2026/6/17
ファンドは不安だ。

クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)の累積損失が2024年度末時点で約383億円に達したことを受け、政府内で廃止を含めた見直し論が浮上している。これに対し、国民民主党の玉木雄一郎氏はSNS上で「クールジャパン機構を問題視するなら、2023年度決算で巨額赤字を計上し、累積損失が900億円を超えるJOIN(海外交通・都市開発事業支援機構)も廃止検討対象ではないか」と問題提起した。この指摘は単なるクールジャパン機構擁護ではなく、政府系ファンド全体の在り方を問うもの。官民ファンドは本来、民間だけではリスクを取れない分野に政府が資金を投じ、将来の成長産業を育てる役割を担う。海外展開、インフラ輸出、農林水産業の成長、技術革新など国家戦略上の意味を持つ分野では短期的な利益だけで評価できない面もある。一方で投資事業である以上、成果検証から逃れることはできない。投資先の失敗が続き損失だけが積み上がるなら政策目的という言葉だけで国民負担を正当化することは難しい。実際、政府系ファンドにはクールジャパン機構以外にも大きな損失を抱えるものがある。国土交通省所管のJOINは海外鉄道や都市開発などへの日本企業の進出を支援する目的で設立されたが累積損失は約900億円規模に達している。海外案件は相手国の政治情勢や経済環境に左右されやすく長期投資ゆえの難しさはある。しかし、巨額の公的資金を投入する以上、なぜ損失が発生したのか、投資判断は適切だったのかを検証する必要がある。農林水産省系のA-FIVE(農林漁業成長産業化支援機構)も6次産業化支援を目的に設立されたものの投資先の成長が進まず約160億円規模の損失が問題となっている。海外通信インフラを支援するJICT(海外通信・放送・郵便事業支援機構)でも123億円の損失が発生している。会計検査院の調査では14の官民ファンドの累積赤字1900億円、投資126件で元本回収できない可能性にあることが明らかになっている。実に官民ファンドの約6割が赤字に陥っている。
赤字だから即廃止という単純な話ではない。宇宙開発や基礎研究のように利益以外の価値を持つ政策分野もある。しかし官民ファンドはあくまで投資を通じて成果を生み出す仕組みであり成功例だけでなく失敗例も含めて説明責任を果たさなければならない。特に問題なのはファンドごとに異なる基準で評価されることだ。ある事業は数百億円の損失で廃止論が出る一方、別の事業はさらに大きな損失を抱えても「政策目的がある」として存続するなら国民から見れば公平性を欠く。必要なのはクールジャパン機構だけを切り離して議論することではない。JOIN、A-FIVE、その他の官民ファンドを含め投資額、回収率、政策効果、民間資金の呼び込み効果を同じ基準で検証し継続・縮小・廃止を判断する仕組みである。官民ファンドは未来への投資であるべきだ。しかし、失敗の検証を避ける組織になれば、それは成長戦略ではなく赤字を抱え続けるための仕組みになってしまう。玉木氏の問題提起は政府系事業を「誰が批判されているか」ではなく、「同じ物差しで評価できているか」という行政改革の原点に立ち返らせるものであろう。
#官民ファンド改革 #累積損失 #クールジャパン機構
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