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【草川たくや 亀山市】避難所になる体育館に冷房がない——亀山市0%

2026/8/9

こんにちは、亀山市議会議員の草川たくやです。

7月28日、熊本県で最大震度7の地震が発生しました。亡くなられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。ご家族を亡くされた方、住まいを失われた方に、お見舞いを申し上げます。

8月7日午前7時30分の時点で、県内の避難所には6,794人の方が避難されています(熊本県)。真夏の避難です。一日も早く、落ち着いて眠れる場所に戻られることを願っています。

避難所の多くは、学校の体育館です。真夏に体育館で過ごすということが、いま現に起きています。

その体育館に冷房があるかどうかを、国は毎年調べています。7月30日、文部科学省が「公立学校施設の体育館等の空調(冷房)設備の設置状況について」を公表しました。令和8年5月1日現在の調査です。避難所に指定されている小中学校の体育館・武道場のうち、冷房があるのは全国で33.1%でした。

同じ資料に、亀山市の数字も載っていました。0.0%です。

亀山市の小中学校には体育館・武道場が14棟あり、そのうち12棟が避難所に指定されています。災害が起きたとき、市民が身を寄せる場所です。その12棟すべてに、冷房がありません

 

7月30日の調査と、7月31日の総理指示

全国で33.1%ということは、裏を返せば3分の2以上に冷房がないということです。亀山市だけの問題ではなく、全国の避難所が抱えている状態です。

翌7月31日、政府は熱中症対策に関する関係閣僚会議を開きました。高市総理は、学校体育館等のエアコン設置率100%という目標について、前倒しで実現できるよう、総務大臣とも連携して自治体への働きかけを強化し、取り組みを加速するよう指示しています(首相官邸/2026年7月31日)。

この100%目標は、令和7年6月に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」で定められたもので、期限は令和17年度です

政府がこの目標を前倒しの対象にしたことで、体育館の空調は「あったらいいもの」から「期限を切って間に合わせるもの」になりました。

教室にはついたが、体育館には、まだない

学校の普通教室の冷房設置は、全国で99.6%まで進みました。

残っているのが体育館です。全国の公立小中学校の体育館・武道場31,878棟のうち、冷房があるのは10,099棟。設置率31.7%です(令和8年5月1日現在/文部科学省)。前年の22.7%から9.0ポイント上がりました避難所指定校にある棟に限れば33.1%で、前年23.7%から9.4ポイントの伸びです。

全国では、この1年で体育館の空調が一気に動き始めた——それが今回のいちばん大きなメッセージです。

三重県は全国平均を下回る。その中でも亀山市は0%

では三重県はどうか。

県内の公立小中学校の体育館・武道場は541棟、うち避難所指定校にあるものが511棟。冷房があるのは124棟で、設置率22.9%です。全国平均31.7%を8.8ポイント下回り、47都道府県中19位(公表値から算出)。避難所指定校分に限っても23.1%で、全国平均33.1%に10ポイント届きません。

ただ、県全体としては1年で14.2%から22.9%へ、8.7ポイント伸びています。動いてはいるのです。

問題は、その伸びが県内で極端に偏っていることです。

県内29市町のうち、設置率100%を達成したのは志摩市・川越町・度会町・大紀町・南伊勢町の1市4町。一方、0%のままなのが12市町。亀山市はその12市町のひとつです。

1年でどれだけ動いたかを見ると、差はもっとはっきりします。

  • 志摩市 7.1% → 100.0%(1棟 → 14棟)
  • 鈴鹿市 48.8% → 90.5%(21棟 → 38棟)
  • いなべ市 0% → 64.7%(0棟 → 11棟)
  • 尾鷲市 25.0% → 50.0%(2棟 → 4棟)
  • 亀山市 0% → 0%(0棟のまま)

隣の鈴鹿市は9割です。ゼロだったいなべ市は1年で11棟つけました。志摩市に至っては、去年の時点で1棟しかなかったものを1年で14棟すべてに広げています。

県内29市町の全体像は次のとおりです。

No.市町体育館等(棟)うち指定避難所(棟)空調あり(棟)設置率前年 R7.5.11年の動き
1志摩市141414100.0%7.1%+92.9pt
2川越町444100.0%75.0%±0pt
3度会町222100.0%100.0%±0pt
4大紀町424100.0%100.0%±0pt
5南伊勢町767100.0%100.0%±0pt
6鈴鹿市42423890.5%48.8%+41.7pt
7玉城町66583.3%83.3%±0pt
8熊野市1210975.0%75.0%±0pt
9いなべ市17161164.7%0.0%+64.7pt
10伊勢市32321753.1%53.1%±0pt
11尾鷲市88450.0%25.0%+25.0pt
12朝日町44125.0%25.0%±0pt
13明和町43125.0%0.0%+25.0pt
14多気町66116.7%11.1%+5.6pt
15東員町88112.5%0.0%+12.5pt
16桑名市353538.6%3.0%+5.6pt
17津市777722.6%2.6%±0pt
18四日市市818100.0%0.0%±0pt
19松阪市 ※令和8年度当初予算に小中36校ぶんを計上済み574600.0%0.0%±0pt
20名張市242400.0%0.0%±0pt
21亀山市141200.0%0.0%±0pt
22鳥羽市6600.0%0.0%±0pt
23伊賀市303000.0%0.0%±0pt
24木曽岬町2000.0%0.0%±0pt
25菰野町9900.0%0.0%±0pt
26大台町8600.0%0.0%±0pt
27紀北町101000.0%0.0%±0pt
28御浜町7500.0%0.0%±0pt
29紀宝町8500.0%0.0%±0pt
三重県 計54151112422.9%14.2%+8.7pt
全国31,87829,21310,09931.7%22.7%+9.0pt

※数値は文部科学省が市区町村別に公表した資料をそのまま掲載しています。各市町にそれぞれの事情があり、この表は順位を競うためのものではありません。設置率=空調設置棟数÷体育館及び武道場の棟数。このほか「多気町松阪市学校組合」(3棟)も0%です。

そして、亀山市と同じく0%だった松阪市は、令和8年度の当初予算に「教育環境の改善と熱中症対策のため、小学校26校の体育館に空調設備を整備する」(工事請負費860,748千円)、「中学校10校の体育館に空調設備を整備する」(同331,057千円)を計上しました。合わせて36校、工事請負費だけで約11億9,000万円です(松阪市 令和8年度当初予算説明資料)。

「三重県は遅れている」で終わる話ではありません。三重県の中でも、この1年で整備が進んだまちと、まだ着手に至っていないまちに分かれました。亀山市は後者です。

費用の壁は、思っているより低くなっています

体育館の空調は高い。それは事実です。亀山市も2025年3月の議会で、「他市等の事例から、キュービクル等の電気改修工事を除いても1校当たり6,000万から9,000万円程度と把握しております」と答弁しています(キュービクルは、受変電設備のことです)。そのうえで市は、「昨今の社会情勢を勘案いたしますと、国の空調設備整備臨時特例交付金を活用したとしても、建物全体の断熱工事を含め相当の予算を要することになろうかと想定している」とも述べました。

市が国の交付金を知らないわけではありません。同じ答弁で「把握はしておるところでございます」と明言しています。知ったうえで、なお重いと判断している。

では、いまの制度はどうなっているか。文部科学省が7月30日の調査公表に添えた参考資料「屋内運動場の空調設備整備事業(学校施設環境改善交付金)」を、そのまま引きます。

  • 算定割合 1/2
  • 対象工事費 下限額400万円、上限額1.1億円(EHPの場合)/1.4億円(GHPの場合)
  • 工事内容には「冷暖房設備の設置工事」に加え、「キュービクルの設置・更新など電源確保のための工事」、断熱・遮熱化工事に伴う内外装の工事、配管工事などの関連工事を含む
  • 断熱性確保のための工事は、設置工事と別の年度(令和15年度まで)に実施するものも対象
  • 補助要件は「避難所に指定されている学校であること」「断熱性が確保されること」
  • 資産が形成されないリース契約による空調設置は対象外
  • 補助時限 令和15年度まで

あわせて、地方負担分の100%に地方債を充当でき、その元利償還金の50%に交付税措置がつきます。文部科学省は、この事業の実質地方負担を25%と示しています(「学校体育館への空調整備の早期実施に向けて」令和8年2月17日更新)。

ここで、市の答弁と読み合わせてみてください。

市が示した1校当たり6,000万から9,000万円という額は、この交付金の上限1.1億円(EHP)・1.4億円(GHP)の範囲内です。しかもこの上限は単年度ごと・建物区分ごとに適用されますから、断熱工事を別の年度に回せば、枠はさらに使えます。市が「除いても」と断ったキュービクル等の電気改修工事も、関連工事として対象に明記されています。これは市が答弁した当時から変わっていません。

変わったのは、上限額だけではありません。従来の大規模改造(空調)は算定割合1/3・上限7,000万円で、実質地方負担は51.7%でした。いまの屋内運動場の空調設備整備事業は算定割合1/2・上限1.1億円(EHP)/1.4億円(GHP)で、実質地方負担は25%です。

単純に当てはめれば、6,000万から9,000万円の工事が補助対象に収まる限り、市の実質負担はおおむね1,500万から2,250万円という計算になります。ただし、これは下限の数字だと考えています。補助の算定は単価(EHP 6.1万円/㎡程度、GHP 8.6万円/㎡程度)で行われますから、実際の工事費が単価による算定額を超えれば、超過分は市の全額負担です。市が示した6,000万から9,000万円はキュービクル等の電気改修を除いた額ですし、補助要件である断熱性の確保にも費用がかかります。実額はこの計算を上回ります。

電気改修を加えると、いくらになるのか。断熱工事を別年度に回すと、どう変わるのか。この交付金を前提にした場合、亀山市の1棟あたりの実質負担がいくらになるのかを、市に試算して示していただきたいと考えています。

もう一点。交付金は「資産が形成されないリース契約による空調設置は対象外」と明記しています。整備の手法をどう選ぶかによって、この交付金が使えるかどうかが変わります。ここも確認したい点です。

この問題を、私は議会でどう扱ってきたか

ここまで制度の話をしてきましたが、亀山市でこの問題をどう扱ってきたかも書いておきます。今回の調査は、私にとって新しい問題の発見ではありません。

私がこのテーマを議場で最近取り上げたのは、2024年12月の定例会の一般質問です。文部科学省の調査資料を持ち込み、県外の市も含めた設置状況を表にして示しました。そのうえで、亀山市の小中学校体育館は設置率・確保率・断熱室数のすべてが0%であることを指摘し、こう提案しています。

まずはこの優先的に確保率の100%というのを短期目標として設定して、今後、断熱室数であったり設置数を増やしていくというような取組が重要ではないでしょうか。喫緊の課題と考えておりますけれども」

確保率というのは、常設の空調がなくても、災害協定などで外部から空調設備を確保できる室数の割合です。常設の設置には多額の費用がかかりますが、確保率を上げるだけなら比較的低コストで実現できる。まずそこからでも動かしてほしい、という趣旨でした。

これに対する市の答弁が、次のものです。

「指定避難所としている小・中学校体育館12か所に対して、本市の防災部署で備蓄しておりますスポットクーラーや業務用扇風機などの保管・活用を図っているところでございます。したがいまして、実質的な確保率は、こちら0%というふうにお示しはしておりますが、低いものではないと考えております」

0%として報告した理由は、「どの程度充足されていればカウントされるのか、その部分については非常に不明瞭」なため、教育委員会の判断としてカウントしなかった、というものでした。

私はこう返しています。

「曖昧な状況を示されても、それで『はい、そうですか』とは言えないんですよね。(中略)その取組をやっていくという意思があるのかないか、確認したいと思います」

同じ一般質問の最後に、市長へ総括的に問うたときも、この話をしました。大規模施設整備事業を組み替えれば2030年前後の財政負担が軽くなる、その余力を使って「小・中学校の体育館や特別教室などへの空調機設置など、これまで先送りされてきた重要な教育施設整備を前倒しできるのではないか」と申し上げています。

次が、2025年3月の定例会です。令和7年度の市政及び予算編成方針に対する代表質問で、国の空調設備整備臨時特例交付金が創設されたことを挙げたうえで、こう質問しました。

「体育館ではなくて特別教室を優先していくというその理由と、体育館に空調を設置した場合に係る総事業費、一般財源への負担額をそれぞれ具体的にご提示いただきたい」

市の答弁が、先ほど記載した「まずは特別教室への設置を優先することが望ましい」「体育館への空調設備の設置については特別教室の整備後になろうか」「1校当たり6,000万から9,000万円程度」です。

私は交付金の期限を持ち出しました。

「エアコンの国の特例交付金についても2033年までという、現時点でこの期限があるというので全体のスケジュールとしてはどう考えていくのか。将来的に体育館整備を今回の特例交付金なしでやっていくのか、それとも2033年までに特別教室も体育館もやっていくのか、そこまでの全体的、具体的なスケジュールについてお示しいただきたい」

市の答弁は「現時点におきましては、この特別教室等、それから体育館への空調設備の設置時期について具体を決めておるというものではございません」でした。私は最後に「大規模施設整備事業のスケジュールを見ると、令和11年までに一定のアクションが必要ではないか」と申し上げています。

ブログでも書いてきました。2025年9月18日の「小中学校のエアコン整備(特別教室・体育館)を前へ」には、「体育館の空調は最優先で整備すべきインフラです」と書いています。猛暑で体育の授業や部活動が大きく制約されていること、そして災害時に避難所として使われること。この二つが理由です。

2024年12月に議場で示した0%が、そのまま2回の調査を挟んで据え置かれている。今回の公表は、私にとってはその確認でした。

亀山市の説明と、私が引き下がれない理由

亀山市が何もしていないわけではありません。

令和8年度の施政方針では、「令和9年度夏季からの使用開始に向け、小・中学校の特別教室等への空調設備整備に向けた調査設計、整備工事を進める」とされました。市長も議会で「小・中学校の特別教室等への空調設備の設置、これは100%を果たす」と述べています。ここに至るまでには議会での複数の質疑や市民からの要望が積み重なっており、私も2024年12月と2025年3月の議会でこの整備を求めてきました。動き出したこと自体は、率直にうれしく思っています。

問題はその次です。

2025年3月の議会で、市は「体育館、特別教室とも空調設備の設置は必要と考えておりますが、まずは特別教室への設置を優先することが望ましい」「体育館への空調設備の設置については特別教室の整備後になろうか」と答弁しました。順番としては理解できます。

ただ、同じ令和8年3月の議会で、中期財政見通し(令和11年度まで)のハード事業約42億円について、市長が「主な事業」として挙げたのは、「小・中学校の特別教室等への空調設備の設置」「学校施設長寿命化への着手」「関B&G海洋センターの空調設備の設置」「川合9号線、和賀白川線の整備」「公園施設の長寿命化」でした。学校体育館の空調は、ここに名前が出てきません。

補助時限は令和15年度です。中期財政見通しの終期は令和11年度。その間に何をするのかが、いま示されていません。

体育館の空調工事は、文部科学省が示す従来方式でのスケジュールの一例(域内5校を空調設置のみで整備する場合)で、事業計上から工事完了までおおむね1年前後とされています。地域や時期により異なるとの注記はついていますが、設計・施工を一括で発注し、単年度に複数校を整備した自治体もあると同じ資料に記されています。

夏の暑さは、順番を待ってくれません。避難所は、災害が起きたその日に使うものです。

2つ、提案したいこと

第1に、体育館空調の整備計画を、年度と棟数の入った形で示していただきたい。「特別教室の後」ではなく「令和何年度に何棟」という計画です。補助時限が令和15年度である以上、そこから逆算した工程表がなければ、間に合うかどうかの判断すらできません。

第2に、これはまだまだ多くの方の意見を聞きたいところですが、必ずしも12棟すべてを一度に、という話ではないと思います。地域の避難所として使われる可能性が高い体育館、要配慮者の避難先になりやすい体育館など、優先順位をつけて始める。まず1棟動かすことが、0%から抜け出す最初の一歩になります。

国の制度も県内の先行事例も揃っていました。それでも、亀山市ではこの1年で設置には至りませんでした。財政が厳しいことも、優先すべきものが多いことも承知しています。特別教室が動き出したことも、素直に評価しています。

しかし、政府が7月31日に前倒しを指示したのは、避難所の体育館の暑さが命に関わるという判断があったからだと受け止めています。避難所が実際に使われる日を、こちらで選ぶことはできません。だからこそ、順番を決めるのは今だと考えます。

議会の場で、数字を持って一日も早い整備を求めていきたいと考えています。皆さんが実際に避難することになる体育館について、思うところをぜひ聞かせてください。


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肩書 亀山市議会議員、元衆議院議員小池ゆりこ秘書
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