2026/6/4
「備えあれば憂いなし」
防災の世界でよく使われる言葉ですが、実際に被災された方の足跡や、自然の圧倒的な破壊力を目の当たりにすると、ふと思います。
――備えがあれば、本当に憂いは「なくなる」のだろうか、と。
答えはきっと、ノーです。備えていても怖さは消えないし、悲しみをゼロにすることはできないかもしれない。
でも、備えがあれば、被害を確実に「減らす」ことはできる。
先日、オープン3年目を迎えた熊本の震災ミュージアム『KIOKU(キオク)』を訪問しました。熊本地震から10年。現地で肌で感じた驚きと、私たちが今すぐ始めるべき「足元の備え」について綴ります。

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# 1. 28時間に2回の震度7。活断層の真上で起きたこと
熊本地震の特異性は、28時間以内に同じエリアで「震度7」の地震が2回も起きたことにあります。これは日本の観測史上、過去に例がない事態でした。
その原因となったのが、まさにこの地の真下を走る「活断層」です。
ミュージアムの敷地内には、地表に生々しく現れた「割れた活断層」が保存されています。通常、地層のズレがこれほど綺麗に地表に露出することは極めて稀だそうです。初めて肉眼で見るその亀裂は、地球が生きていること、そしてその力がどれほど凄まじいかを静かに物語っていました。

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# 2. 記憶を留める58件の「震災遺構」
館内や周辺には、当時の被害がそのままの姿で留められている「震災遺構」が58件もあります。
* 根元から折れ、崩れ落ちた阿蘇大橋や「数鹿流崩れ(すがるくずれ)」の爪痕

* 形を保てず倒壊した家屋
* ひしゃげた法面や、ちぎれたガードレール
特に衝撃的だったのは、地割れが教室を真っ二つに横断している校舎の姿でした。昨日まで子どもたちが笑っていたはずの場所を、一瞬で引き裂いたエネルギー。教科書の文字やニュースの映像だけでは決して伝わらない重みが、そこにはありました。
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# 3. 防災課ではなく「観光課」が管轄する、これからの震災ミュージアム
この『KIOKU』を巡る中で、とても興味深い事実を知りました。
この施設の運営を管轄しているのは、自治体の「防災課」ではなく**「観光課」**なのです。
「震災の記憶」と「観光」。一見、相反するように思える組み合わせですが、数字を見るとその戦略の意味が分かります。
* **年間来場者数:** 令和7年度は約55,000人
* **来場者の内訳:** 県外からの訪問客が全体の約7割
* **トレンド:** インバウンド(外国人観光客)も増加傾向
震災から10年が経ち、どうしても記憶の風化が懸念される中で、「いかに次の世代や外部の人に伝えていくか」が大きな課題となっています。「記憶の語り部」の確保といった深刻な問題にも直面しています。
だからこそ、単に「悲しい過去を学ぶ場所」で終わらせない工夫が必要なのです。
現地では「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」など、エンターテインメントの力を借りて前向きに人を呼び込む、新しい復興の形が随所に見られました。

広く人に来てもらい、見てもらい、知ってもらうこと。それ自体が、最大の防災啓発になるのだと気づかされました。
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# 4. まとめ:熊本の教訓を胸に、自分の足元を調べる
今回の訪問を終えて、私はある強い衝動に駆られました。
「自分の地元である、愛知県の活断層の場所を調べてみたい」ということです。
これまではどこか他人事のように捉えていた「活断層」という言葉。しかし、KIOKUで見た地表の割れ目は、まぎれもなく私の足元にも繋がっているかもしれないリスクです。
どこに断層があり、自分が暮らす街がどんな地盤の上にあるのか。それを正しく知ることこそが、憂いを減らすための本当の「備え」の第一歩になります。
みなさんもぜひ、熊本を訪れる際は『KIOKU』へ足を運んでみてください。

そして帰る頃にはきっと、自分の住む街のハザードマップを開いてみたくなるはずです。
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ホーム>政党・政治家>加藤 たかし (カトウ タカシ)>震災ミュージアムKIOKUで知った活断層の真実と「観光課」が管轄する意味