2026/3/5

ごみ収集やし尿収集、ごみ袋制度は、市民生活のインフラであり、土台です。止められないし、品質も落とせません。一方で、自治体は人口減少・高齢化・担い手不足・物価高・インフラ老朽化が同時に進む時代に入り、従来と同じ体制・同じ運用で同じ水準を維持することが難しくなっています。
私が議会で環境行政の改革を取り上げてきた背景には、八尾市のごみ行政が長年にわたり直営運用のみを前提としてきたという事情がありました。可燃ごみ収集やし尿収集といった業務は、市民生活を支える重要な基礎サービスですが、同時に多くの人員と経費を必要とする事業でもあります。本来であれば、委託や運用改善などを含めた比較検証を通じて、コストや人員配置の適正性を継続的に見直していく必要があります。
しかし八尾市では、長年にわたり直営を前提とした運用が続いてきた結果、業務の競争性や価格の適正性が十分に検証されにくい構造となり、歳出や人員配置の面でも見直しが進みにくい状態が続いていました。さらに、組織運営の面でも管理部門による統制が十分に機能しているとは言い難い状況があり、し尿収集部門において職員が逮捕されるという不祥事まで発生するに至りました。
私は、このような状況を単なる個別事案として片付けるのではなく、制度や組織運営の問題として捉える必要があると考えてきました。長年の直営運用が慣行・人員・労務・統制の面で硬直化すると、税金の使い道としての合理性が見えにくくなり、結果として市民のためというよりも組織や役所慣行の維持が優先される構造が生まれやすくなります。この構造を放置したままでは、基礎サービスそのものの持続可能性が揺らぐ可能性があります。
そのため私は、単なる批判ではなく、数字(効果額・人員・コスト)と制度(プロセス・ルール・契約・統制)によって検証できる形で論点を整理し、「いつまでに、何を、どう変えるのか」を期限と工程で明確化する議論を議会で積み上げてきました。
指定ごみ袋制度は、市民にとって最も身近で、制度の歪みが表に出やすい分野です。
私はこの段階から、制度を「善悪」で語らず、“持続性と公平性”の観点で、制度疲労を起こしていないかという入口を作りました。
この時点では、まだ制度の“即時抜本見直し”の段階ではありませんでしたが、当時私は、将来の論点を見越して、指定袋を「町会依存」「公平性」「運用コスト」「制度疲労」として議会の議題に乗せ、後の議論の土台としました。
当時、市は「トップランナー方式」「新やお改革プラン」などで、ごみ収集業務の改革の方向性を掲げていました。私は改革プランを俎上に、「改革プランに掲げられた“組織のスリム化”や“改革効果額”は、実際に達成できる設計になっているのか?」という点に絞り、議論を煮詰めました。
可燃ごみ等の収集運搬業務について、市は3か年で約7.8億円規模の債務負担を設定していました。
しかし私は、ここで次の筋で問いを立てました。
これだけの規模で委託を進めるなら、
「なぜこの金額なのか(コスト構造)」と
「何がどれだけ改善されるのか(効果額の見通し)」が説明できなければならない。
契約の予定価格に関わるという理由で詳細が出せない場面があるのは承知しているが、“細目の単価”が出せないなら、少なくとも、
事業全体のフルコストと
改革プラン上の効果額(累積削減効果額)との整合
を示すべきだ、と。
当時市側は、予定価格に関わるため詳細説明に慎重な姿勢をとりつつ、人件費・車両など資機材・一般管理費・消費税といった構成要素で説明しました。一方で、私は「構成要素の説明」からさらに一段進めて、純効果(委託費を含めた全体としての財政効果)の議論へ押し上げました。
また、改革プランの効果について市は、退職者不補充などにより、基準年度比での人員減の説明を行いました。
私が問うたのは、次の点です。
当時この局面で私は、市が掲げる業務改革を「スローガン」から「検証可能な政策」に引き戻す役割を担いました。
この回は、前述の改革の評価軸を整理し直した場面でした。
当時、市の改革プランの効果額の説明は「単年度比較」と「累積」の間で揺れていました。私はここを正面から整理しました。
結果として、市側は累積効果額の根拠を説明することになりました。
そして、市からはごみ行政改革の効果として「約2.2億円程度の累積効果が出ている」といった説明が行われました。しかし私は、この数字をそのまま成果として受け取るのではなく、改革プランとの整合関係の中で評価する必要があると考えました。
というのも、八尾市が公表している「トップランナー方式に基づく改革プラン」では、年度ごとの取り組みを積み上げた 累積削減効果額 が政策目標として示されており、令和4年度末時点での累積目標額は 約3.4億円 とされていました。つまり、この時点で示された効果額が約2.2億円程度であるならば、計画に照らした場合にはまだ目標水準に到達していないことになります。
私はこの点を議場で明確に指摘しました。単に「2.2億円の効果が出ている」という説明だけでは、改革が順調に進んでいるのか、それとも計画との差が生じているのかが判断できません。改革プランという基準がある以上、その基準と照らして評価する必要があります。仮に累積効果が2.2億円であるならば、目標の3.4億円との差は約1.2億円になります。この差がどこから生じているのか、つまりどの改革項目が計画どおり進んでおらず、どの部分で効果が出ていないのかを具体的に検証する必要があります。
このため私は、市に対して単に総額の効果額を示すだけではなく、改革メニューごとの実績や進捗状況を明らかにするよう求めました。改革を本当に進めていくのであれば、「効果が出ている」という説明にとどまるのではなく、計画との差を含めて検証し、その原因を整理したうえで次の改善につなげていくことが必要だからです。
当時の市側の説明では、効果の主因は
に偏っていました。
私はここを踏まえた上で、改革メニューは複数あるのに、成果が出ている部分だけで説明していないか?という観点で、項目別の実績提示を求めました。
トップランナー報告書には「現場経験を生かした他業務への異動」を通じた削減見込み(例:8名)も示されていました。
私はここを具体に取り上げ、現状を確認。市側は、この点について「達成できていない」旨を認めました。
このやり取りによって、改革の進捗について、
という構図が、議場で明確になりました。
行政改革は、計画を掲げただけで自動的に進むものではなく、実行段階で停滞することも少なくありません。だからこそ議会として、工程と期限を示しながら進捗を継続的に検証し、改革が実行段階で止まらないよう確認していくことが重要です。
令和5年9月の委員会では、収集作業中の事故に関する損害賠償案件の審査が議題でした。私はこの案件を単なる個別事故として処理するのではなく、収集業務の運用や安全管理の実態を確認する必要があると考え、事故の背景となる現場運用について具体的に確認しました。
当時の事故は、容器包装プラスチックの収集後、リサイクルセンター搬入を終えて次の収集先へ向かう途中に発生していました。市の説明では、収集の遅れがあったため信号待ちの間に作業員が荷箱を開けようとして下車し、その際に自転車と接触したという経過でした。私は、この説明を踏まえ、事故の背景にある現場運用について次の点を確認しました。
私は、事故を単なる現場の不注意として処理するのではなく、時間制約や人員配置などの業務構造の中で無理な運用が生まれていないかを検証し、管理部門として業務改善やスキーム改善を進める必要があると指摘しました。事故を契機に現場の実態を点検し、安全確保と業務改善の両面から運用を見直していく必要があるという問題意識を示したものです。
令和4年3月に入口を作った指定袋の議論を、令和5年12月には「制度疲労がより現実化した論点」として再提起しました。
私は、町会加入率低下が進めば、
という構造を示し、事業スキームの将来の持続可能性を問いました。
市側も、非加入世帯向けの「はがき(引換券)」が増加傾向であることに触れ、現行のやり方が課題になり得る旨の認識を具体的に示しました。
私はこの場面でまた、市民に伝わるように、指定袋の事業費を人口で割る考え方(1人あたり換算)など、負担の見え方を整理する方向も提示しました。
制度の議論は、抽象論にするとすれ違います。だからこそ「市民一人ひとりにとってどういう負担構造なのか」を可視化することが重要であるとの考えは今も変わりません。
令和6年3月の予算決算常任委員会では、トップランナー方式の検討結果報告書(令和2年度策定)から数年が経過する中で、なお「検討」や「協議」といった表現のまま残っている改革項目について、実行時期や工程を具体的に確認しました。改革プランの策定からすでに3年以上が経過しているにもかかわらず、なお実施時期が明確にならない項目があるのであれば、それは単に「検討が続いている」という説明では済まされない段階に来ていると考えたためです。
委員会ではまず、4月より開始する家庭系可燃ごみ収集運搬業務委託の位置付けについて再確認しました。
八尾市にとって家庭系可燃ごみ収集運搬業務の委託は初めての取組であり、市側は委託期間をおおむね3年間とし、その間に実施状況を検証したうえで、その後の実施体制を検討する、との考えを示しました。私はこの点について、委託を実施したこと自体をもって改革の到達点とするのではなく、実際の運用を検証し、その結果を踏まえて次の体制設計につなげることが重要であると指摘しました。初めての委託である以上、検証が形骸化しないよう、委託期間中にどのような観点で評価し、どの段階で次の判断を行うのかという枠組みを明確にしておく必要があると考えたためです。
次に、直営収集の運用についても見直しの必要性を確認しました。委託によって一部の業務が外部化されても、直営側の運用が従来のまま硬直していれば、事業全体としての効率化にはつながりません。とりわけ乗車人数(3人乗車)の運用については、単なる効率論にとどまらず、緊急時や感染症流行時などの状況においても柔軟に対応できる体制となっているのかという観点から、問題提起を行いました。コロナ禍においても3人乗車を前提とした運用が続いていた経緯を踏まえ、現場の実態や一般的な業務運用との整合を検証しながら、直営側の運用改善も同時に進める必要があると指摘、市側からは、「委託によって家庭ごみ収集の一部が外部化されることで、直営側も含めて効率化の余地を検討していく」との答弁が示されました。
さらに私は、トップランナー方式の改革プラン報告書で示されている改革項目のうち、いまだ実現していない項目について、具体的に確認を行いました。その中でも特に論点となったのが、収集車両の整理と通常期の収集頻度の見直しです。
まず車両の整理については、報告書における「作業車両」という表現と、決算資料等で用いられている「稼働車両」という用語の整理が必要であると考え、車両の定義と保有状況を確認しました。市側は、稼働車両19台とは別に、トラブル時の代替として使用する代車4台を保有していると説明しました。しかし、「事業規模の縮小に伴って車両を減らしていく」というトップランナーの趣旨からすれば、稼働車両か代車かという区分にかかわらず、保有している車両は減車対象として検討されるべきです。そのため、不要となる車両については売却等により整理を進めるべきであると指摘し、ようやく市側も順次処分を進める考えを示しました。さらに私は、検討にとどめるのではなく、具体的にいつ頃までに整理が進むのかという点まで踏み込み、令和6年夏頃までには売却が進む見込みであるのかを確認しました。
次に、通常期のし尿収集頻度の見直しについても確認しました。当時年末年始については、すでに月2回程度の収集へ見直しが行われていましたが、通常期の収集頻度については依然として従来の運用が続いていました。トップランナー方式改革プランでは、全世帯一律の収集頻度ではなく、月1回や3か月2回といった形で、必要性に応じて収集頻度を見直す可能性も示されていました。そこで私は、こうした見直しをいつ実現するのか?という点を具体的に確認しました。
市側は、「家庭ごとに収集頻度を分ける場合には、従来の手数料制度とは異なる形で、収集頻度に応じた料金体系を検討する必要がある」との考えを示しましたが、私は、制度設計の必要性を理解したうえで、それでもなお「検討」の段階にとどめるのではなく、令和6年度のどの時期から実施できる見込みなのかを示すべきではないかと問いかけました。
この一連の議論で私が重視したのは、改革項目を単に列挙するのではなく、「いつ実施するのか」「実施の条件は何か」「なぜ遅れているのか」という点を具体的に確認することでした。未実現の項目が長く残ったままになると、改革全体が「実施できた部分だけを説明する運用」に戻りかねません。そのため、未実現項目を期限と工程で管理し直し、改革を実行段階へ移していく必要があるという観点から議論を続けました。
上記のとおり、私はこれまで「制度」と「数字」に基づき、硬直化した事業構造を一つずつほどきながら、論点を明らかにし、改革を後押しする議論を積み重ねてきました。
令和8年3月3日の本会議における当会派の質疑に対する市長答弁では、その積み上げの結果として、改革の実績や現状が定量的に示されました。八尾市のごみ行政改革がどこまで進んできたのかが、議会の場で明確に確認された場面でした。
以下では、今回の質疑で示された改革の実績、現状および今後の施策について、答弁内容を基に整理します。
本会議質疑ではまず、八尾市のし尿収集事業について、これまで進められてきた業務改革の実績と現在の運用状況、さらに今後の制度設計について確認しました。今回の質疑では、改革が実際にどの程度の成果を上げているのかを、数値と制度変更の両面から確認しました。
まず、今回の答弁で示された定量的な成果を整理すると、し尿収集事業について、事業費が最大となった令和2年度を基準として比較した場合、令和6年度時点での歳出決算額は1億2,783万円減少、また、改革開始以降の累積効果は約3億円と説明されました。人員体制に関しては、技能労務職員数が令和3年度の52名から令和6年度末の39名へと推移しており、結果として13名の減少となっています。労務面では、令和6年度の超過勤務が令和3年度比で約14,000時間減少し、超過勤務手当も約4,200万円削減されたとされています。加えて、市の説明では令和7年度決算において、超過勤務のさらなる減少を見込むとされています。
次に、これらの成果がどのような改革によって実現されたのかを、制度と運用の観点から整理します。
収集制度については、収集量が少ない世帯に対応するため、月1回収集制度が創設されました。これにより、排出量の少ない世帯に対しては収集頻度を調整する運用が可能となり、業務の効率化が図られています。臨時収集の運用についても見直しが行われ、臨時収集は原則として平日勤務時間内で対応する体制に変更され、これに伴い収集員の土曜出勤が廃止されたと説明されています。勤務制度については、祝日勤務を従来の休日出勤扱いから指定休制度に変更し、勤務シフトによる運用へ移行、超過勤務の縮減に寄与したとされます。
業務管理の面では、職員の知識や経験に依存していた業務運用から脱却するための取り組みとして収集業務への地図ソフトの導入が示されました。収集ルートや作業状況を可視化し、業務の「見える化」を進めることで、運用の標準化と効率化につなげる趣旨が説明されています。
あわせて、業務の適正管理を担保するためのモニタリング体制についても、具体の仕組みが示されました。収集量の管理については、投入前と投入後の2回計量を実施しているとされています。日報管理では、走行距離、燃料メーター、出庫時間、入庫時間といった項目の記録を義務付けていると説明されました。さらに必要に応じて、GPSによる走行軌跡の確認を行う体制が構築されているとされています。
組織運営の面では、内部統制の整備に向けた取り組みが説明されました。環境部においては公務員倫理研修を実施し、職種を問わず全職員に受講させているとされ、環境部に限らず全職員対象の倫理研修も実施しているとされています。また、環境衛生庁舎においては指揮命令系統を再確立し、職種を問わず情報共有や意見交換ができる会議を複数設置するなど、組織運営の見直しが進められていると説明されました。さらに、令和7年度からの人事評価制度改革に合わせ、技能労務職員を含めた人事評価面談を実施するとともに、監督職である技能長を一次評価者に選定し、指導・監督機能を担わせることで、制度面から内部統制の確立を図るとされています。
一方で、市は今後の課題として、退職者不補充に伴う技能労務職員の高齢化や、若い会計年度任用職員の他への転職などが見込まれることを挙げ、業務量の減少と必要職員数のバランスが課題である、としています。民間委託の在り方については、現状では市民サービスの低下を招くことなく業務の効率化や体制のスリム化を最大限実現できていることから、現時点で民間委託は考えていないとされましたが、今後、汲み取り世帯数や職員状況等に大幅な変化が生じた場合には、費用対効果を踏まえて検討すると説明されています。
あわせて、指定ごみ袋制度についても、市の現状認識と今後の方向性が示されました。行政コストについて、市は社会状況の変化などにより費用は増加していくとの認識を示し、配布実態については家庭の状況によって受け取りやすい時間帯や場所等に差異があると認識していると説明しました。転売対策については、本市指定袋が転売されている問題を深刻に受け止めており、指定袋の適正利用の考え方を定めたうえで、フリマサイト等の管理者への働きかけや、指定袋への転売禁止表示の見える化などにより、市民・事業者へ協力を求めているとされています。そのうえで、市は指定ごみ袋の配布方法の在り方等について抜本的な見直しに向け検討すると説明しました。さらに、限りある資源を有効に活用する観点から、デジタル技術の活用による効率的かつ公平な指定袋の配布や、市民にとって利用しやすい申請方法について研究するとし、制度全体についても社会状況の変化や市民ニーズを把握しつつ慎重に進める必要があるとの認識を示しています。
この様に、令和8年3月3日の本会議における市長答弁では、し尿収集部門を中心に、改革の成果と運用の変更点が「数字」と「制度」によって示されました。これは、私が令和4年から令和6年にかけて積み上げてきた論点――すなわち、改革を「善悪」や「印象」ではなく「検証可能な基準」に置き直し、実行段階まで追い切るという議論――が、答弁の形で可視化された局面でした。
私は令和5年9月本会議で、改革効果の説明が「単年度比較」と「累積」の間で揺れる状況に対し、「評価すべきは累積効果である」と整理しました。前段でも述べたとおり、「『1億円程度の効果』と言っても単年度か累積かで意味が変わる」「改革プランの趣旨は年度ごとの実績を積み上げることではないか」という問題提起です。
この点に対して、今回の市長答弁は、最も重要な評価軸である「累積」に明確に依拠しています。歳出決算額について、基準年度(令和2年度)比で令和6年度が 1億2,783万円減少したことに加え、「その間の累積削減効果額は約3億円」と説明されました。単年度の減少額だけでなく、累積で示したこと自体が、私が求めてきた“検証のルール”に沿った提示です。
私は、直営前提の長期運用が「歳出や人員配置の面でも見直しが進みにくい状態」を生み、さらに「慣行・人員・労務・統制の面で硬直化すると、税金の使い道としての合理性が見えにくくなる」と課題提起してきました。これは抽象論ではなく、「人員の持ち方」と「時間外の発生構造」を変えないと、どれだけ改革プランを書いても効果が積み上がらないという問題意識です。
これに対し、今回の市長答弁は、まさに“硬直の解除”として最も分かりやすい定量的数値を示して頂きました。
技能労務職員数は 令和3年度52名→令和6年度末39名で、体制がスリム化しています。さらに、超過勤務は約1万4,000時間減少、超過勤務手当は 約4,200万円削減と、労務の構造に踏み込んだ成果が示されました。私は令和5年9月本会議で、効果額の中身が「退職者不補充」と「超過勤務削減」に偏っている可能性を前提に「改革メニューごとの実績提示」を求めましたが、今回の答弁は、少なくともこの二領域(人員と超勤)について、成果を“実績として”言い切れる段階に来たことを示しています。
他方で、当時私が強調したのは、「数字が出やすい部分」だけで改革を評価しない、という点でした。今回の答弁でも、人員と超勤の成果は大きく示された一方、課題として「退職者不補充による高齢化」「若い会計年度任用職員の転職」など、体制維持に関わるリスクが挙げられています。これは、私が改革議論を“結果の数字”だけで終わらせず、“次の制約条件”まで含めて工程管理する必要があると考えてきた点と接続します。成果が出たからこそ、次は人材構造のリスクをどう管理するかが論点になります。
私は令和5年6月委員会で、「改革プランに書いたスリム化や効果額は、実際に達成できる設計になっているのか」と問い、単なる理念ではなく、運用がどう変わるのかを議論しました。令和6年3月予算委員会でも「検討では済まされない段階」「実行時期と工程」を求めています。要するに、紙に書いた改革が現場の作業手順・勤務制度・配置のルールに落ちているかが核心です。
この点で、今回の市長答弁にて示された具体策は「実装された変更」として評価できるものが並びます。月1回収集制度の創設、臨時収集を平日に寄せて土曜出勤を廃止、祝日勤務を指定休制度へ変更――これらは、労務と業務手順の両面に触れる改革であり、「運用が変わった」と言える材料です。私は令和6年3月の質疑で、検証枠組みが形骸化しないように論点整理を行いましたが、今回の答弁は“何を変えたか”が具体で、検証の対象が示されています。
令和5年9月委員会で私は、ごみ収集車事故を題材に、「個別案件」ではなく、現場運用と統制の問題として扱いました。前述のとおり、荷箱を開けたまま走る運用、搬入時の乗車ルールの形骸化の疑い、若い職員が走り回るような無理な運用などを挙げ、これらを「管理部門として業務改善・スキーム改善を求める」という論点です。ここでのポイントは、「安全」を掲げるだけでは不十分で、逸脱行動が起きる構造を管理で潰す必要がある、という点でした。
これらに関連する項目として市長答弁では、し尿収集業務管理の具体策として、投入前後2回計量、日報での走行距離・燃料・出庫入庫の記録義務、必要に応じたGPS軌跡確認といった、管理の具体的な“仕掛け”が示されました。さらに、モニタリング体制についても、環境衛生庁舎の事務職員だけでなく、全庁的協力のもと現場視察を行い改善提案につながった、という説明がありました。私が事故審査の際に求めたのは、現場任せにしない管理の実効性でしたが、今回の答弁は管理部門が「確認できる記録」と「確認できる仕組み」を挙げており、統制の具体化として読み取れます。
また、内部統制に関連し、私は冒頭で、直営運用の長期化が統制の弱体化を招いてきたこと、そして実際にし尿収集部門で逮捕者が発生したことを踏まえ、個別事案ではなく組織運営の問題として捉えるべきだと書きました。この論点は、財政効果以上に“基礎サービスの信頼性”に直結します。改革が数字だけ進んでも、統制が弱ければ再び崩れます。
今回の市長答弁では、公務員倫理研修の実施(環境部内・全庁)、指揮命令系統の再確立、会議体の複数設置による情報共有、技能労務職員との評価面談、技能長を一次評価者に置く制度設計など、統制と人事の両面が具体に示されました。ここは、私が提示してきた「硬直化した直営組織の構造をほどく」という問題意識に対し、最も“制度的な手当て”が示された部分です。改革が続くかどうかは、成果の数字よりもむしろ、この統制が継続運用されるかにかかっています。
私は令和4年3月の段階から、指定ごみ袋制度を「町会依存」「公平性」「運用コスト」「制度疲労」として議題化し、令和5年12月には町会加入率低下による負担増・不公平・行政コストの増加構造を再度問題提起しました。ここは、単に「不便」ではなく、「制度の前提条件が崩れていく」という設計面での問題です。
市長答弁では、行政コストは増加していく認識、受け取りやすさに差異がある認識、転売問題を深刻に受け止めていること、フリマサイトへの働きかけ・転売禁止表示の見える化、そして「抜本的な見直しに向け検討」と明言されました。さらに、デジタル技術の活用による効率的・公平な配布、利用しやすい申請方法を研究する旨も述べられています。私は「制度疲労」を早期に議題化してきましたが、今回の答弁は、市が制度課題を公式に認め、見直しの方向を示された点で、議会での論点設定が市の政策議題として定着したことと評価しています。
今回の議会で、市長答弁を通じて、し尿収集部門を中心とした改革の成果が「数字」と「制度」で具体的に示されましたが、改革は議場での議論だけで完結するものではありません。現場の職員の皆様が、日々の業務を回しながら運用を改め、制度変更を実装し、業務管理の手順を積み上げてこられたからこそ、成果として結実したものです。改革の過程では負担や戸惑いも少なくなかったはずであり、その中で取り組みを進められた関係職員の皆様のご尽力に敬意を表します。あわせて、現在の環境衛生庁舎は管理部門との情報共有や意見交換が進み、風通しも改善してきていると伺っており、こうした組織運営面の改善についても実績として評価したいと考えています。
また、私自身はこれまで、改革の進捗、手法、実現策を、制度と数字に基づき細部まで検証し、工程と指標で追い切るという立場で議論を重ねてきました。その一方で、そもそも大きな改革の方針を掲げ、旧態依然とした業務の抜本的な見直しに踏み出すためには、首長の政治的決断が不可欠です。トップランナー方式をはじめ、改革の方向性を明確に示し、実行へと舵を切った大松市長の決断がなければ、ここまでの見直しは容易には進まなかったと考えます。納税者目線での効率的な業務遂行と、基礎サービスの持続可能性の担保が、具体的な成果として示されたことは大変意義深く、市長の手腕についても評価したいと思います。
もっとも、改革は「一度できた」だけでは十分ではありません。再び慣行に引き戻されたり、統制が緩んだりすれば、成果は容易に損なわれます。今回示された業務管理、モニタリング、内部統制の枠組みが、個人の努力ではなくシステム・仕組みとして八尾市に定着し、将来にわたって維持されることが重要です。私は今後も、改革が実行段階で止まらないよう、また成果が一過性に終わらないよう、工程と指標に基づく検証を継続し、必要な議論を重ねてまいります。
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ホーム>政党・政治家>稲森 洋樹 (イナモリ ヒロキ)>八尾市のごみ問題は「制度設計」だった――数字と議会論点で追う行政改革