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大垣駅前開発は「大きく造る」より「まちを育てる」発想で

2026/6/9

6月8日放送のNHK「クローズアップ現代」を見て、大垣の駅前開発について、あらためて考えさせられました。
番組で取り上げられていたのは、全国各地で再開発計画が見直しや中断に追い込まれているという現実でした。新宿、池袋、渋谷、名古屋といった大都市でさえ、建設費の高騰、人手不足、資材不足、ゼネコンやサブコンの確保難によって、計画どおりに進まなくなっているというのです。
かつて再開発といえば、駅前の一等地に大きなビルを建て、商業施設やオフィスを入れ、床面積を増やして収益を上げるという発想が中心でした。建物が新しくなれば人が集まり、まちがにぎわう。そうした成功体験が、日本の都市づくりを支えてきた面は確かにあります。
しかし、番組を見ていて強く感じたのは、もはや「大きく造ればよい」という時代ではなくなったということです。大都市でさえ苦戦している手法を、地方都市がそのまま追いかけても、うまくいくとは限りません。むしろ、計画が大きくなればなるほど、時間も費用もかかり、途中で社会情勢が変わってしまうリスクも高くなります。
では、大垣駅前はどうあるべきなのでしょうか。
私は、大垣駅前に必要なのは、東京や名古屋の縮小版を目指すことではなく、大垣らしい駅前をつくることだと思います。
大垣には、大垣城があります。水門川があります。奥の細道むすびの地があります。駅から少し歩けば、歴史や水の文化、昔ながらの商店街の記憶があります。大垣駅前は、単なる交通の結節点ではなく、まちの入口です。だからこそ、駅前を考えることは、大垣というまち全体をどう見せ、どう歩いてもらい、どう好きになってもらうかを考えることでもあります。
番組の中で印象に残った言葉に、「再利用」「中小規模開発」「余白」がありました。
これは、大垣にとっても大切なキーワードだと思います。すべてを一気に壊して、巨大な建物に置き換えるのではなく、既存の建物を活かす。小さな改修や建て替えを積み重ねる。空き店舗や空き地を、若い人が挑戦できる場所、子ども連れが休める場所、市民が集まれる広場のような場所として使っていく。
つまり、駅前を「完成品」として一度につくるのではなく、時間をかけて「育てる」発想です。
大垣駅前に必要なのは、ただ人が通り過ぎる場所ではなく、思わず足を止めたくなる場所です。ベンチがある。木陰がある。小さな催しができる。地元の店がある。高校生や大学生が勉強帰りに立ち寄れる。高齢者が安心して歩ける。観光客が「少し歩いてみよう」と思える。そうした日常の積み重ねこそが、まちの本当のにぎわいにつながるのではないでしょうか。
もちろん、駅前開発には経済性も必要です。夢だけでは事業は進みません。しかし、経済的価値だけを追い求めると、どこにでもある駅前になってしまいます。大切なのは、経済的価値と公共的価値の両立です。市民が誇れる場所であり、事業としても持続できる場所。そのバランスをどうつくるかが、これからの駅前開発の大きな課題だと思います。
番組では、再開発が止まると、まちの「エンジン」が止まってしまうという指摘もありました。これは大垣にとっても他人事ではありません。駅前が寂しくなれば、人の流れは変わります。人の流れが変われば、商店街や中心市街地にも影響します。逆に、駅前に小さなにぎわいが生まれれば、それは駅通り、大垣城、水門川、商店街へと広がっていく可能性があります。
私は、大垣駅前は「巨大開発か、何もしないか」の二択ではないと思います。
大きな夢を持ちながらも、現実を見つめる。将来の可能性を残しながら、今できることから始める。既存の資源を活かし、小さな成功を重ね、まちの魅力を少しずつ高めていく。そうした柔らかく、しなやかなまちづくりが、これからの大垣には必要ではないでしょうか。
駅前は、そのまちの顔です。
だからこそ、単に新しい建物を建てるだけでなく、「大垣らしさ」が感じられる場所にしていきたい。市民が誇りを持ち、若い人が可能性を感じ、訪れた人がもう一度来たくなる。そんな駅前を、行政、事業者、市民が一緒になって考えていく時期に来ていると思います。
大垣駅前開発は、まちの未来をどう描くかという問いそのものです。
大きく造る時代から、まちを育てる時代へ。
今回の「クローズアップ現代」は、そのことを私たちに教えてくれたように思います。

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種田 昌克

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