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災害対応を知ることは、なぜいけないのか〜名大祭の自衛隊展示中止を考える

2026/6/17

名古屋大学の学園祭「名大祭」で予定されていた自衛隊の展示が、前日に急きょ中止になったという報道を読みました。
展示内容は、自衛隊の災害対応に関するパネルや車両の展示だったとのことです。名大祭実行委員会から自衛隊側に依頼があり、関係者の間で準備が進められていたにもかかわらず、直前になって中止となりました。
正直に言って、私はこの中止がなぜ必要だったのか理解できません。
もちろん、自衛隊という組織に対して、さまざまな考え方があることは承知しています。自衛隊をめぐっては、憲法論、安全保障政策、軍事組織としての性格など、議論すべき点があることも事実です。大学という場で、そうした議論が行われること自体は大切なことだと思います。
しかし、今回予定されていたのは、災害派遣など自衛隊の活動を知るための展示だったとされています。地震、豪雨、台風、大雪など、災害が多い日本において、自衛隊が被災地で果たしている役割は決して小さくありません。行方不明者の捜索、救助、給水、物資輸送、入浴支援、道路啓開など、災害現場では多くの隊員が活動しています。
その実情を学生や市民が知ることに、何がいけないのでしょうか。
むしろ、災害対応を学ぶことは、防災教育の一部でもあります。自治体、消防、警察、医療機関、社会福祉協議会、地域の自主防災組織などと同じように、自衛隊もまた、災害時に住民の命を守る重要な関係機関です。防災を考えるなら、好き嫌いではなく、現実にどのような組織が、どのように動くのかを知る必要があります。
今回、出展に反対したとされる名古屋大学職員組合とは、大学で働く教職員などによる労働組合です。労働組合は本来、働く人の労働条件や職場環境を守るための大切な組織です。その存在意義を否定するものではありません。
ただし、今回のように、学生が企画し、大学祭で予定されていた展示について、職員組合が反対声明を出し、それを受けて中止に至ったのであれば、そこには大きな疑問が残ります。
大学は、さまざまな意見が交わされる場所であるはずです。自衛隊に賛成する人も、批判的な人も、疑問を持つ人もいてよい。だからこそ、展示を中止するのではなく、必要であれば反対の立場からの展示や討論会を開けばよかったのではないでしょうか。
「見せない」「知らせない」「触れさせない」という対応は、学問の場として本当にふさわしいのでしょうか。
学生が自分たちで考え、企画し、社会の現実に触れようとした。その機会が、直前になって失われたことは残念です。防衛省が「看過できるものではない」と述べたのも、単に自衛隊の広報機会が失われたからだけではなく、学生の自由な活動や学びの機会が狭められたことへの問題意識があったのだと思います。
私たちは、自衛隊について無批判に礼賛する必要はありません。しかし、最初から遠ざけ、見ないようにすることもまた違うと思います。
災害時に、誰が、どのように、住民の命を守るのか。
その現実を知ることは、市民にとって必要な学びです。大学祭という開かれた場で、子どもや学生、市民が自衛隊の災害対応を知る機会があってもよいはずです。
反対意見があるなら、展示をなくすのではなく、議論を深める。
それこそが、大学にふさわしい姿ではないでしょうか。

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