。

6. 訪問系サービスへの従事を希望する外国人材に対し、初任者研修の受講と実務経験の機会を確保する。

鳥取県の外国人介護人材受け入れ・定着支援の現状と施策

概要

2026-03-15の時点で、鳥取県における外国人介護人材の現状と、県行政による受け入れ・定着支援の取組を紹介した講演。鳥取県では介護ニーズの増加と生産年齢人口の減少が進む中、外国人材の活用が介護サービス維持の鍵となっている。特定技能・在留資格「介護」の増加、専門学校留学生の動向、初期費用支援や寮整備支援、学習・定着支援、研修・セミナー、先進施設見学会など、段階的な支援施策を詳細に説明。県の目標は在留資格「介護」を持つ人材の増加と県内定着の促進で、更新無制限の強みを活かす。

知識ポイント

1. 鳥取県の地域紹介と背景

鳥取県の特徴

鳥取砂丘があり、冬季には雪が積もる光景が見られることがある。

西に大山があり、県内最高峰の山として紹介。講演者は鳥取砂丘から約15分の場所に所在する鳥取県の位置関係を説明。

水木しげるのゆかりの地、名産として鉄鋼、名古屋港所のふるさとといった地域的文化・産業の言及。

2. 介護人材の需給状況と課題

人口動態と介護需要

鳥取県は人口規模が最小県だが、介護サービス費用は今後さらに増加見込み。

生産年齢人口の減少はすでに始まっており、介護人材の確保を一層進める必要がある。

県内介護人材の推移

県内の介護人材数は少し増えたり減ったりを繰り返しており、人口減に伴い自然体では減少傾向。

需要に応えるため、厳しい状況下で確保を進める必要性が強調される。

3. 外国人介護人材の現状

規模と増加傾向

最新の労働局統計で県内の外国人介護人材は約300人。日本人職員の確保が難しく、外国人は年々増加。

受け入れ開始から約10年未満。初期は大規模法人が中心だったが、近年は中規模・小規模法人にも動きが拡大。

在留資格の構成変化

当初は技能実習が多かったが、最近は特定技能が大きく増加。

県内の介護福祉専門学校に多数の留学生が在籍し、在留資格「介護」取得者も増えつつある。

専門学校の具体動向

今年度の専門学校入学者数は27人で留学生が含まれる。

来年度から日本語学科と一体的に一般教養を含む教育体制を整備予定。

4. 行政の目標と方針

在留資格「介護」の重視

介護福祉士資格取得者を最も技能水準の高い人材と位置づけ、在留資格「介護」を持つ人材の増加を目標化。

在留期間の更新が無制限である特性を活用し、県内定着を促進することが行政の主要目標。

5. 受け入れ・定着支援の施策(段階別)

支援制度の全体像

厚生労働省の支援制度を「入国支援」「受け入れ環境整備」「学習・定着支援」の段階に分けてフル活用。

海外での採用活動、マッチング支援、受け入れノウハウ・定着施策のセミナー、先進施設見学などを今年度実施。

県独自の初期費用支援

特定技能人材の受け入れに係るイニシャルコストが重いという現場の声に対応し、今年度から少額の初期定着支援を創設。

受け入れ環境整備

音声翻訳機などのコミュニケーションツール導入を支援。

地方では通勤に適した住宅が乏しい課題に対応し、継続受け入れを行う大規模法人が独自に寮を建設するケースに対し、外国人向け寮整備への上乗せ支援を今年度から実施。

学習・定着支援(強化計画)

各法人の日本語教育や資格取得支援に対する経費助成を拡充予定。

来年度から住居に対する支援も対象検討中。

研修制度の充実要望に応え、入国初年度向けの「介護の日本語」講座を県が設置。

資格取得による長期就労を重視し、国家試験(介護福祉士)合格に近づけるための試験対策講座を来年度実施予定。

6. 研修・セミナー・情報発信

今年度のセミナー内容

人材紹介会社・登録支援機関と連携して企画。

受け入れのポイント、異文化理解、やさしい日本語等の研修を提供。

県内の医療・介護事例を施設の取り組みとして紹介。

精進福祉会の協力により、外国人職員と日本人職員のオンライン座談会を企画・実施。

情報公開・教材

県ホームページに、どの法人がどのような取り組みをしているかの取材記事を掲載。

施設の事例紹介をまとめたリーフレットも公開し、関心ある関係者に閲覧を促す。

7. 先進施設見学会と現場知の共有

見学会の実施

今年度から試行的に開始。外国人受け入れ実績が豊富な施設の協力を得て、2回開催。

採用検討中の施設、既に就労受け入れしているが他施設の先進ノウハウを学びたい法人が多数参加。

現場ノウハウの価値と共有の場づくり

行政が提供できる支援には限界があるため、現場での試行錯誤から得られた知見が他法人にとって有益と位置づけ。

県として、学び合い・情報交換ができる場を継続的に整備する方針。

実践的な意見交換

参加法人が実際に施設で働く外国人に「良かった支援」「困りごと」を直接質問し、受け入れイメージを具体化する機会を提供。

課題・宿題

1. 厚生労働省の支援制度の各段階(入国支援・受け入れ環境整備・学習定着支援)の具体的利用計画を自法人で策定する

2. 特定技能人材受け入れに伴う初期費用と県の初期定着支援の適用可能性を試算する

3. 寮整備の必要性評価を実施し、県の上乗せ支援の申請要件を確認する

4. 入国初年度向け「介護の日本語」講座への職員参加計画を作成する

5. 介護福祉士国家試験対策講座の来年度受講者選定と学習スケジュールを設計する

6. 県ホームページの事例リーフレットを閲覧し、他法人の先進事例を自施設の改善計画に反映する

7. 次回以降の先進施設見学会への参加申込みと、見学後の社内共有会の実施計画を立てる

8. 交流会で外国人職員を雇用している法人と受け入れ・定着のノウハウについて意見交換を行う

地方介護現場における外国人材の戦力化設計:生活インフラ×業務標準化×関係資本で定着を実現する実践知

地方の人材難は「外国人=人的リソース」では解決しない。現場が実効性を出した因果は、生活インフラ支援(移動・買い物・余暇)と業務コミュニケーション(インカム・LINE WORKS・ふりがな付き記録)を先に整え、同時に新人指導をマニュアル化・一貫化した「環境×標準化」の設計にある一方、最大の失敗要因は日本語学習の意欲不足と同郷SNS由来の逸脱(法令リスク含む)である。鳥取の社会福祉法人は技能実習生(中3・尼6、計9名)を中核戦力化し、介護福祉士一発合格者を輩出、利用者の受容性も高く偏見も減衰したが、N3未達や期中離脱(3名)等のボトルネックが露呈した。真の定着ドライバーは賃金よりも「同僚・家族的関係性」と「田舎生活の価値訴求」で、都市志向者も生活コストの現実と職場の結束で残留に転じている。私たちは福祉法人であり、物心両面の環境と信頼設計にコミットすることで、地方でも外国人と日本人が同等に働ける土台をつくる。

 

論理再構成:課題—解法—診断のハイブリッド

 

地方人材難への現実解:採用の置換から「環境構築」へ

背景/制約

鳥取県山間部の社会福祉法人。日本人採用がほぼ不成立(地域の採用力・法人のリクルート手法の弱さ)。

現在の就労体制:技能実習生を中心に外国人9名(中国3、インドネシア6)。別枠で日配偶者のフィリピン人3名は日本人枠採用。

意図

単なる人員補充ではなく、言語・生活・業務の摩擦を下げる「受入れ設計」を先行。

 

オペレーション実装:記録・通信・生活支援の三点セット

記録/業務基盤

iPad導入+システム側のふりがな表示設定で記録の日本語障壁を低減。

コミュニケーション

インカム常用を制度化(孤立防止、即時支援、発信の奨励)。

LINE WORKS導入(中/尼語対応)でテキスト連絡の摩擦を低減。1人1台スマホ配備。

生活支援/余暇

中山間地の買い物難を週1回の送迎で解消。観光地(境港、水木しげるロード、松江城、出雲大社等)への余暇提供。

外国人材支援員を委託配置(買い物・レクリエーション・日本語学習支援)。JOCV経験者でマレー/インドネシア語近接を活用。

日本語学習

当初は内部講師で毎月実施→中断→インドネシア受入れ再開時に支援員主導で再開。

 

成果と組織学習:戦力化・偏見低下・標準化

戦力化と品質

中国籍の2名が3年で介護福祉士一発合格、3人目も合格見込み報告。日本人職員の学習姿勢にも波及効果。

文化/風土

外国人への偏見(特に中国人観光客像)が現場接触で是正。高齢職員(最年長84歳)も「家族」関係へシフト。

教育/指導

OJTの曖昧運用を是正し、指導マニュアル化・情報共有・一貫性の確立。

利用者反応/定着

利用者からの拒否的反応は顕在化せず。田舎生活を評価する人材が想定以上に残留。

 

ボトルネック診断:学習意欲・法令リスク・外部コミュニティ

学習・資格

「勉強は嫌い」層の存在。漢字非文化圏(インドネシア)で語彙不足→N3不合格が連続(僅差落ちが複数回)。

ミスマッチ/離脱

動機のズレ(介護志望≠観光/就労体験志向)。期中離脱3名、満了帰国1名。

外部コミュニティ/遵法

同郷SNSに悪質者、搾取・違法助長のリスク。例:ナンバー無し電動キックボード購入・走行→警察確認で使用停止指導。

文化差/期待値

価値観ギャップは前提化し、職場側が「同等に働ける実感」を与える努力が必要。

 

リテンションの真因:関係資本>金銭、田舎の価値訴求

関係資本

定着要因は物や金ではなく、仲間・友情・家族感の形成。

経済現実の共有

都市志向者に対し生活費の実情を同期から伝達→残留判断に転換。

「東京は遊びに行く場所、住むのは山の中」という生活価値観の継続的意識づけ。

 

ガバナンスと支援体制:持続運用の要諦

外国人材支援員の配置で生活・学習・レクリエーションを体系化。

日本人側の役割を明確化(同等評価、コミュニケーション主導、職場文化の包摂)。

法人理念(思いやりと信頼)を現場作法に翻訳し、日常運用へ定着。

講演: 介護施設における外国人介護人材受け入れモデルと定着支援の実態と課題

要約

本講演では、介護・老人保健施設における外国人介護人材の受け入れ実態と課題について、介護事業者へのヒアリング調査結果を報告した。EPA、技能実習(介護)、在留資格「介護」、特定技能(介護)で受け入れ、主な出身国はインドネシア、フィリピン、ベトナム、中国。受け入れモデルは4類型(トップダウン型、積極採用育成型、留学生アルバイト型、支援重視型)に整理され、それぞれの特徴と現場負担の違いが指摘された。主な課題は採用前の適合確認、受け入れ後の生活・職場両面の支援体制、日本語能力と人材育成、文化理解の促進、日本人職員・利用者・家族の協力確保。定着には生活支援・職場支援・継続教育を組み合わせた包括的体制が重要と結論づけた。今後の人材不足の深刻化を見据え、外国人介護人材の役割拡大が見込まれる。2026-03-15時点の知見として報告された後、パネルディスカッションへ移行するアナウンスが行われた。

知識ポイント

1. 受け入れ制度・対象施設・出身国

対象施設と制度の種類

対象は介護施設および老人保健施設を中心とする複数タイプの介護関連施設。

受け入れ制度は以下を確認:EPA、技能実習制度(介護)、在留資格「介護」、特定技能(介護)。

主な出身国

主要国籍はインドネシア、フィリピン、ベトナム、中国が中心(発話上「フェリビー」は文脈上フィリピンと解釈される)。

2. 外国人介護人材の受け入れパターン(4類型)

トップダウン型

理事長や経営層の判断で受け入れが決定されるケース。

管理団体や人材紹介会社からの提案をきっかけに導入される場合もある。

導入後の教育・生活支援などの具体対応が現場任せになりやすく、結果として現場職員の負担増が生じる傾向。

積極採用育成型

外国人介護人材を中長期的人材戦略の一環として位置づけ、計画的に採用・育成。

日本語能力を重視する傾向が強い。日本語教育や職業能力育成に積極的に取り組む点が特徴。

留学生アルバイト型

日本語学校や専門学校に在籍する留学生がアルバイトとして勤務し、その後正社員へ就職する流れ。

実務を通じた相互理解が進むため、採用後のミスマッチが比較的少ないという特徴。

支援重視型

長期定着を重視し、生活支援と職場支援の双方から受け入れ体制を整備。

具体例:住まいの確保、生活相談、日本語学習、マニュアル整備、定期的検証(団体的検証)などを組み合わせた組織的支援体制の構築。

3. 主な課題領域

採用前の適合確認と受け入れ後の支援体制

採用段階では職業適性のみならず、地域社会での生活適応可能性の十分な確認が重要。

受け入れ後は生活面と職場面の双方からの支援体制整備が必要。

母国文化を尊重しつつ、日本文化および介護文化への理解促進が求められる。

取り組みの円滑化には日本人職員・利用者・家族の理解と協力が不可欠。

日本語能力と人材育成

多くの施設で日本語能力の目安として「N2〜N3程度」を設定。

実際には日本語能力に加えて、やる気や学習意欲を重視する意見が多い。

定着のためには継続的教育と丁寧な指導を通じた人材育成が重要。

4. まとめ・今後の見通し

受け入れモデルの多様性と定着の要件

トップダウン型、積極採用育成型、留学生アルバイト型、支援重視型の4パターンが確認された。

生活支援・職場支援・継続教育を組み合わせた包括的支援体制が定着に有効であることを示唆。

将来展望

日本の介護分野で人材不足の深刻化が予想され、外国人介護人材の役割は今後さらに重要化。

報告終了後、パネルディスカッションへ移行し、学生2名による質問が予定されている旨の案内があった。

次の手配・アレンジ

1. 自施設の受け入れモデル(4類型のいずれか、または複合)の現状診断と課題抽出を実施する。

2. 採用前適合確認のチェックリストを整備し、職業適性に加えて生活適応(地域・住環境・文化)の評価項目を追加する。

3. 受け入れ後の包括的支援計画(生活支援・職場支援・継続教育)の年度計画を策定し、担当者と評価指標を設定する。

4. 日本語教育の到達目標(例:N3→N2)と学習意欲喚起の仕組み(学習時間確保、外部講師・オンライン教材活用)を設計する。

5. 現場職員・利用者・家族向けの多文化理解研修を企画し、母国文化の尊重と介護文化の共有ルールを明文化する。

6. マニュアル整備と定期検証(OJT評価、PDCAサイクル)を導入し、現場負担の平準化と改善点の可視化を行う。

7. 管理団体・人材紹介会社との役割分担を見直し、導入後の教育・生活支援を現場任せにしない運用協定を締結する。

8. 留学生アルバイトから正社員化までのキャリアパスを設計し、ミスマッチ低減のための評価・面談プロセスを整える。

9. 日本人職員・家族へのコミュニケーション計画(説明会、ニュースレター)を整備し、協力体制を構築する。

10. 人材不足の将来予測に基づき、3〜5年の外国人介護人材の採用・育成人数計画を策定する。

 


 

 

結びに代えて:いま、私たちが「選ばれる国」であるために

今回のセミナーを通じて改めて痛感したのは、外国人材の確保はもはや「日本の都合」だけでは語れないということです。現在、介護人材は世界中で激しい争奪戦の中にあります。

日本は今後30年以上にわたって人口減少が続くことが確定しており、経済と社会保障を維持するために、海外からの志ある方々の力は必要不可欠な「希望」です。

私たちは彼らを単なる「労働力」として見るのではなく、日本の「慈しみ(いつくしみ)の心」を持って迎え入れるべきではないでしょうか。制度を単なるルールとして捉えるのではなく、地域全体が温かいコミュニティとして彼らを包み込み、日本で暮らす喜びを分かち合う。そんな土壌こそが、真の定着を生むのだと信じています。

そして、彼らが日本で学んだ高度な介護テクノロジーや、きめ細やかなケアのあり方が、いつか彼らの自国の未来をも豊かにする。そんな「双方向の幸せ」を描ける制度と環境を、ここ日本の地域から共に創っていきましょう。

介護の仕事を通じて結ばれる絆が、日本と世界の架け橋となることを心から願っています。

 

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著者

一谷 勇一郎

一谷 勇一郎

選挙 第51回衆議院議員選挙 2026年 (2026/02/08)
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兵庫1区 44,364 票 比例 近畿ブロック 日本維新の会 [当選]

肩書 衆議院議員(神戸市中央区・灘区・東灘区/兵庫1区)・(株)ライフケア代表取締役
党派・会派 日本維新の会
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