2026/6/22
平成30年6月定例会では、私は大きく3つのテーマについて一般質問を行いました。
一つ目は、移住・定住促進について。
二つ目は、交通安全について。
三つ目は、自殺防止対策についてです。
一見すると、それぞれ別々のテーマに見えるかもしれません。 しかし、改めて振り返ると、根っこにある問題意識は同じでした。
東温市で安心して住み、働き、移動し、生きていける土台をどう整えるのか。
今回は、平成30年6月議会での一般質問を、いつものように、
この三部構成で振り返ります。
平成30年当時、東温市は他の自治体と比べると、人口減少の幅が比較的ゆるやかなまちでした。 しかし、全国的に少子高齢化が進む中で、何もしなければ人口減少は避けられません。
私は、東温市を持続的に発展させるためには、急激な人口増加を目指すというよりも、 まずは人口をできるだけ横ばいに近づけることが大切だと考えていました。
そのために、住民登録数、市内間の転居、市外への流出、市内への流入、 移住前の住所地、そして東温市を選んだ理由について質問しました。
特に大事だと考えていたのは、「なぜ東温市を選んだのか」という点です。
移住・定住施策は、行政が「これが魅力です」と発信するだけでは不十分です。 実際に移住してきた人が、何を理由に東温市を選んだのか。 そこを把握しなければ、施策と現実の間にズレが生まれてしまいます。
当時の質問では、転入者の理由として、住環境がよいこと、職場に近いこと、 教育・子育て環境がよいことなどが答弁で示されました。
一方で、当時進められていた中山間地域の振興やアート・ヴィレッジ構想と、 実際に移住者が求めている理由との間に、少しズレがあるのではないかとも問いかけました。
二つ目のテーマは、交通安全です。
交通事故は、けがや命の問題だけではありません。 物損事故であっても、突然の時間的負担や経済的負担が発生します。
そのため私は、交通安全を単なる啓発活動ではなく、 市民の生命と財産を守る政策として考えるべきだと質問しました。
質問では、交通安全を次の4つに分けて整理しました。
特に当時から気になっていたのは、高齢者の交通事故です。 高齢歩行者への安全対策、高齢ドライバーの誤発進や逆走、 事故多発交差点での道路構造の問題など、現場で実際に起きている危険をどう減らすかを問いました。
また、運転免許の返納だけでは暮らしが成り立たない地域もあります。 公共交通や農業の事情を考えると、単に「運転をやめましょう」だけでは解決できません。
そこで、安全運転支援装置を備えた車両の購入支援や、 事故多発箇所でのカラー舗装など、事故が起きにくい環境づくりについても提案しました。
三つ目のテーマは、自殺防止対策です。
このテーマは、とてもデリケートな問題です。 当時も、亡くなられた方やご家族のことを思うと、大変心苦しい質問でした。
ただ、自殺防止を「最後の相談窓口」の問題だけで考えてはいけないと感じていました。
仕事があること。
収入があること。
心身の健康が保たれること。
家庭や地域の中で孤立しないこと。
自分の存在が認められること。
こうした暮らしの土台が整っていることが、結果として命を守ることにつながるのではないか。 そのような視点から質問しました。
つまり、当時の問題定義は、 自殺防止対策を、相談窓口だけではなく、仕事・健康・暮らし・孤立防止まで含めて考える必要がある ということでした。
当時の答弁では、東温市移住定住促進マスタープランをもとに、 中山間地域の取り組み、アート・ヴィレッジ構想、とうおん健康医療創生事業、 さくらセレクトなどを組織横断的につなげていく方向性が示されていました。
その後、東温市では移住希望者の対応や移住後の定着支援を行う 「移住定住総合窓口」が設けられ、移住コンシェルジュによる相談対応も行われています。 また、東温市移住・定住支援ポータルサイトでは、移住者インタビュー、空き家情報、 地域や企業の紹介、子育て世代向けの情報なども発信されています。
当時の質問で確認した「移住者がなぜ東温市を選ぶのか」という視点は、 現在の移住相談や情報発信にもつながっている部分だと思います。
交通安全については、当時すでに東温市交通安全計画に基づき、 保育所、幼稚園、小中学校での交通安全教室、 高齢者宅への訪問、交通指導員による巡回、 歩行シミュレーション講習、自転車ヘルメット着用の啓発などが行われていました。
その後の東温市交通安全計画では、令和7年までに24時間死者数を0人にすること、 重傷者数を50人以下にすることなどが目標として掲げられています。
これは、交通安全を「気をつけましょう」という啓発だけで終わらせず、 目標を持って進める仕組みとして整理されてきた部分だと思います。
自殺防止対策については、当時の答弁で、保健師による個別相談、 精神科医師によるこころの健康相談、こころの健康講座、 ゲートキーパー養成講座、睡眠状態から心の健康を確認するセルフチェックサイトなどが示されました。
現在では、東温市において第2次東温市自殺対策計画が策定されています。 計画期間は令和7年度から令和12年度までです。
この計画では、自殺は心身の病気だけでなく、経済・生活問題、 職場や学校での悩みなど、さまざまな社会的要因が複雑に関係しているとされています。 そして、保健・医療・福祉・教育・労働関係機関や団体との連携を強化し、 「誰も追い込まれることのない東温市」を目指すとされています。
これは、平成30年当時に私が質問した、 命を守るためには、健康だけでなく、仕事や収入、暮らしの環境まで含めて考える必要がある という視点と重なるものです。
今後の移住・定住政策で大切なのは、人口の数字だけを見ることではありません。
なぜ東温市に来たのか。
なぜ東温市から出ていくのか。
どの地域から人が来ているのか。
どの世代が住み続けたいと思っているのか。
働く場所と住む場所はつながっているのか。
こうした理由を見続けることが必要です。
移住・定住は、宣伝だけでは進みません。 住環境、仕事、子育て、教育、医療、交通、地域コミュニティがつながって初めて、 「住み続けたいまち」になります。
当時の質問でも触れたように、行政が打ち出したい魅力と、 実際に移住者が求めている理由にズレがあるなら、そこは見直していく必要があります。
交通安全については、今後さらに「事故が起きにくい環境づくり」が重要になります。
子どもや高齢者に「気をつけてください」と呼びかけることは大切です。 ドライバーに安全運転をお願いすることも必要です。
しかし、それだけでは限界があります。
事故が多い交差点、逆走が起きやすい場所、中央分離帯に衝突しやすい場所、 夜間に見えにくい場所などは、現場ごとに改善していかなければなりません。
当時提案したカラー舗装や、安全運転支援装置への支援は、 「注意してください」から一歩進んで、 事故が起きにくい仕組みをつくるという考え方でした。
また、公共交通が十分でない地域では、高齢者に免許返納だけを求めても暮らしが成り立たない場合があります。 だからこそ、安全な道路、安全な車、公共交通、買い物や通院の移動手段を一体で考える必要があります。
自殺防止対策については、相談窓口の整備はもちろん必要です。 専門家につなぐ仕組みも大切です。 ゲートキーパーのように、身近な人が変化に気づく仕組みも重要です。
ただ、本当に目指すべきなのは、 相談窓口にたどり着く前に、ひとりで抱え込まない状態をつくること だと思います。
仕事を失ったとき。
健康を崩したとき。
家族関係で悩んだとき。
学校や職場で孤立したとき。
生活費に困ったとき。
そうしたときに、早めに気づき、早めにつながり、早めに支えられる仕組みが必要です。
自殺防止対策は、命の危機が目の前に迫ったときだけの対策ではありません。 暮らしを支える政策そのものです。

平成30年6月定例会の一般質問は、表面的には、 移住・定住促進、交通安全、自殺防止対策という3つの別々の質問でした。
しかし、振り返ってみると、根っこは同じです。
東温市で安心して暮らし、働き、移動し、生きていける土台をどう整えるか。
人口を守ること。
事故を減らすこと。
命を守ること。
この3つは、別々の政策ではありません。
住みやすいまちだから、人が住み続ける。
安全に移動できるから、日々の暮らしが続く。
仕事や健康やつながりがあるから、人は追い込まれにくくなる。
まちは、派手な施設や一時的な事業だけで成り立つものではありません。 毎日の暮らしを支える土台が整っていることが大切です。
平成30年6月議会での一般質問は、東温市の未来を、 人口、交通、命という暮らしの根本から考える質問だったと思います。
これからも、当時の問題提起を振り返りながら、 今の時代に必要な形で、暮らしを整える視点を大切にしていきます。
暮らしを整える。
自分で未来を100%選べる社会へ。
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