2026/4/20
2026年3月議会の一般質問で、都市拠点多世代交流施設の建設事業と、これまで建設されてきた公共施設の除却・活用について質問しました。
※都市拠点多世代交流施設に関する予算は、この一般質問の直後に補正予算1号として上程ー審議されたのち、私からは修正案を提出しましたが、原案、修正案ともに否決となりました。そちらについてはこちらの記事をご覧ください。
私はこれまで繰り返し、この事業について一つの問題意識を投げかけてきました。それは、都市拠点エリアにどのように投資することで、どのようなエリア価値が高まっていくのか、その効果が可視化されることが、事業にとって極めて重要だという点です。
かかる費用は見えています。であるならば、それによって生まれる効果もまた、示すべきではないでしょうか。トッププライオリティの事業として市民に広く理解を求めていくならば、なおさらです。
今回の質問では、「エリア価値」「若者回復率」「出生数」「財政」「既存施設の後始末」という5つの切り口から、この事業の輪郭を改めて問い直しました。本記事ではその論点をまとめてお伝えします。
まず、建設部長からは、次のような答弁がありました。
「エリア価値の向上とは、単に地価の上昇を示すものではなく、人の滞留や交流が継続的に生まれることで生活利便性を高め、新たなにぎわい、地域経済の活性化を生み出し、その波及効果を市全域に広げることにより、総合的な都市の持続力を高めることであると認識しています」
この中長期的な視座そのものには、理解できる部分が多くあります。
一方で、市長の答弁では
「大きな方向感というものはしっかり持っておりますけれども、具体的な数字ということになると、これは今直ちに正確なところを持ち合わせているわけではない」
「立地適正化計画の段階に進ませていただくことになれば、その段階で客観的な指標(人口ミス等、立地数なども含めて)一定の方向性を持てるようにやっていく」
とあります。
令和8年度に策定予定の立地適正化計画で指標が示される見込みということです。ただ、私はこの議案を最初にいただいた時点から、この効果測定の重要性を申し上げてきました。事業の意思決定と並行して、定量的な見込みが示されるべきではないでしょうか。
民間サービスの集積については、市長から具体的なイメージとして他市の事例が紹介されました。
和歌山県海南市の関連施設:来館者が年間60万人で、従前の約4倍に増加。周辺で民間店舗の進出の動きが大きく変わった
京都府綾部市:図書館の集客機能が発揮されたことで、近接地で新たな商業施設の建築計画が進行
富山・長岡・海老名でも、公共施設を起点として民間投資が加速
市長は、公共施設が「象徴」「発信塔」となって民間投資を誘発することを期待している、と答弁されました。
若者回復率への寄与についても、施設ありきではなく、まず若い人に「何が足りないか」「何が欲しいか」を聞くところから始めたとの説明がありました。
中学生300人以上に延べワークショップ
子育て世帯2000世帯にアンケートを発送、1000世帯から回答
回答の大きな答えの一つが「子どもたちが遊べる施設、雨の日でも遊ばせていける施設」
このプロセス自体は評価すべき姿勢だと考えています。「同じ財源で何を作れば一番回復するか」という問いに対する、一つの答えであることは理解します。
ただ、私が繰り返し申し上げてきたのは、「場所をここまで限定的にする必要があるのか」という論点です。金額規模で「これだけの効果を生む」「この金額ならこの程度の効果」といった整理があってこそ、合意形成に進むことができるのではないでしょうか。
出生数への寄与について、子ども部長からは次のような答弁がありました。
人口ビジョン:2060年に4万6千人の目標人口
出生率:京都府と同様、2040年に2.3になる想定(直近1.86から5年ごとに0.11ポイントずつ上昇)
施設単独での出生数への効果を数値で示すことは困難
施設単独の数値化が難しいという認識は、率直な答弁として受け止めます。屋内遊び場、図書館、母子保健機能などが一体となったワンストップの支援環境が、育児の孤立化を防ぎ、子育ての負担軽減につながる――この方向性自体には、私も賛同します。
問題は、その環境整備をなぜこの場所・この規模・この予算で行うことが最適解なのかという問いに、納得のいく答えを示せているか、あるいは他の施策と組み合わせながら、出生数の増加に向けて具体的にロードマップを引けるかどうかです。
3月12日に補正予算1号が報道発表されました。財政的懸念を改めて精査した結果として、総務部長から次のような答弁がありました。
令和7年6月補正時の試算:市の実質負担額約20.6億円
その後、国・府との調整により、最終処分場や竹野川衛生センター長寿命化事業について、過疎債の公共施設マネジメント集約化分として特別分が優先配分されることに
結果として、都市拠点多世代交流施設の過疎債活用を全事業期間で検討可能に
用地取得費は、令和9年度に国交省「都市構造再編集中支援事業」を活用できるよう見直し
過疎債を最大限活用した場合の実質負担額:約14.4億円
なお、クリーンセンターについては、整備費用約70億円(再延命化)で見込み、令和8年度の早い段階で次の方向性をまとめていくとのことです。
最終処分場について、財政的な改善が見られたことは、大きな前進として受け止めます。一方で、クリーンセンターについてはあくまで希望的観測の域を出ません。
図書館とまちづくりの講演会で紹介された岐阜メディアコスモスの事例は、コンセプトを丁寧に設計し、意匠にもこだわった施設です。本市の施設もランドマークとしての意匠にこだわるなら、事業費が上振れする懸念はないのでしょうか。
建設部長からは「新たなまちづくりの拠点、ランドマークとなる施設なので、意匠にも一定効果的な施設整備をする必要がある」「市民や議会にご理解いただける範囲で効果的にやっていく必要がある」との答弁がありました。
市長からは、明確な答弁がありました。
「青天井があるわけではない。上幅を持ちながら提案させていただいて、設計の中で絞り込んでいく」
「諸物価高騰の影響もあり得るが、下に行くかもしれない。幅を持って、適宜お示しをして、財政が合理的に収まる範囲の中で設計をしていこう」
ここで大切なのは、どれだけこだわるかもまた、効果測定の中でどれだけ回収できるかという議論とつながっているということです。「回収できるからこれだけ投じる」という説明の組み立てができてこそ、市民の理解も深まっていくのではないでしょうか。
ここで私がどうしても触れておきたかったのが、峰山図書館が築40年未満で老朽化・利便性の問題として議論されたという経過です。
教育次長からは、次のような答弁がありました。
当時の広報誌(昭和47・48年度)には、立地場所について「美しい高台の静かな環境」という意見と、「もっと気軽に利用できる街中」という意見の両方があり、意見が分かれていた
今回の案も65年使う前提で設計されると伺っています。ならば問うべきは、2100年近くまで見据えた機能的対応年数が、きちんと担保される議論が今できているかということです。
現在の峰山図書館は建設当時、「静かな場所か街中か」の議論を経て、静かな場所が選ばれました。それが30年経って「いや、やっぱり違う」となり、また30年先に同じことを繰り返すのであれば、それはまちづくりとしてどうなのか――私はこの問いを、今こそ真剣に投げかけたいと思います。
なお、私から網野図書館のエリア(体育センターから網野幼稚園跡地まで市の土地)を一体的に活用し、増築も含めた再編成で中央図書館を構想できないかと提案しました。そうすれば、限られた予算を蔵書の充実や別のことに投じることができると思うからです。
執行部からは都市拠点エリアに複合施設として整備することが最善との答弁が示されました。
本市は、第4次行財政改革大綱において、管理施設数を令和元年度の509施設から6年度末には465施設に減らすと計画していました。結果を確認すると――
令和2年度からの実績:譲渡7施設+除却7施設=合計14施設のみ
目標の44施設削減に対し、3分の1にも届かない
条例廃止で普通財産に移した13施設も、多くは未利用財産のまま
総務部長からは「地区との話し合いが継続していたり、施設を使い続けるということになったりしたことで、目標を達成できなかった」との答弁がありました。
施設を減らすことは、行政リソース(予算だけでなく、人の知恵と工夫、住民合意)を相当に要する、とても難しい仕事です。それは私も理解しています。
そのうえで、私は少しエッジを立てて申し上げました。
「作った世代の人たちでしっかり議論して、後仕舞いまでしてくれ」――そんな声が、若い世代から聞こえてきます。
計画的に施設を減らすことは、将来のまちづくりへの負担を減らす「投資」です。新しい施設を作ることだけが投資ではありません。むしろ、既存の施設を整理し、身軽にしていくこともまた、未来世代への大切な投資なのです。
総務部長からは「その考え方は、ある意味その通り」との答弁をいただきました。一方で、全体の優先順位を考えながら除却していくとの姿勢が示されました。
積極的な除却・活用を、市全体で加速させていく必要があると私は考えています。
今回の質問を通じて、改めて確認できたことがいくつかあります。
エリア価値・民間投資・若者回復率・出生数への効果について、定量的な指標は現時点では持ち合わせておらず、令和8年度策定予定の立地適正化計画の段階で示される見込み
財政負担は約20.6億円から約14.4億円に改善の見込み。ただしクリーンセンターという別の大きな判断も控えている
峰山図書館の教訓――機能的耐用年数という問いに、65年先まで耐えうる議論ができているかどうかが問われる
既存施設の除却・活用も、新施設建設と同じく、未来への投資である
市長・部長の答弁には、方向感としての理解できる部分がたくさんありました。その方向感が、具体的な数字と結びついた説明として市民に届いていくこと――これが、この事業への合意形成の鍵ではないでしょうか。
都市拠点施設をどうするかという選択は、単なる一施設の整備計画ではありません。私たちがどんなまちづくりを目指すのか、そして、作った世代として次の世代にどう引き継ぐのかという、根本的な問いにつながっています。
エリア価値を「見える化」すること。事業費を幅の中で絞り込むこと。そして、新しい投資と並行して、既存施設の「後締め」にも真剣に取り組むこと。この三つが揃って初めて、京丹後市の都市拠点は、将来の世代に誇れるまちづくりの核になりうるのだと、私は考えています。
引き続き、市民の皆さんとともに、議論を深めていきたいと思います。みなさんはどのように感じられるでしょうか。ぜひ、ご意見なさってください。
📺 詳しくは、私の質問をYouTubeに公開しています。ぜひご覧ください。
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