2026/8/18
岐阜県の最新の推計人口が公表されました。
県全体の人口は187万7,857人となり、前月から1,072人減少。前年同月と比べると2万1,381人減少しています。
6月の1か月間を見ると、出生数827人に対して死亡数は1,895人。出生と死亡の差である「自然増減」は1,068人の減少となっています。
一方、転入は5,354人、転出は5,358人で、転入・転出による「社会増減」はわずか4人の転出超過でした。
この数字を見ると、現在の岐阜県の人口減少は、単に若者が県外へ流出しているという問題だけではなく、亡くなる方の数が生まれてくる子どもの数を大きく上回る「自然減」が大きな要因になっていることが分かります。
〇大垣市は30人の「社会増」
では、大垣市はどうでしょうか。
推計人口は15万3,997人。
6月中の出生数は81人、死亡数は137人で、自然増減は56人の減少でした。
しかし、転入は456人、転出は426人。転入者が転出者を30人上回る「社会増」となっています。
自然減56人に対し社会増30人ですので、差し引きでは26人の人口減少となっています。
もちろん、1か月だけの数字で一喜一憂することはできません。
それでも、大垣市から出ていく人より、大垣市へ入ってくる人の方が多かったという事実は、一つの明るい材料として受け止めてもよいのではないでしょうか。
同時に、この数字を見ながら、私はこれからの人口政策について少し違った視点も必要ではないかと考えました。
〇隣の市や町から人を呼べば、それでよいのか
全国の自治体が人口減少対策に取り組んでいます。
移住・定住支援、住宅取得への補助、子育て支援、結婚支援、企業誘致など、その内容はさまざまです。
大垣市としても、若い世代から「住みたい」「住み続けたい」と選んでもらえるまちをつくる努力は当然必要です。
しかし、一方で考えなければならないことがあります。
例えば、大垣市が周辺の市町から若い子育て世代を呼び込んだとします。
大垣市にとっては人口増です。
しかし、その方がもともと西濃地域の別の市町に住んでいたのであれば、西濃地域全体の人口は一人も増えていません。
逆に周辺自治体も、大垣市から住民を呼び込む施策を進めるでしょう。
そうなれば、人口減少が続く地域の中で、自治体同士が限られた人口を取り合うことになります。
もちろん自治体には、それぞれ住民を増やし、税収を確保し、地域を活性化させる責任がありますから、競争そのものを否定するつもりはありません。
しかし、人口そのものが減っていく時代に、隣の自治体から人を呼んでくることだけを人口政策の成果と考えることには限界があると思います。
〇「人口を増やす」だけではない視点を
私は決して人口減少を良しとしているわけではありません。
少子化対策は必要です。
子どもを産み育てたいと思う方々を社会全体で支え、若い人たちが地元で働くことのできる雇用をつくり、「大垣で暮らしたい」「大垣に戻ってきたい」と思ってもらえるまちをつくることは大切です。
人口減少を少しでも緩やかにする努力は、これからも続けていかなければなりません。
しかし、それと同時に考えなければならないのは、
「人口が減少しても、市民が安心して豊かに暮らし続けられるまちをどうつくるのか」
ということではないでしょうか。
人口が15万人から14万人、さらには13万人になったとき、現在と同じ行政サービスや公共施設を、そのままの形ですべて維持できるのでしょうか。
学校、道路、公園、上下水道、公共交通、医療、福祉、消防、公共施設――。
人口構造が変化すれば、それぞれの需要も変わります。
人口が増え続けることを前提につくられてきたまちの形そのものを、人口減少社会に合わせて少しずつ組み替えていく必要があります。
重要なのは、「人口が何人いるか」という数字だけではなく、そこに暮らす一人ひとりが、どのような暮らしを送ることができるのかという視点だと思います。
〇大垣市だけではなく「西濃」で考える
そして、これからますます重要になるのが、広域的な視点だと考えています。
市町村の境界は行政上は重要です。
しかし、市民の暮らしは市町村の境界線で区切られているわけではありません。
大垣市に住んでいる方が養老町へ働きに行くこともあります。
周辺の町から大垣市へ通学、通勤、買い物、通院に来られる方も大勢います。
休日には別の市町へ出かけます。
私たちの実際の生活圏は、行政区域よりはるかに広いのです。
だとすれば、人口減少への対応についても、
「大垣市に何人住んでもらうか」
だけではなく、
「西濃地域に住み続けたいと思う人をどう増やすか」
という発想が、これから必要になってくるのではないでしょうか。
医療、消防、公共交通、観光、産業、公共施設、子育てなど、自治体単独ですべてを抱えるのではなく、それぞれの市町の強みを生かしながら役割を分担する。
例えば、大垣市には大きな医療機関や商業施設、教育機関などが集積しています。
一方、周辺の市町には豊かな自然、農業、歴史、観光資源があります。
それぞれが同じものを競って整備するのではなく、それぞれの強みを生かし、足りない部分を補い合う。
人口が減少する時代だからこそ、こうした「広域で支え合う」という発想が、これまで以上に重要になると思います。
〇人口が減っても、活力まで減らしてはいけない
もう一つ忘れてはいけないのは、人口と地域の活力は必ずしも同じではないということです。
人口が少し減ったからといって、そのまちが不幸になるわけではありません。
反対に、人口が増えていても、地域のつながりが失われ、移動手段がなく、必要な医療や福祉が受けられなければ、暮らしやすいまちとは言えません。
目指すべきなのは、単純な人口の数だけではなく、
子どもたちが安心して育つことができる。
若者が働き、家庭を築くことができる。
高齢になっても住み慣れた地域で暮らすことができる。
必要な医療や福祉、交通を利用することができる。
そして、地域の中で人と人とのつながりを感じながら暮らすことができる。
そんな地域をつくることだと思います。
人口が減少しても、地域の活力や市民の幸福まで減少させてはいけません。
〇「人口減少のその先」を議論する時期に
これから人口減少は、大垣市にとっても西濃地域にとっても避けて通れない大きな課題になります。
だからこそ、
「今年は何人減った」
「隣の自治体より人口が増えた」
という数字の比較だけに終始するのではなく、その数字の先にある地域社会の姿を考えていく必要があります。
どうすれば若い世代に選ばれるのか。
どうすれば子どもを安心して育てられるのか。
人口が減っても行政サービスを維持するにはどうしたらよいのか。
公共施設をどうしていくのか。
地域公共交通をどう守るのか。
そして、大垣市と周辺市町がどのように役割を分担し、西濃地域全体を持続可能な地域にしていくのか。
これから問われるのは、単なる「人口獲得競争」ではありません。
人口減少を前提としながら、それでも市民が豊かに暮らすことのできる地域をどうつくるのか。
大垣市だけが勝てばよいのではなく、西濃地域全体が持続していくことが、結果として大垣市の力にもなるはずです。
今回公表された推計人口の数字を見ながら、人口を周辺自治体と「取り合う」のではなく、地域全体でこれからの暮らしとまちの姿を考えていくことこそ、人口減少時代の自治体に求められているのではないかと感じました。
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ホーム>政党・政治家>種田 昌克 (オイダ マサカツ)>人口を奪い合うのではなく―人口減少時代の大垣市と西濃のこれから