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酷暑の被災地から離れるという選択肢―災害時の「広域避難」を考える

2026/8/19

7月28日に発生した令和8年熊本地震から、2週間がたちました。
被災された皆さまに、改めて心よりお見舞い申し上げます。また、厳しい暑さの中、復旧作業や避難所運営、被災者支援に携わっておられるすべての皆さまに敬意を表します。
今回の災害は、地震そのものによる被害だけでなく、「暑さとの闘い」でもあると感じています。私は報道を通してしか現地の状況を知ることができませんが、断水が続き、自由に水を使うことができない地域が残されています。8月11日時点でも、八代市、宇城市、氷川町で約3万4千戸が断水しており、国は8月末までの断水解消を目標に復旧作業を進めています。
真夏の熊本です。
水が十分に使えない。自宅が被災して戻ることができない。体育館や公民館などで避難生活を続けなければならない。
こうした状況が何週間も続くことを考えると、とりわけ心配になるのが、子どもたちや高齢者、持病のある方々です。
避難所ではエアコンなどの暑さ対策がどこまで十分にできているのでしょうか。水分補給、入浴、睡眠、衛生環境は確保されているのでしょうか。
被災地で子どもの支援に当たっているセーブ・ザ・チルドレンからも、断水が続く中で衛生用品が必要とされていることや、避難所の中に子どもたちが安心して過ごしたり遊んだりできる場所がないことが課題として報告されています。
そこで、ふと思うことがあります。
被災地にとどまって支援を届けることだけが、災害支援なのだろうか。
もちろん、住み慣れた地域を離れたくないという方もおられるでしょう。自宅の片付けや仕事、地域とのつながりなど、被災地を離れることが難しい事情もあります。
その意思は最大限尊重されなければなりません。
しかし一方で、もし本人や家族が希望されるのであれば、暑さが最も厳しいこの時期だけでも、被災地の外で生活するという選択肢がもっとあってもよいのではないでしょうか。
熊本県では現在、避難所などで生活している被災者を対象に、ホテルや旅館等への避難の取り組みも進められています。
私はさらにその選択肢を広げ、必要に応じて県境を越えた「広域避難」も考えてよいのではないかと思います。
特に今は夏休みです。
例えば、希望する子育て世帯について、親子や家族単位で数週間、県外の公営住宅や宿泊施設などで過ごしていただく。受け入れる自治体が住居を用意し、子どもたちには図書館や児童館、プールなどを利用してもらう。
高齢者についても、介護や医療との連携が確保できる地域で一時的に生活していただく。
「被災地へ人や物を送る」という支援と同時に、「被災された方を安全な場所へ迎える」支援があってもよいと思うのです。
東日本大震災の際にも、多くの方々が被災した地域を離れ、全国各地で避難生活を送りました。
そして、8月15日が近づいてくる今、私は「疎開」という言葉を思い出します。
もちろん、戦時中の疎開と現在の災害時の避難を同じものとして論じることはできません。
しかし、危険な場所から一時的に人を離し、安全な場所で暮らしてもらうという考え方そのものは、現代の防災にも通じるところがあるのではないでしょうか。
大切なのは、強制することではありません。
「避難所に残る」「ホテルへ移る」「県外へ一時避難する」など、被災された方自身が選べる選択肢を増やすことです。
特に子どもたちについては、地震への恐怖に加えて、猛暑、断水、慣れない避難所生活が続くことによる負担も考えなければなりません。子どもだけを家族から離して避難させることには慎重であるべきですが、希望する親子や家族が一緒に一時的に安全な地域へ移る仕組みであれば、検討する価値は十分にあると思います。
そしてこれは熊本だけの問題ではありません。
災害は、いつどこで起きるかわかりません。
大垣市が被災する側になることもあれば、反対に被災された方々を受け入れる側になることもあります。
全国の自治体が平時から、「大規模災害が起きたとき、被災者をどのように受け入れるのか」「公営住宅や宿泊施設をどう活用するのか」「子育て世帯や高齢者をどう支えるのか」といった広域避難の仕組みを考えておく必要があるのではないでしょうか。
災害対応というと、物資を送ること、給水車を派遣すること、職員を派遣することなどをまず考えます。
それらはもちろん大切です。
しかし、もう一つ、
「人を安全な場所へ移す」
という支援のあり方もあります。
この猛暑の中で避難生活を続けている子どもたちや高齢者の姿を思うと、被災地の復旧を急ぐことと同時に、復旧までの時間を少しでも安全に、安心して過ごしていただく方法を、もっと柔軟に考えてもよいのではないかと思います。
「避難する場所を選べること」もまた、被災者支援の大切な一つではないでしょうか。

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