2026/4/20
2026年3月議会で一般質問を行いました。今回のテーマは、「教育のまち京丹後」の実現に向けた教職員の労働環境の整備です。
私は「公教育こそが社会をつくる」「公教育にもっと社会資源が注がれる社会への変革が、豊かな社会をつくる」と信じて活動してまいりました。
京丹後市教育委員会が、京丹後SEAラボをはじめとするグローバル人材の育成、そして長年積み重ねてきた丹後学を単なる知識伝達にとどめず探究学習としてアップデートされている取り組みは、素晴らしいものだと考えています。
一方で、現場の教職員の方々からは、こんな声を繰り返しお聞きしています。
「今でも精一杯なのに、呪文のように『早く帰りましょう』と言われる」
「仕事は減らないのに、人は減る」
「時間だけ管理されて、早く帰れと言われるだけでは、前向きになれない」
グローバル人材育成や探究学習という前向きなビジョンで現場を引っ張る力は、とても大切です。けれどもその推進力が本当に発揮されるためには、土台となる労働環境の整備が不可欠ではないでしょうか。
土台を固めることで、前に向かう力はより強くなる。
私はそう信じて、今回の質問を組み立てました。
教育委員会からは、目指すべき学校環境について次のような答弁がありました。
「教職員個々の能力が十分に発揮され、教職員集団が互いに認め合い、協働できる環境こそが、働きやすさの基盤となります。働きやすさと働きがいの両方を実感すること、すなわち子どもたちの成長に向き合いながら、自らも教師として充実した日々を送ることができる状態が、本市の目指す理想の姿と考えます」
この理想像には、私も賛同します。問題は、その理想と現実との距離です。
現行計画の達成状況を1月末時点で確認したところ――
1ヶ月の時間外勤務時間45時間以内の縮減達成:53.2%
退勤時刻を早めることについて「できている」+「だいたいできている」:53.6%
およそ半数の学校が目標に届いていません。さらに言えば、「できている」だけに絞れば、令和6年度はわずか24%にとどまります。
これでは、「できていない」と評価せざるを得ない数字ではないでしょうか。
教育次長からは
「これまでの施策では十分だとは考えておりません」
との率直な答弁がありました。
それが適切な受け止めだと評価する一方で、今までのスピード感で本当に間に合うのか
つまり、私はもっと強い覚悟が必要だと訴えています。
4月から始まる「京丹後市立学校教職員の働き方改革推進及び業務量管理・健康確保措置実施計画」では、以下のような具体策が示されました。
長期休業期間中の時差出勤の積極的導入
文書処理の簡略化
部活動のあり方の検討
ICT機器の活用推進
年度当初の始業日の後ろ倒し
各校での1日の時程の見直し(小学校の早帰り、中学校の下校時刻の勤務時間内設定)
こうした方向性は評価すべき姿勢だと考えています。
一方で、私が強く申し上げたのは、目標達成に必要な時間削減量を、大枠の施策ごとに積み上げて設計してほしいということです。
教職員の時間外勤務の管理は、市の行政責任といえます。
「目標達成できませんでした」を繰り返さないために、一つひとつの施策で「これだけ時間が減る見込み」という積み上げを持ち、逆算で目標設計を行うこと――これが真の「見える化」の第一歩ではないでしょうか。
教育長からは「教員の働き方改革イコール、子どもたちの未来への投資」という考え方を教職員全体に浸透させたいとの答弁がありました。私は、この言葉を具体的な設計思想として落とし込むことを強く求めました。
育児等による短時間勤務で働かれている先生方から、「帰れない」という声を、小学校・中学校を問わず複数お聞きしています。
教育次長からは、「補充人員の確保が困難な事案が発生し、本人はもとより、支援を担う他の教職員にも多大な負担が集中した事案があった」との率直な答弁がありました。
ここで私がお伺いしたかったのは、この課題の責任主体は誰かということです。
補充人員の配置は制度上予定されているにもかかわらず、全国的な講師不足で確保が難しい――これは校長の責任ではなく、人事配置を担う行政の責任ではないでしょうか。
市長が掲げる「誰一人取り残さない」「子育て環境日本一」という目標は、京丹後で働きながら子育てもされようとしている先生方にも、届けられる必要があります。
京都府教育委員会への強い要望継続、そして市長部局と教育委員会が連携しての解決――この課題については、引き続き注視していきたいと考えています。
私が今、もっとも負担が重い立場にあると感じているのが、学校の管理職の方々です。教員未配置が生じたときの対応、膨大な文書処理、保護者対応の最終責任――。
教育長からは、管理職の働きがいについて次のような答弁がありました。
「管理職は、立場上授業を直接担当することは極めて少なくなりますが、だからこそ、主導的立場として授業づくりを充実させるための知見と推進力を発揮することが、管理職としての働きがいの中心になると考えています。子どもたちの成長を学校全体として実現するために、教職員集団を束ね、学校運営を方向づけていく役割そのものが、管理職の働きがいの源と言えます」
この理念には、私も共感します。教職員集団をどう作るか、学校全体をどう牽引するか。本来、管理職の仕事の本質はそこにあるはずです。
だからこそ、欠員が出たときに「人を探して回る」業務を管理職に負わせてしまっている現状は、構造として変えていかなければなりません。こうした調整業務は、学校現場から教育委員会が引き取って、ゴールまで責任を持って達成させるべきことだと私は考えています。
私自身、教職員として年度途中で退職させていただいた経験があり、当時の管理職の先生方には多くを支えていただきました。
申し訳なさを思うと同時に、だからこそ仕組みとして変えたいのです。
業務の3分類――「学校以外が担うべき業務」「教師の業務だが負担軽減を促進すべき業務」「教師以外が積極的に参画すべき業務」――の整理・運用・調整を、各校長任せにしてはいないでしょうか。私はこの点を質しました。
教育次長からは、次のような答弁がありました。
「各校の校長任せになっているとすれば、これが働き方改革の進まない要因の一つになっている可能性があることは、市教委としても真摯に受け止めております。市教委が責任を持って役割を担っていきたいと考えております」
これは評価すべき姿勢だと考えています。地域コーディネーター、スクールサポーター、部活動指導員、教員業務支援員といった配置を、市全体として統一的に取り組める内容を見極めながら広げていくこと。給食時の対応や、支援が必要な児童生徒・家庭への対応についても、改善の余地があるとの認識が示されました。
現場に丸投げせず、仕組みとして整えること。これが、持続可能な働き方改革の鍵だと考えています。
先月、奈良県天理市に視察に行かせていただきました。そこで出会ったのが「ほっとステーション」という取り組みです。
校長等の退職者、臨床心理士、弁護士、警察OBからなる専門家チームを教育委員会に設置
各学校への助言にとどまらず、解決の実行までを組織として引き取る
市長と教育長が入って毎日ケース会議を実施
放課後の家庭訪問や児童対応まで、学校から引き取って対応
この取り組みにより、天理市では時間外勤務が35時間以内に収まっている学校が50%程度にのぼるとのこと。「余白」を生み出す仕組みとして、極めて示唆に富む事例です。
重要なのは、困難化したケースを扱うのではなく、入り口から関わることで予防にもつながるという点です。深刻化を防ぐことで、状況が好循環を生み出す――まさに仕組みづくりの妙だと感じました。
教育次長からは「本市にとっても大変参考になる事例」との評価とともに、既存体制を有機的に連携させ実効性を高める方向で検討したいとの答弁をいただきました。
天理市では文部科学省の予算も活用しているとのこと。本市の規模や財政状況も踏まえつつ、ぜひ調査研究を重ね、京丹後に合った形で施策化を進めていただきたいと求めました。
今回の質問の根底にあったのは、次のような問いです。
グローバル人材育成や「働きがい」を高めるというポジティブな推進力は大切です。しかし、それらが本当に子どもたちの学びに還元されるためには、基本的な労働環境の整備という「土台」がなければならないのではないでしょうか。
教育長からは、「働き方改革と学びの変革は、一見相反する取り組みに見えるかもしれませんが、子どもたちに必要な資質能力を育む教育を充実させるという同一の目的において、両者は車の両輪だと考えます」との答弁がありました。
まさにその通りだと思います。車の両輪として両方が強く回るためには、片方だけではなく、両方に十分な社会資源を注ぐ必要があります。これは単なる負担軽減ではなく、子どもたちの未来への投資そのものです。
今回の一般質問を通じて明らかになったのは、教育委員会自身が「これまでの施策では十分でない」と認識しており、新しい実施計画で仕組みとしての改善を進めようとしている姿勢です。
大切なのは、この計画が「やらされる改革」ではなく、教職員一人ひとりが「自分ごと」として取り組めるものになることです。そしてそのためには、大枠の労働環境を整える責任を、市教育委員会と市長部局がしっかり担うこと。この覚悟が、これから問われていきます。
先生方の働き方を整えることは、先生方のためだけではありません。目の前にいる子どもたち、そしてこれから京丹後市で学ぶすべての子どもたちへの、次世代への投資です。
引き続き、市民の皆さんとともに、教育のまち京丹後のあり方について議論を深めていきたいと思います。
📺 詳しくは、私の質問をYouTubeに公開しています。ぜひご覧ください。
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