2026/6/12
こんにちは、亀山市議会議員の草川たくやです。
「報告は分かった。でも、いつ状況が変わるのか」
昨年、太陽光発電施設の調査報告を地域の皆さんにお届けしたとき、住民の方からいただいた言葉です。大雨で斜面が崩れないか。草が伸び放題のまま誰も管理しないのではないか。一刻も早く手を打ってほしい——そんな切実な声を、ずっと胸に抱えてきました。
その声に応える条例案が、6月定例会の本会議に提案されています。6月11日、私は議案質疑に立ち、許可制の中身から廃棄パネルの後始末、施工後の検証まで、一つひとつ市の答弁を引き出してきました。

大切なのは、まだ採決前だということです。これから会期末の採決を迎えます。だからこそ今、市民の皆さんと「この条例の前進点と、それでも残る宿題」を一緒に確かめておきたいのです。
亀山市は、鈴鹿川・鈴鹿山系の源流を抱える、三重県内でも屈指の自然豊かなまちです。里山公園「みちくさ」は令和5年に国の「自然共生サイト」に認定され、市独自の生物多様性共生区域認定制度も動き出しています。
その一方で、令和6年に市内で確認された野立て太陽光発電施設は140件。ところが行政のチェックが及んでいたのは、わずか2〜5%程度でした(産業建設委員会の調査)。残りの大多数は、指導権限の届かない「空白地帯」で建設されてきたのです。
この現状を、住民の生の声から動かしたのが議会でした。昨年度、私が委員長を務めた産業建設委員会で山梨県北杜市・長野県上田市などを視察し、地域の皆さんと意見交換を重ね、昨年9月に5つの柱の提言を市長へ届けました。12月議会では前向きな答弁が示され、県内でも独自性の高い単独条例として、本議会での提案に至っています。
住民の声と、議会の粘り強い働きかけと、執行部側の努力——その積み重ねが、ここまで運んできたものだと受け止めています。
私がまず確認したのは、この条例の名前と目的です。掲げられているのは「規制」ではなく、「自然環境との調和」「優れた景観の継承」でした。
市長からは、鈴鹿川・鈴鹿山系と共生してきた歴史と、市民の高い環境意識を将来世代へつなぐ責任として、平成31年に定めた源流域の自然環境を守る条例などの延長線上に、この独自条例を位置づける意義が示されました。国の再エネ関連法やFIT制度の見直しを待つのではなく、今ここで自主的に手を打たねば亀山の自然と生活環境は守れない——その危機感が答弁から伝わってきました。
「規制なき推進は混乱を招く。しかし、ビジョンなき規制もまた停滞を生む」——これは私が一貫して申し上げてきた立場です。無秩序な太陽光から市民の安心・安全と自然環境を守りつつ、あるべき再エネとまちづくりへ舵を切る。その理念が、条文の体裁だけでなく現場で本当に機能するか。そこを見極めるために質疑を組み立てました。
この条例の最大のポイントは、出力10kW以上の野立て施設を対象に「許可制」を導入する点です。FIT認定の有無は問いません。これまで制度の空白にあった非FIT施設や小規模施設も、しっかり対象に含まれます。
事業者はまず事業計画を届け出て事前協議を行い、許可申請の前に近隣住民への説明会を開き、誠実に回答したうえで許可を申請します。市が許可基準を審査し、許可後も標識掲示・着手届・完了届・維持管理・廃棄費用の積立を続けなければなりません。排水・道路・反射光・騒音といった生活環境の基準は、規則で定められます。
ここで私が求めたのは、「枠だけで中身が見えないまま判断しない」ということです。排水は区域内で地下処理を原則とし盛土規制法の基準に適合させる、工事車両による道路や水路の破損を防ぐ、パワーコンディショナーを住宅からできる限り離す——こうした現場に即した規則づくりを、条文の言葉に込めるよう確認しました。
住民説明会を義務付けた点も、署名配布で済ませる国・県のガイドラインから一歩踏み込んだ仕組みです。対象は施設規模に応じて事業区域からおおむね100m・300m・1kmの居住者に広げ、隣接地所有者や自治会代表、水利を担う土地改良区の代表や通学路の関係で学校などへも含めます。「自治会長は聞いていたが自分は聞いていない」というトラブルが起きないよう、確実な周知を求めました。
説明会の義務化は、確かな前進です。そのうえで、制度上どうしても残る「限界」も、市民の皆さんに正直に共有しておきます。それは、住民の「合意」そのものは、許可の必須条件にはできない、ということです。
都市計画法の開発許可と同じく、法令に違反していない限り、土地所有者の財産権との関係から、近隣の同意を許可の絶対条件にすることはできない——市はそう整理しています。つまり極端に言えば、住民が反対していても、事業者が説明会を開いて誠実に回答さえすれば、許可は出てしまう。では、その「誠実に回答した」かどうかは、誰がどんな基準で判断するのか。私はそこを問いました。
市からは、住民の質問や意見に書面で誠実に答えているかを確認し、条例に基づいて対応するとの答弁でした。だからこそ私は、形だけの説明で終わっていないか、もし協定や覚書が交わされたならそれがきちんと守られているかまで、市が書類で厳密に確認し、必要なら指導していくよう求めました。説明の「場」をつくるだけでなく、その「中身」が住民に届いているか——そこまで見て初めて、説明会の義務化は意味を持ちます。
前進点を確かめたうえで、私が最も重く問うたのは、住民の不安の核心である二つの宿題です。
一つは、廃棄パネルの後始末。条例案は事業者に廃棄費用の積立を義務付け、廃止が決まれば14日以内の届出を求め、土地所有者の責務も定めます。借地の場合、最終的に地権者が撤去責任を負う構造です。けれど、事業者と連絡が取れず残されたパネルを、誰が確実に片付けるのか。積立だけでなく、市が確実に回収できる担保の水準まで踏み込めるか——先行する釧路市などの事例も挙げて、規則への期待を伝えました。
もう一つは、施工後の検証です。許可を出して終わりにしないために、市は報告徴収や立入調査を行い、是正されなければ指導・勧告・命令・公表と段階的に進め、重大な違反には許可取消しもできます。
では、効果はどう測るのか。令和8年1月から、おおむね50kW程度の農地転用許可は、従前の毎月数件から月1〜2件程度へと減りました。ただし市自身が「件数の増減だけでは効果は判断できない」と答弁し、私も同意しました。住民の相談件数や内容の推移、パトロールで把握する草刈りなど維持管理の状況まで見て、理念が現場で機能しているかを検証し、必要なら条例や規則を見直すべきです。推進と抑制を同じ部署が担う体制への懸念も投げかけましたが、事前協議の段階で関係する複数の課から幅広く意見を聴き、環境面に偏らず公正に進めるとの答弁を得ました。
亀山市にとって、これは初めての仕組みです。本日の質疑で前進点と課題の両方が見えてきましたが、条例案の真価が問われるのは、許可の現場と施工後に本当に機能するかという一点に尽きます。
採決は、これから会期末を迎えます。だからこそ、市民の皆さんの実感をお聞かせください。お近くに管理されていない施設はありませんか。説明会の周知は届いていますか。皆さんの声が、規則づくりと運用を確かなものにする最大の力になります。
理念が現場で機能しているか——引き続き問い続けてまいります。
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