2026/2/16
令和6年3月の市議会(本会議・委員会)で、私・稲森が八尾市に提言した「PFS(成果連動型民間委託)」という事業手法が、このたび令和8年度予算において具体化へ向けて動き出しました。
令和8年度の市政運営方針(重点項目)には、介護予防分野などでPFSを活用する方向性が明確に掲げられています。
これは八尾市にとって、少なくとも“制度として位置づけて進める”という意味で、大きな転換点になり得るテーマです。
令和8年度市政運営方針の重点項目(健康・福祉分野)において、執行部からは次のような方向性が示されています。
・成果連動型民間委託契約方式(PFS)を活用した社会参加型介護予防の推進
具体的には、
といった方向性が示されています。

PFSは単なる「民間委託」ではありません。
行政が「事業を実施したかどうか」ではなく、「どのような成果が生まれたのか」を基準に、支出のあり方そのものを変える仕組みです。
当時の議論を経て、今回こうして予算上の位置づけがなされたことは、率直に大きな前進だと受け止めています。
とはいえ、ここからが本番です。
PFSは「導入します」と言うだけなら簡単ですが、成果指標の設計やリスク分担を誤れば、制度は機能しません。
だからこそ、3月議会に向けて、予算と事業設計の中身を丁寧に確認していきたいと考えています。
PFS(Pay for Success / 成果連動型民間委託)は、ざっくり言えばこういう仕組みです。
つまり「とりあえず民間委託して、やりました」で終わらない。
成果が出るように、事業者も行政も本気で設計・運用をしないと回らない仕組みです。
このPFSがとくに相性がいいのが、医療・健康・介護予防の分野です。
なぜかというと、ここは “成果=将来の支出の抑制” とつながりやすいから。
例えば——
健康診査の受診率が上がる
→ 生活習慣病の重症化を防げる
→ 入院や透析のリスクが下がる
→ 医療費が抑えられる(=市の財政負担の抑制につながる)
もちろん、医療費は一気にゼロにはなりません。
でも「伸び方を鈍らせる」ことができれば、それは財政にとっても、市民の健康にとっても大きなメリットです。
令和6年3月、健康福祉分野の委員会で私は次の点を強く訴えました。
当時、担当部門からは
「現時点では具体的な予定はない」
「計画に書いた目標は少し先走ったものだったかもしれない」
という趣旨のご答弁もありました。
しかし私は、そこで議論を深め、
PFSは平成29年頃から実施している自治体も複数あり、もはや“時期尚早”ではない。
むしろ、医療費・介護費が増え続ける構造の中で、行政が本気で取り組むべき領域・手法である。
と、提言を行いました。
そして今回、令和8年度予算・市政運営方針の重点項目に位置づけられた。
ここは大きな前進だと受け止めています。
今回のポイントは、「何か新しい事業が増えた」という話にとどまりません。
八尾市が“成果ベースでお金を出す”という考え方を、実装し始める
——ここに意味があります。
行政サービスは重要です。
しかし人口減少・高齢化の時代に、行政が従来通りの枠組みで全てを抱え続けるのは現実的に難しい。
だからこそ、
こういう自治体経営の型が必要です。
PFSは、その象徴的な一歩になり得ます。
PFSは、「導入する」と決めることよりも、どう設計するかが何より重要です。
制度の骨格が甘ければ、成果は出ません。
まず、何をもって成果とするのか。
介護予防と言っても、参加者数なのか、状態の改善なのか、将来的な負担の抑制なのか。
成果の定義が曖昧であれば、制度は機能しません。
次に、公平で持続可能な仕組みになっているか。
成果にはさまざまな外的要因が影響します。
事業者に過度なリスクを負わせれば、優良な担い手は参入しません。
一方で、市民負担につながるような設計でもいけません。
バランスが肝心です。
また、事業全体を誰がどう回すのか。
データ管理や評価、改善のサイクルを確立できる体制になっているのか。
仕組みが持続する構造になっているのかも重要な論点です。
そして何より、
この事業がどのように市民の健康と財政の健全性につながるのか。
その道筋が市民にも分かる形で示されるべきだと考えます。
繰り返しますが、PFSは単なる委託ではありません。
「成果で支払う」という、自治体経営の新しい型です。
型が整えば、効果は積み上がります。
型が曖昧なら、単発で終わります。
だからこそ、導入そのものよりも、設計の質にこだわって確認していきたいと思います。
今回、八尾市で初めてPFSが本格的に動き出すことは、介護予防の話のみにとどまりません。
この型が一度確立すれば、他の政策分野にも横展開が可能になります。
内閣府が示す成果連動型民間委託の類型を見ても、医療・介護分野にとどまらず、子ども支援、就労支援、まちづくり、地域活性化、環境分野など、幅広い政策領域で活用が進められています。
例えば――
空き家対策や商店街活性化などのまちづくり分野、
不登校支援や学習支援など教育分野、
就労困難者の就労定着支援などの分野でも、成果を明確にし、その達成度に応じて支出を行う仕組みは理論上構築可能です。
重要なのは、「事業を実施したか」ではなく、「社会課題がどれだけ改善したか」に軸を置くという、従来型の行政の事業の発想の転換です。
介護予防PFSの導入は、その第一歩にすぎません。
八尾市が“成果で経営する自治体”へ転換できるかどうか。その試金石になると考えています。
市民の健康増進と財政の健全性が両立する仕組みとして、本市のPFSがしっかりと根付くことを願っています。
議会人としても、制度が形だけで終わらないよう、引き続き建設的な議論を重ねてまいります。
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ホーム>政党・政治家>稲森 洋樹 (イナモリ ヒロキ)>【八尾市初】介護予防PFSが予算化―議会提言から令和8年度で実装へ