2026/7/31
2026年6月議会で一般質問を行いました。今回はまず、京都丹後鉄道の「新駅」について質問させていただきました。
否決された都市拠点公共施設の整備予算をめぐって、今も市内では様々な議論が続いています。私はその議論を踏まえた上で、クリーンセンターの更新という全市民の生活の根幹に関わる大型事業を控える今、京丹後市が「今だからこそ準備すべきこと」は何かを考えました。その答えの一つが、鉄道の新駅です。
なお、本題に入る前に一つ。「都市拠点」という言葉が、施設を指すのかエリアを指すのか曖昧なまま議論されている場面が見受けられます。混同を避けるため、この記事では「都市拠点エリア」(区域)と「都市拠点公共施設」(建物)を区別して書きます。議会でも、答弁を含めて正確な使い分けをお願いしました。
私は昨年度2回提案された整備予算について、修正案の提示も行いましたが、最終的には原案に反対しました。
理由の一つは、クリーンセンター(ごみ処理施設)の整備です。これは全市民の生活の根幹に関わる課題であり、今年5月にようやく地元区との協議に正式に入られた段階です。こうした状況では、明確な見通しを持った上で新規の大型事業に取り組む必要があるのではないでしょうか。庁舎整備が供用開始を迎えたばかりの中、建設費が大きくかかる施設建設を立て続けに実施することは、リスクが大きすぎると判断しました。
一方で、都市拠点エリアと地域拠点エリアに役割分担・機能分担をさせて京丹後市全体を暮らしやすくしていくこと、そしてモビリティ(公共交通・道路)で移動と接続を円滑化していくこと――この総論の構想には賛同しています。核となる機能をどうするか、行政と民間の役割をどう分けるかという各論では市長と意見が異なることもありますが、大きなコンセプトを否定しているわけではありません。
個別の機能についても触れておきます。子どもの遊び場は、喫緊に整備が必要だと考えています。ただし、必ずしも中央に集約的なものである必要はない、というニーズをお聞きしています。図書館機能の充実も大きな方向性としては重要ですが、現時点で市内の図書館機能は一定担保されており、他の事業への財政的影響を飲み込んででもトッププライオリティで進めることは、今はできないと考えています。
議会では、否決の受け止めとして建設部長から5つの点(財政、説明・対話不足、市域の均衡ある発展、見直しプロセス、事業効果の説明不足)が示されましたが、私はここに「基本計画の機能の中身」への異論が含まれていないことを、あえて指摘しました。機能の中身についても、諸手を挙げてみんなが賛成しているわけではないのではないか、と思っています。
京都丹後鉄道沿線地域公共交通計画の令和8年度実施計画には、「高速道路の事業化や新たな施設の建設など周辺環境の変化を踏まえ、新駅設置について鉄道事業者や沿線自治体、地域住民とともに検討を進める」と記載されています。令和7年度に具体的な候補箇所を検討し、令和8年度は継続検討というスケジュールです。
市の認識を問うたところ、市長公室長からは次の答弁がありました。
新駅は、鉄道事業者である北近畿タンゴ鉄道、WILLER TRAINS、京都府・兵庫県、沿線5市2町により令和6年12月に策定された「鉄道事業再構築実施計画」に位置づけられている。本市では令和8年3月に改定した都市計画マスタープランの中で、都市拠点公共施設の整備に合わせ、鉄道新駅設置に向け具体化を図るため、関係機関と検討を進める、としている。
ここで私が確認したのは、「合わせ」の意味です。公共施設の整備が進まなければ、新駅の具体化も進められないのか。この点について、公共施設整備は新駅の条件ではなく、切り分けつつ並行して進めていくとの答弁を明確にいただきました。
また、新駅実現の条件面については、一般論として①技術面・運行面、②需要・採算性、③財源の確保、これに駅周辺のまちづくり計画との整合性が求められるとの説明がありました。ただし、鉄道事業者や沿線自治体との具体的な協議の中で条件が示されている段階ではない、とのことでした。
新駅を語る前提として、今ある駅を大切にすることが欠かせません。
京丹後市民の移動の約9割は、自家用車を前提にしているという調査結果があります。総合計画などでも「過度に自家用車に頼ることなく」という方針が示されていますが、それを実現するには、公共交通の今以上の充実が必要不可欠です。「使いましょう」という呼びかけだけでは、現実には縮小傾向が続いてしまいます。
市内の6駅(京丹後大宮駅、峰山駅、網野駅、夕日ヶ浦木津温泉駅、小天橋駅、久美浜駅)は、合併前から有人駅として券売サービスを継続してきました。久美浜駅では観光案内に加えて土産物販売・喫茶、公共ライドシェアの拠点も併設され、京丹後大宮駅では民間飲食店の出店がにぎわいにつながっています。峰山駅では昨年の開業100周年を機に、峰山高校・宮津天橋高校から寄贈いただいたテーブルや椅子を活用した待合室の環境整備が行われました。
課題として市が認識しているのは、①快適な待合環境と利用者サービス、②駅へのアクセスの充実、③駅周辺のにぎわいづくり、の3点です。今後は各駅が順次迎える開業100周年を契機に地域と話し合いを進めるほか、峰山駅待合室への観光案内・物販の誘致検討、シェアサイクルや電動キックボードの導入検討などが挙げられました。
私はこれらの取り組みを評価しています。京丹後市の交通政策は、公共ライドシェアをはじめ全国的にも先進的なものが多く、だからこそ見えてくる「先進的な課題」があると思っています。一方で、中期的なロードマップは「持ち合わせていない」との答弁もありました。短期的にできることの積み重ねに加えて、長期的な展望を描いた上で積み上げていく姿勢が必要ではないか、と指摘しました。
峰山インターチェンジの供用開始が、スケジュールの遅れはありつつも着実に見えてきています。この機を捉えて都市拠点エリアに新駅ができれば、交通結節機能の効果的な集約が可能になると考えています。
例えば、新駅を高速バスの発着拠点とすることです。現状、高速バスの利用が伸びない要因として「自分の車で行った方が早い」という声をよく聞きます。新駅から峰山インターを経て京都市内を目指すルートにできれば、移動時間が短くなり、市民の皆さまの選択肢として現実味を持つのではないでしょうか。
もう一つ重要なのは、新駅と既存駅の関係です。新駅を利用する人は、必ずどこかの駅から乗ってきます。つまり新駅の利用が増えることは、必然的に既存駅の利用増につながり、既存駅舎の活用も進み、市民にとって利便性の高い状況が生まれていく――そういう好循環を描けると考えています。
この点について市長からは、新駅は様々な交通手段とのハブになり、まち全体のにぎわいづくりを加速する拠点となる、しっかりと取り組みを進めたい、との前向きな答弁をいただきました。
また、都市拠点の構想段階で描かれていた「モビリティハブ」(「シン・エキ」)についても質問しました。建設部長からは、従来の乗降を目的とした駅舎の概念を拡張し、鉄道・路線バス・オンデマンド交通など多様なモビリティをつなぐ機能を担うものであり、ICTやAIを活用したMaaSとの連携により、検索・予約・決済がスムーズにできる次世代の交通結節点を目指す、との説明がありました。駅の考え方を拡張していくこの方向性は、私も重要だと考えています。
今回、最も踏み込んで確認したのはこの点です。「鉄道新駅を作るためには、都市拠点公共施設を作らなければならない」という受け止めを、私たちはするべきなのか。
市長の答弁は、公共施設が新駅の決定的な条件になっているかどうかは**「分からない」、分からないが影響はある、両方やっていくことが新駅を目指す上でも必ずプラスになる**、というものでした。関係者は都市拠点エリアの形成がどう進むかを見ながら新駅設置の意義を判断していく、将来この地域がどう発展しようとしているかの展望が大切だ、との見解も示されました。
この考え方自体は理解します。ただ、私が強調したいのは合意形成の現在地です。公共施設の建設については、議会でも一票差・数票差という賛否の分かれ方をしました。市民の皆さまにもそれぞれの思いがあり、みんなの合意にはなかなか至っていない状況です。
一方で、鉄道の新駅はどうでしょうか。京丹後の暮らしを良くするためにきっと有効だろうという、より多くの方々の大きな合意が得られるのではないか――私はそう思っています。だからこそ、公共施設の議論に焦点を集約しすぎず、新駅の具体化をコアに据えて、一歩引いて都市拠点エリアのあり方を考え直すべきではないか、と提案しました。
今回の質問を通じて、新駅は公共施設整備の条件ではなく並行して進めるものであること、そして関係機関との協議はまだ条件が示される前の段階であることが確認できました。
クリーンセンターの更新という待ったなしの課題を抱える今、時間がかかることを単にネガティブに捉えるのではなく、時間がかかるからこそできる準備を進めるべきだと考えています。この間にも子どもたちは大きくなり、市の人口規模は変化していきます。市だけでは決められないことこそ、今から仕込んでおく。鉄道の新駅は、まさにその代表格です。
新駅を作るか作らないかは、単なる交通インフラの問題ではなく、都市拠点エリアに何を展望するのか、市民の合意をどう育てていくのか、そして私たちがどんなまちづくりを目指すのかという根本的な問いにつながっています。
引き続き、市民の皆さんとともに議論を深めていきたいと思います。
📺 詳しくは、私の質問をYouTubeに公開しています。ぜひご覧ください。
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