2026/7/20
自治会の高齢者サロンにお招きいただき、出前講座を行いました。
今回の講座では、中学生が学校で使っている公民の教科書を皆さんと一緒に読みながら、そこに書かれている内容を、私たちが暮らす大垣市に置き換えて解説しました。
教科書には、地方自治の仕組みや地方議会の役割、税金、地方公共団体の財政などについて書かれています。しかし、教科書に書かれている制度だけを読んでも、それが自分たちの暮らしとどのようにつながっているのかは、なかなか実感しにくいものです。
そこで、教科書の該当するページを読みながら、
「それでは、大垣市の場合はどうなっているのでしょうか」
という形で、お話を進めました。
大垣市のお金はどこから来るのか
せっかくの機会ですので、普段はあまり触れることのない大垣市の財政についても、少しだけ説明させていただきました。
市の収入には、市民や企業の皆さんに納めていただく市税があります。また、全国どこに住んでいても一定の行政サービスを受けられるよう、国から配分される地方交付税があります。
そのほか、国が責任の一部を負う事業に対して交付される国庫負担金や、特定の事業を行うための国庫支出金、県支出金などがあります。
一口に「市の収入」といっても、すべてのお金を市が自由に使えるわけではありません。
国や県から入ってくるお金の多くは、使い道が決められています。市税や地方交付税などは、原則として市が使い道を決められる「一般財源」ですが、それも人件費、福祉、教育、ごみ処理、道路や公園の維持管理、借金の返済など、毎年必要となる経費に充てられています。
大垣市の令和6年度決算では、使い道が特定されていない一般財源等は約485億円あります。しかし、その大部分はすでに市民生活を支える既存の行政サービスに使われています。
経常的な収入から毎年必要となる固定的な経費を差し引いた、理論上の余裕は約29億円から30億円です。そこから道路や学校、公共施設などの整備費を差し引けば、毎年継続する新しい事業に充てられる現実的な余力は、数億円から、多く見ても年間10億円程度と考える必要があります。
また、大垣市には約97億円の財政調整基金があります。いわば市の貯金ですが、これは災害や急激な税収減、予期しない支出などに備えるためのお金です。貯金があるからといって、毎年経費が必要となる新規事業に使い続けることはできません。
家庭でも、貯金を取り崩して毎月の生活費を増やし続ければ、いつかは貯金がなくなります。自治体の財政も基本的には同じです。
税金を納めていただくことの重み
私は、市議会議員になる前、大垣市役所に勤務していました。
若い頃には、市税の徴収を担当する部署にも配属されました。
市税は、市民の皆さんから当然のように納めていただけるものではありません。納付書を送れば、すべての方がすぐに納めてくださるわけではなく、それぞれの家庭に、それぞれの事情があります。
生活が苦しい中で、毎月千円ずつ、少しずつ分納してくださる方もおられました。
千円という金額だけを見れば、市全体の予算の中では小さな金額に見えるかもしれません。しかし、その方にとっての千円は、決して小さなお金ではありません。
食費や光熱水費を切り詰めながら、約束した日に市役所へ足を運び、千円を納めてくださる。その千円を受け取るたびに、私は税金の重みを感じました。
そして、いつも心の中で思っていました。
「この千円を、市民のために何倍もの価値のあるものにしてお返ししなければならない」
納めていただいた税金を、ただ使うのではありません。
子どもたちの教育、高齢者や障がいのある方の福祉、道路や水路の整備、防災、消防、救急、ごみ処理、地域活動への支援など、市民の安心や暮らしやすさにつなげていく。それが行政に課せられた責任です。
大切なのは、金額だけではない
行政の事業を考える際には、「いくらかかるのか」という議論が必要です。しかし、本当に大切なのは、金額の大小だけではありません。
その事業によって、どれだけ多くの市民が助かるのか。
将来の大垣市に、どのような効果をもたらすのか。
一時的な人気取りではなく、10年後、20年後の市民にも責任を持てるのか。
建設費だけでなく、完成後の維持管理費や人件費、修繕費まで考えられているのか。
そして何より、生活が苦しい中でも税金を納めてくださった市民に、胸を張って説明できる使い方なのか。
こうした視点が欠かせません。
新しい事業を始めることは、目に見えやすく、評価もされやすいものです。しかし、限られた財源の中では、何かを新しく始める一方で、これまでの事業を見直す必要も出てきます。
「あれもやります。これもやります」
というだけでは、責任ある財政運営とはいえません。
何を優先し、何を見直すのか。市民の皆さんに丁寧に説明し、納得していただくことが重要です。
教科書から自分たちのまちを考える
今回の出前講座では、中学生の公民の教科書を通して、大垣市の仕組みや財政について考えていただきました。
教科書は、試験のためだけに読むものではありません。そこに書かれている地方自治や税金、議会、行政の仕組みは、私たちの日々の暮らしに直結しています。
道路が傷んでいる。
地域の移動手段が少ない。
高齢者の居場所が必要である。
子育てをもっと支援してほしい。
災害への備えを強くしてほしい。
こうした身近な課題を、誰が、どのようなお金を使って解決するのか。それを考えることが地方自治です。
今回、サロンに参加された皆さんと教科書を読みながら、改めて、地方自治は決して難しい制度の話だけではなく、自分たちの暮らしを自分たちで考える営みなのだと感じました。
市税の徴収を担当していた頃に抱いた、
「いただいた税金を、何倍もの価値にして市民にお返しする」
という思いは、市議会議員となった今も変わっていません。
むしろ、市の予算を審議し、事業の必要性や効果を問い、市民の声を行政に届ける立場となった今、その責任はさらに重くなっています。
市民の皆さんが汗を流して納めてくださった大切な税金です。
一円たりとも無駄にすることなく、大垣市の未来と市民の幸せのために生かしていく。
その原点を忘れず、これからも市政に向き合っていきたいと思います。
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