2026/7/7
平成31年3月定例会では、私にとって「平成最後の定例会」となる一般質問を行いました。
この回で取り上げたテーマは、次の4つです。
一見すると、それぞれ別々のテーマに見えるかもしれません。 しかし、私の中では一本の線でつながっていました。
それは、 「住みやすいまち」と言われる東温市を、実際に暮らす人にとって本当に暮らしやすいまちにするためには、何を整えなければならないのか という視点です。
当時の一般質問を、今あらためて振り返ります。
この一般質問の冒頭で、私は次のような趣旨の問題提起をしました。
市は、一定の対価を払ってでも、市民の不満を解消する施策を考え、実行していかなければ、市民の幸せや市の経済効果につながらないのではないか。
東温市は「住みやすいまち」と言われていました。 しかし、実際に暮らしてみると、世代や地域によっては、住みにくさを感じる部分もあります。
そこで私は、同世代の市民、特に子育て世代や若い世代の声をもとに、4つの質問を行いました。
まず取り上げたのは、小児医療の問題です。
子どもが夜間に急な発熱やけがをした場合、東温市内だけでは対応が難しく、松山市内まで行かなければならない状況がありました。 場合によっては、100人以上待つこともあると聞きました。
子育て世代が安心して暮らせるまちを目指すなら、夜間の小児医療体制について、市としてどう考えるのかを問いました。
答弁では、中予地区全体で小児医療を支える体制が取られており、小児科医の不足も深刻であることが説明されました。 市単独で夜間小児医療施設を整備することは現実的に難しく、現在ある体制を維持していくことが現実的で効果的である、という内容でした。
また、子どもの急病時に相談できる「#8000」の周知についても確認しました。
この質問で伝えたかったのは、単に「市内に病院を作ってほしい」という話ではありません。 限られた医療資源の中で、保護者が不安を抱え込まないよう、情報提供や相談体制をどう整えるかという問題でした。
2つ目は、学校教育環境についてです。
この質問では、保護者が学校に言い出しにくい違和感や不満を、10項目に分けて取り上げました。
これらは一つひとつを見ると小さな話に見えるかもしれません。 しかし、共通しているのは、 「前からこうだったから」という理由だけで続いていないか という問いです。
もちろん、伝統や地域のつながりには大切な意味があります。 一方で、時代や家庭環境、働き方、子どもたちの状況が変わっている中で、学校現場も変化を恐れずに見直していく必要があると考えました。
特に大切だと感じたのは、保護者の声をどう受け止めるかです。
保護者の中には、 「こんなことを言っていいのか」 「モンスターペアレンツと思われないか」 「誰に言えばいいのかわからない」 と感じている方もいます。
その声が届かないままだと、結果的に子どもにも先生にも負担が残ります。
だからこそ、学校や教育委員会、PTAの枠だけでなく、保護者や地域の声を受け止める仕組みを整える必要があると訴えました。
3つ目は、Uターン起業者支援についてです。
東温市の小学校・中学校を卒業した人の多くは、進学や就職をきっかけに市外へ出ていきます。 そして、生活の拠点が東温市以外になることも少なくありません。
移住・定住を進めるためには、住む場所だけでなく、働く場所や収入源が必要です。
そこで私は、東温市出身者が地元に戻って起業する、いわゆるUターン起業者に特化した支援を提案しました。
地元出身者であれば、実家や地域の人脈があります。 まったく知らない土地で起業するよりも、最初の生活基盤や顧客づくりの面で有利になる可能性があります。
Uターン起業は、本人の仕事を生み出すだけでなく、地域の雇用や経済にもつながります。 まさに、一石二鳥にも三鳥にも四鳥にもなり得る取り組みです。
答弁では、移住・定住支援、起業者ステップアップ支援、商工会や金融機関との連携、未・来Jobまつやまなどの支援体制について説明がありました。
ただ、私が特に問題提起したかったのは、制度があるかどうかだけではありません。
その情報が、本当に東温市外・県外・世界にいる東温市出身者へ届いているのか という点です。
最後に取り上げたのは、海外渡航についてです。
当日は「世界一周記念日」でもありました。
私は、海外を実際に見ることは、これからの社会を考えるうえで大きな意味があると考えていました。
地域間競争、多様性社会、国際社会、そしてSociety 5.0。 そうした変化を、言葉だけでなく実感として知るためには、外の世界を見る機会が重要です。
質問では、旅券申請の支援と、海外に行ってみようと思えるような渡航啓発について尋ねました。
答弁では、パスポート申請が市役所で可能になっていること、ダウンロード申請書の活用、居所申請などについて説明がありました。
一方で、市として積極的に海外渡航の啓発を行う考えはない、という答弁でした。
私は、お金をかけて海外派遣事業をしてほしいということではなく、市民が外の世界を見るきっかけを少しでも持てるような啓発が必要ではないかと考えていました。
平成31年3月の質問から、社会は大きく変わりました。
特に教育環境については、当時よりもさらに大きな変化が起きています。 ICT教育、タブレット端末、オンライン学習、学校と家庭の連絡方法、保護者負担の見直しなど、学校を取り巻く環境は大きく変化しました。
当時は「現代社会に対応した教育環境」という言い方をしましたが、今振り返ると、まさにその後の時代変化を先取りした問題提起でもあったと感じています。
小児医療についても、医師不足や夜間救急の広域連携は、今も続く重要な課題です。 一つの自治体だけですべてを完結させることが難しいからこそ、広域で支える仕組み、市民への情報提供、相談窓口の周知がより大切になっています。
Uターン起業については、地方創生、移住定住、創業支援、地域での働き方の多様化とつながるテーマになりました。 新型コロナ以降、働き方や暮らし方を見直す人も増え、地方で働くこと、地方で事業をつくることの意味も変わってきました。
海外渡航についても、コロナ禍を経て、海外へ行くことの意味が大きく変わりました。 自由に移動できること、外の世界を知ること、地域が世界とどうつながるかという問いは、以前よりも重くなったと感じます。
この一般質問を今振り返って、改めて感じることがあります。
それは、制度や仕組みは「ある」だけでは足りないということです。
必要な人に届いているか。 使いやすい形になっているか。 市民が相談しやすい空気があるか。 前例どおりのまま、現場に負担を残していないか。
ここを点検し続ける必要があります。
小児医療は、自治体単独で解決できることばかりではありません。 しかし、保護者が不安な時に、どこへ相談すればよいのか、どう判断すればよいのかを分かりやすく伝えることはできます。
「医療体制をどう整えるか」と同時に、 「不安な時に迷わない情報提供をどう整えるか」 が大切です。
学校教育では、先生方も保護者も子どもたちも、それぞれに負担を抱えています。
だからこそ、「昔からこうだから」で終わらせず、今の家庭環境、今の子どもたち、今の先生方の働き方に合っているかを確認する必要があります。
PTA、学校、教育委員会、地域。 それぞれの役割は大切です。 ただし、枠組みがあることで、逆に声が届きにくくなるなら、その仕組み自体も見直す必要があります。
Uターン起業については、支援制度そのものだけでなく、情報の届け方が重要です。
市内にいる人だけに情報を出しても、東温市外にいる出身者には届きません。 県外、都市部、海外にいる東温市出身者に向けて、地元で挑戦できる選択肢を届ける必要があります。
地元に戻って起業する人を支えることは、人口減少対策でもあり、地域経済対策でもあり、未来への投資でもあります。
海外渡航については、行政が大きな予算をかけて海外へ送り出すという話だけではありません。
まずは、外の世界に関心を持つこと。 実際に行った人の話を聞くこと。 パスポートを取るハードルを下げること。 近場の海外を身近に感じること。
そうした小さなきっかけが、若い世代の視野を広げ、地域の未来にもつながると考えています。
平成31年3月定例会の一般質問は、私にとって平成最後の定例会での質問でした。
そこで一番伝えたかったのは、 「前例にとらわれず、市民の不満や違和感を受け止め、必要なところを整えていく行政であってほしい」 ということです。
小児医療、教育環境、Uターン起業、海外渡航。 それぞれのテーマは違っても、根っこにあるのは同じです。
子どもが安心して育つこと。
保護者が声を出しやすいこと。
若者が地元に戻って挑戦できること。
地域が外の世界とつながること。
これらはすべて、東温市の未来を整えるために必要な視点です。
「住みやすいまち」と言われるだけでなく、実際に暮らす人が、 「ここで暮らし続けたい」 と思えるまちにしていく。
そのためには、前例どおりに進めるだけではなく、市民の声や現場の違和感に向き合い、必要な変化にチャレンジしていくことが大切だと、今も感じています。
今後も、過去の一般質問を振り返りながら、当時の問題提起、その後整ってきたこと、そしてこれからさらに整えるべき課題を整理していきます。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>束村 はるき (ツカムラ ハルキ)>平成31年3月定例会を振り返る|前例にとらわれず、子ども・教育・若者の未来を整える