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稲森 洋樹 ブログ

【八尾市初】介護予防PFSが予算化―議会提言から令和8年度で実装へ

2026/2/16

令和6年3月の市議会(本会議・委員会)で、私・稲森が八尾市に提言した「PFS(成果連動型民間委託)」という事業手法が、このたび令和8年度予算において具体化へ向けて動き出しました。

令和8年度の市政運営方針(重点項目)には、介護予防分野などでPFSを活用する方向性が明確に掲げられています。
これは八尾市にとって、少なくとも“制度として位置づけて進める”という意味で、大きな転換点になり得るテーマです。

◇現時点で市執行部から示されている内容(PFS関連)

令和8年度市政運営方針の重点項目(健康・福祉分野)において、執行部からは次のような方向性が示されています。

・成果連動型民間委託契約方式(PFS)を活用した社会参加型介護予防の推進

具体的には、

  • PFSを活用した介護予防プログラムを実施
  • 社会参加の促進を通じて健康寿命の延伸を図る
  • 要介護状態への移行を緩やかにする
  • 高齢者が自立した生活を継続できる環境づくりをめざす

といった方向性が示されています。

PFSは単なる「民間委託」ではありません。
行政が「事業を実施したかどうか」ではなく、「どのような成果が生まれたのか」を基準に、支出のあり方そのものを変える仕組みです。

当時の議論を経て、今回こうして予算上の位置づけがなされたことは、率直に大きな前進だと受け止めています。

とはいえ、ここからが本番です。
PFSは「導入します」と言うだけなら簡単ですが、成果指標の設計やリスク分担を誤れば、制度は機能しません。
だからこそ、3月議会に向けて、予算と事業設計の中身を丁寧に確認していきたいと考えています。

◇PFSって何? なぜ介護予防・医療・健康の分野と相性がいいのか

PFS(Pay for Success / 成果連動型民間委託)は、ざっくり言えばこういう仕組みです。

  • 市(行政)は、民間事業者に事業を委託する
  • ただし、 成果が出た分だけ委託費(対価)を支払う
  • 逆に言えば、成果が出なければ事業者側のリスクも一定負う

つまり「とりあえず民間委託して、やりました」で終わらない。

成果が出るように、事業者も行政も本気で設計・運用をしないと回らない仕組みです。

このPFSがとくに相性がいいのが、医療・健康・介護予防の分野です。
なぜかというと、ここは “成果=将来の支出の抑制” とつながりやすいから。

例えば——
健康診査の受診率が上がる
→ 生活習慣病の重症化を防げる
→ 入院や透析のリスクが下がる
→ 医療費が抑えられる(=市の財政負担の抑制につながる)

もちろん、医療費は一気にゼロにはなりません。
でも「伸び方を鈍らせる」ことができれば、それは財政にとっても、市民の健康にとっても大きなメリットです。

◇令和6年3月の委員会で私が提言したこと(当時の空気感)

令和6年3月、健康福祉分野の委員会で私は次の点を強く訴えました。

  • 八尾市の計画はアウトカム(成果指標)を掲げていて方向性は正しい
  • しかし “どう達成するか” が課題になる
  • その達成手段としてPFSは適合し、先進事例も豊富にある
  • 福岡市や神戸市などでは、服薬指導や重症化予防などで成果が出ている事例がある
  • 行政だけではスキーム設計が難しい場合、 中間支援組織 を置いて回すやり方もある
  • つまり、市民・行政・事業者の「三方よし」になり得る

当時、担当部門からは

「現時点では具体的な予定はない」
「計画に書いた目標は少し先走ったものだったかもしれない」

という趣旨のご答弁もありました。

しかし私は、そこで議論を深め、

PFSは平成29年頃から実施している自治体も複数あり、もはや“時期尚早”ではない。
むしろ、医療費・介護費が増え続ける構造の中で、行政が本気で取り組むべき領域・手法である。

と、提言を行いました。

そして今回、令和8年度予算・市政運営方針の重点項目に位置づけられた。
ここは大きな前進だと受け止めています。

◇八尾市で「初めてのPFS導入」が持つ意味

今回のポイントは、「何か新しい事業が増えた」という話にとどまりません。

八尾市が“成果ベースでお金を出す”という考え方を、実装し始める
——ここに意味があります。

行政サービスは重要です。
しかし人口減少・高齢化の時代に、行政が従来通りの枠組みで全てを抱え続けるのは現実的に難しい。

だからこそ、

  • 民間のノウハウを活かす
  • ただし丸投げではなく成果で管理する
  • 成果を測って、改善する

こういう自治体経営の型が必要です。
PFSは、その象徴的な一歩になり得ます。

◇3月議会に向けて確認していきたいこと(設計がすべて)

PFSは、「導入する」と決めることよりも、どう設計するかが何より重要です。
制度の骨格が甘ければ、成果は出ません。

まず、何をもって成果とするのか。
介護予防と言っても、参加者数なのか、状態の改善なのか、将来的な負担の抑制なのか。
成果の定義が曖昧であれば、制度は機能しません。

次に、公平で持続可能な仕組みになっているか。
成果にはさまざまな外的要因が影響します。
事業者に過度なリスクを負わせれば、優良な担い手は参入しません。
一方で、市民負担につながるような設計でもいけません。
バランスが肝心です。

また、事業全体を誰がどう回すのか。
データ管理や評価、改善のサイクルを確立できる体制になっているのか。
仕組みが持続する構造になっているのかも重要な論点です。

そして何より、
この事業がどのように市民の健康と財政の健全性につながるのか。
その道筋が市民にも分かる形で示されるべきだと考えます。

繰り返しますが、PFSは単なる委託ではありません。
「成果で支払う」という、自治体経営の新しい型です。
型が整えば、効果は積み上がります。
型が曖昧なら、単発で終わります。

だからこそ、導入そのものよりも、設計の質にこだわって確認していきたいと思います。

◇「改革の型」をつくる挑戦

今回、八尾市で初めてPFSが本格的に動き出すことは、介護予防の話のみにとどまりません。

  • 成果を定める
  • 測る
  • 検証する
  • 改善する

この型が一度確立すれば、他の政策分野にも横展開が可能になります。

内閣府が示す成果連動型民間委託の類型を見ても、医療・介護分野にとどまらず、子ども支援、就労支援、まちづくり、地域活性化、環境分野など、幅広い政策領域で活用が進められています。

例えば――
空き家対策や商店街活性化などのまちづくり分野、
不登校支援や学習支援など教育分野、
就労困難者の就労定着支援などの分野でも、成果を明確にし、その達成度に応じて支出を行う仕組みは理論上構築可能です。

重要なのは、「事業を実施したか」ではなく、「社会課題がどれだけ改善したか」に軸を置くという、従来型の行政の事業の発想の転換です。

介護予防PFSの導入は、その第一歩にすぎません。
八尾市が“成果で経営する自治体”へ転換できるかどうか。その試金石になると考えています。

市民の健康増進と財政の健全性が両立する仕組みとして、本市のPFSがしっかりと根付くことを願っています。
議会人としても、制度が形だけで終わらないよう、引き続き建設的な議論を重ねてまいります。

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著者

稲森 洋樹

稲森 洋樹

選挙 八尾市議会議員選挙 (2023/04/23) [当選] 3,462 票
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