小谷 英次郎 ブログ

「守るために、変わり続ける」― 創業158年の和菓子屋と、世界を旅した私の「鳥取県民の日」

2026/9/12

158年続く実家の和菓子屋。そして、私が受け継いだもの

今日は、兄の誕生日です。

そして、「鳥取県民の日」でもあります。

そんな日に、少しだけ、私が生まれ育った鳥取の実家のことを書いてみようと思います。

もう4か月も前のことになりますが、5月15日。

実家の和菓子屋が、創業158年を迎えました。

……と書きながら、白状しなければなりません。

私は、その大切な日を完全に忘れていました(笑)。

158年も続いている家に生まれておきながら、です。

でも最近、この「忘れていた」ということも含めて、家族から自分が何を受け継いできたのか、考えるようになりました。

江戸から令和へ、158年

もともと、私の実家は染物屋でした。

江戸時代には染物屋として栄え、時代の変化に合わせて和菓子屋へ転身したのが慶応3年。

1867年です。

そこから158年。

江戸、明治、大正、昭和、平成、そして令和。

考えてみれば、途方もない時間です。

戦争もあった。
災害もあった。
景気の良い時代も、厳しい時代もあったでしょう。

人々の暮らしも、食べるものも、価値観も大きく変わりました。

それでも、店は鳥取の同じ土地で続いてきました。

代々の当主は、家庭裁判所で正式な手続きをして、本名そのものを屋号に改名してきました。

5代目である父も、生まれたときとはまったく違う名前を今は名乗っています。

店を継ぐということは、名前まで変えることだった。

子どもの頃の私は、その重さをほとんど理解していなかったと思います。

そして、私だけが鳥取を出た

親兄弟も親族も、その多くは今も鳥取で暮らしています。

私が生まれた45年前から、ほとんど同じ場所に根を張り、生きてきました。

ところが、私だけはまるで違う人生を歩みました。

18歳で鳥取を離れ、これまで20回を超える引っ越しをしました。

100を超える国、1000を超える街を旅してきました。

同じ場所に根を張るどころか、ずっと動き続けてきた人生です。

そんな私が、気づけば小田原で暮らして12年を超えました。

鳥取で過ごした最初の18年間を除けば、こんなに長く暮らした場所はありません。

このままいけば、いつか小田原は、私が人生で最も長く暮らした場所になります。

45歳になって、ようやく私にも、

「根を張る」ということが、少しずつ分かり始めてきたのかもしれません。

世界を回って分かった、故郷の味

100を超える国を旅していると、不思議なことに気づきます。

食べ物のおいしさは、料理そのものだけで決まるわけではありません。

気候。
湿度。
気温。
水。
そして、その土地の空気。

暑い国では強い香辛料が欲しくなる。

乾いた土地では、普段とは違う酒がおいしく感じる。

寒い場所では、身体が求める料理が変わる。

人間の味覚は、自分で思っている以上に、その土地とつながっているのだと思います。

だから私は、本気でこう思っています。

実家の和菓子は、鳥取で食べるときに世界一うまい。

東京でも、小田原でもなく。

鳥取の空気の中で食べたときが、一番うまい。

きっと慶応3年、創業当時のあんこの味は、今とはまったく違ったはずです。

158年間、まったく同じ味を守り続けてきたわけでもないでしょう。

気候が変わる。
材料が変わる。
人々の暮らしが変わる。
そして、味覚も変わる。

その時代、その土地の人が「おいしい」と思うものへ、ほんの少しずつ変わってきた。

だからこそ、158年続いたのだと思います

その時代、その土地の人が「おいしい」と思うものへ、ほんの少しずつ変えてきた。

だから、158年続いたのだと思います。

守るために、変わる

私は、ある言葉が好きです。

“Reform to conserve.”

守るために、変わる。

変わらないために、変わり続ける。

実家の158年を考えると、この言葉の意味がよく分かります。

染物屋から和菓子屋へ。

これは、ものすごく大きな変化だったはずです。

それでも、家は続いた。

和菓子屋になってからも、時代に合わせて少しずつ変わり続けたからこそ、令和の今まで店が残った。

何も変えないことが「守る」ことではありません。

本当に大切なものを残すために、変えるべきものは変える。

私は、それこそが本当の意味での「守る」ということなのだと思います。

かつて枝野幸男さんが、

「リベラルとは究極の保守である」

と語られたことがあります。

私は、この言葉に深く共感します。

何を変えるのか。

そして、何だけは絶対に変えてはいけないのか。

大切なのは、その見極めなのだと思います。

鳥取を離れたから、分かったこと

若い頃の私は、外へ出ることばかり考えていました。

鳥取を出たい。

日本を出たい。

知らない世界を見たい。

実際に、世界中を歩きました。

でも皮肉なものです。

遠くへ行けば行くほど、故郷が見えるようになりました。

世界を見たからこそ、同じ土地に根を張り、同じ場所で営みを続けることが、どれほど大変なことなのかが分かる。

毎日店を開ける。

お菓子をつくる。

お客さんを迎える。

それを一年ではなく、十年でもなく、世代を越えて続けていく。

派手ではありません。

でも、ものすごいことです。

粘り強く鳥取に根を張り続けてきた父や母、兄弟、そして親族たちを、今は心から尊敬しています。

でも、私は創業記念日を忘れていた

ここまで158年について書いておきながら、私は今年も5月15日を忘れていました。

なぜなのだろう。

そんなことを考えていて、ふと思いました。

私は子どもの頃から、母の愛情はいつも感じていました。

一方で、父のことはずっと苦手でした。

父と私では、生き方も、考え方も、ずいぶん違いました。

近すぎるからこそ、分かり合えないこともあったのだと思います。

それでも、今になって気づくことがあります。

父と母にとって、5月15日の創業記念日よりも大切な日がありました。

私たち兄弟の誕生日です。

158年続く店を守ってきた父と母が、その店の記念日以上に、私たちが生まれた日を大切にしてくれた。

考えてみれば、これはとても大きなことなのかもしれません。

家業を継ぐことだけが、「受け継ぐ」ということではなかった。

店を継がなかった私にも、ちゃんと受け継がれているものがありました。

私が次の世代へ渡したいもの

私は実家の和菓子屋を継ぎませんでした。

鳥取を離れました。

父とは全く違う人生を歩んでいます。

それでも、私の身体には、158年どころではない時間をかけて、先祖から先祖へ受け継がれてきたものが流れています。

もちろん、それは血だけではありません。

人を大切にすること。

働くこと。

土地を愛すること。

変化を恐れないこと。

そして、本当に大切なものを守るために、変わる勇気を持つこと。

そういうものもまた、知らないうちに受け取っていたのだと思います。

今、私には次の世代へ何を渡せるだろう、と考えることが増えました。

158年続く店を、そのまま渡すことはできません。

父と同じ人生を生きることもできません。

でも、それでいいのだと思います。

受け継ぐとは、同じ人生を繰り返すことではない。

受け取った大切なものを、自分の時代に合わせて少しだけ形を変え、次の世代へ渡すことなのかもしれません。

父から私へ。

母から私へ。

鳥取から私へ。

そしていつか、私から次の世代へ。

私の全身を駆け巡っている、ずっと昔から受け継がれてきた大切なものを。

私なりの形にして。

思いを込めて。

そっと、次の世代へ手渡してやりたい。

45歳になった今、そんなふうに思っています。

そして今日は、兄の誕生日。

158周年を忘れていた弟ですが、こちらは忘れていません(笑)。

兄ちゃん、誕生日おめでとう。

そして、鳥取県民の日に。

遠く離れた小田原から、私を育ててくれた故郷・鳥取へ。

ありがとう。

(写真は母と兄と私)

*9月17日午後3時半〜小谷英次郎一般質問で市議会議場に登壇します。

【917一般質問への意気込みはこちら】

https://ameblo.jp/yasasiiuta5614/entry-12977701702.html

👉【小谷英次郎 最新YouTube動画はこちら】

https://www.youtube.com/watch?v=6acakvDQGYw

この記事をシェアする

著者

小谷 英次郎

小谷 英次郎

肩書 世界中を旅した元熱血高校教師
党派・会派 立憲民主党

小谷 英次郎さんの最新ブログ

ホーム政党・政治家小谷 英次郎 (コダニ エイジロウ)「守るために、変わり続ける」― 創業158年の和菓子屋と、世界を旅した私の「鳥取県民の日」

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode