選挙ドットコム

種田 昌克 ブログ

高額療養費制度を、数字だけで見てはならない

2026/6/15

高額療養費制度の見直しが、大きな議論となっています。
高額療養費制度は、医療費が高額になった場合でも、ひと月あたりの自己負担に上限を設けることで、患者や家族の生活を守る制度です。がん、難病、長期入院、手術、抗がん剤治療など、誰もが突然この制度に支えられる側になる可能性があります。まさに、医療保険制度の中でも命に直結するセーフティーネットです。
今回の見直しの柱は、大きく三つあります。
一つ目は、月額上限額の引き上げです。令和8年8月から、低所得者に一定の配慮をしつつ、一人当たり医療費の伸びに応じて月額負担上限額を見直し、令和9年8月からは所得区分をより細かくすることとされています。厚生労働省は、制度の持続可能性や現役世代の保険料負担への配慮を理由に挙げています。
二つ目は、年間上限額の新設です。月ごとの負担が積み重なっても、8月から翌年7月までの年間上限に達した後は、それ以上の医療費について還付を受けられる仕組みとされています。長期に治療を続ける人にとって、年間でどこまで負担が膨らむのか見通しを持ちやすくする狙いがあります。
三つ目は、70歳以上の外来特例の見直しです。70歳以上の方に設けられてきた外来の自己負担限度額について、応能負担の考え方を踏まえて見直す一方、低所得者には配慮する内容となっています。
一方で、年に3回、月額上限を超えた場合に、4回目以降の負担が下がる「多数回該当」については、引き上げが見送られ、原則として据え置かれることになりました。さらに、年収200万円未満の課税世帯については、多数回該当の金額を引き下げる方向も示されています。これは、患者団体などからの強い不安の声を受けた重要な修正点だと思います。
しかし、それで不安がすべて解消されたわけではありません。
病気になると、医療費が増えるだけではありません。仕事を休まざるを得なくなる。収入が減る。家族の介護や通院の付き添いも必要になる。交通費、食費、差額ベッド代、生活費の圧迫など、制度の表に出てこない負担もあります。月額上限だけを見れば数千円、数万円の引き上げに見えるかもしれませんが、当事者にとっては「治療を続けられるかどうか」の不安につながります。
実際、負担増への懸念は大きく、限度額引き上げの撤回を求めるオンライン署名は30万筆を超えたとされています。制度を支えるための見直しであったとしても、支えられるはずの人たちが不安を抱えている現実は、軽く見てはいけません。
もちろん、医療費の増加、高額薬剤の普及、現役世代の保険料負担の重さも現実です。健保連の資料でも、高額療養費制度の見直しにより、令和8年度は国費300億円程度、令和8年度から10年度で保険料負担を計1600億円程度減らすとされています。
だからこそ、この問題は「負担増はだめだ」とだけ言えば済む話でも、「制度維持のために仕方ない」と片づけてよい話でもありません。
問われているのは、何をもって「持続可能」と言うのかです。制度の財政が持続しても、患者が治療をあきらめるようになれば、それは本当の意味で持続可能な制度とは言えません。反対に、将来世代の保険料負担が際限なく増えていくこともまた、制度への信頼を損ないます。
必要なのは、数字の帳尻合わせではなく、命を守る制度としての原点を忘れない議論です。
特に自治体に求められるのは、国の制度改正をただ周知するだけではなく、市民が自分の場合にどうなるのかを理解できるよう、丁寧な相談体制を整えることだと思います。高額療養費制度は複雑です。所得区分、年齢、保険者、入院か外来か、多数回該当かどうかによって負担は変わります。必要な人ほど、病気や不安の中で制度を調べなければならないという現実があります。
医療は、安心して暮らすための土台です。病気になったとき、「お金が心配だから治療を迷う」という社会にしてはなりません。
高額療養費制度の見直しは、単なる医療費の問題ではありません。誰が、どのように負担し、誰を、どこまで支えるのかという、社会のあり方そのものを問う問題です。
制度を守るための改革であるならば、まず守られるべきは患者の命と暮らしです。その視点を失わず、今後の運用と影響をしっかり見ていく必要があると感じます。

この記事をシェアする

著者

種田 昌克

種田 昌克

選挙 大垣市議会議員選挙 (2027/04/30) - 票
選挙区

大垣市議会議員選挙

肩書
党派・会派 自由民主党
その他

種田 昌克さんの最新ブログ

種田 昌克

オイダ マサカツ/56歳/男

種田 昌克

種田 昌克 トップページへ

寄付して応援する

「種田 昌克」をご支援いただける方は、是非個人献金をお願い申し上げます。
※選挙ドットコム会員登録(無料)が必要です。

月別

ホーム政党・政治家種田 昌克 (オイダ マサカツ)高額療養費制度を、数字だけで見てはならない

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode