2021/8/3
米国CDCからデルタ株は1人の感染者から5~9人に感染するとの報告書が示されたとあります。今までの新型コロナウイルスの感染力は、1〜3人程度でしたので、それを遥かにこえてしまったということで、私は小児科医ですので、水痘と同じ程度であれば、正直なところ、やはりただ事ではないんだなと思います。対策を抜本的に変える必要がありますし、我々の近いうちに起こる、あるいは、既に起こっていることに対して、意識合わせをする必要があります。多くの医師が今同じように感じていると思います。
診療の場面では、患者様の病勢が強まり治療方針の変更を迫られている場合、その客観的な状況を患者様やご家族としっかりと共有し、患者ー医師の信頼関係の元で、共に新たな局面での治療に当たっていくことがあります。コロナは、そういう局面だと思います。
政治家は、兎角、希望をもたらすことを言いたがりますが、それはこの状況ではかえって残酷です。先ずは、今既に起こっていること、そしてこれから起こり得ることを冷静に記したいと思います。医療従事者の我々にとっての当たり前だと思っていることについて、ここで多くの方々と共有することは大切だと思います。
私の理解は、今は災害時でいうところの「避難指示」の状態です。すなわち、今まさに増水して浸水している最中なので、いまダムを作れとか、あるいは、土嚢を積み上げろという段階は超えており、直ちに垂直避難してくださいと、「生命を守る行動をしてください」という段階が既に今であると思います。
医療従事者以外の方も読まれていると思いますが、怖がらせるために書いているのではなく、自身の生命を守るためメッセージだと思ってください。コロナ以外が病気ではなく、コロナ以外の病気の方も医療アクセスが制限されてしまう事態が東京では起き始めていますので、単にコロナに罹らなければよいという段階では、既にないと私は認識しています。
●感染力が空気感染をする水痘と同程度であれば、今まででの対策をしていても感染拡大を防ぐのは容易ではないと認識すべきです。残念ながらデルタ株への置き換わりが急速に進んでいるため、特に都市部での感染は指数関数的に増加することも予想されます。指数関数は2、4、8倍という増加の仕方になります。よって、現在の1日あたりの東京の感染者数が、例えばですが、1万人を超えることは、想定範囲内としなければならないと考えます。
●東京に関して言えば、公表されてる確保病床は約6000床です。また多くの都道府県では即応病床とボタンを押してから準備を整える準備病床が確保病床に含まれており、その割合は約半数なことが多く、その準備病床を利用可能にするまでどんなに急いでも二週間かかると言われています。
いま入院している患者様を退院してもらうための在宅療養の環境を整えたり、また、転院先を探したり、まず病状が安定していることが前提なりますが、患者様のご了解とソーシャルワーカーさんの働きや、家族の協力が不可欠になり、それが一床毎に必要です。現在、数千床分、ということは、数千人分それを行なっています。
現状の東京都感染者数を考えれば、有に病床は埋まっていると認識すべきでしょう。
特に重症者は、人工呼吸器に繋ぐことが多いですが、直ぐに死亡する場合には病床は空きますが、コロナは肺や全身の状態にもよりますが、今の40や50代は基本的にフルファイトなので、少なくとも3週間は加療していると思いますので、一つ病床が埋まれば、3~4週間は空きません。
知り合いの医師からは、既に重症を受ける病床が無くてってきていると連絡がきています。
今までは、重症者や酸素を必要とする中等症の方々を入院し、軽症者には宿泊療養をという方針でしたが、そこが臨界点を迎えつつあり、これだけの患者数増加の中で、少しでも救える命を救うにはどうすべきかを考えた場合に、政府は昨日、中等も在宅医療により加療する方針を打ち出しました。現状を把握しているのだと思います。
●院内感染が再び出てきています。要注意です。医療従事者はワクチンを打ち終えていますが、ブレイクスルーと呼ばれるワクチン接種後の感染によるものです。ワクチンにはデルタ株に対しても予防効果は従来のコロナよりは低くなるもののあり、かつ、重症化を抑えますので、一人一人の効果はありますが、感染はしてしますので、院内感染を引き起こしえます。
既に院内感染は散見され始めており、今週になり増えることが予想されますので、医療従事者、病院関係者の方々は、特に警戒してください。患者さまも使うトイレのドアノブや、職員だけが使う休憩室の冷蔵庫や電子レンジや電子カルテの端末やプリンター等共有スペースや、物品は特に意識して消毒をしてください。
現在、首都圏でも既に地域の二次救急を担う病院で職員と患者の院内感染により、新規入院と救急患者受け入れを止めところが出始めています。昨年夏の沖縄でも、北九州市でも同じ経験をしました。大阪での前回の波で同じ経験をしています。いわゆる心筋梗塞、脳梗塞、急性腹症などの急患の医療に支障がでます。
●妊婦と新生児の感染も増えています。特に新型コロナ陽性の妊婦は、お腹にいる赤ちゃんのための新生児の感染症用のNICUなどの病床確保が必要で、病院の選定に大変時間がかかることがあります。救急医療の中でも特に周産期医療は、医療資源が少なく、かつ、病院で院内感染が出た場合には、先に示した事例のように、受け入れを中止する場合があり、選択肢が一気に狭くなります。
急いで赤ちゃんを取り出さなければいけないような一刻を争うような事態もあります。一般的に妊娠をしている方々へのワクチンを接種は、母体に抗体ができ、それが胎盤を通して赤ちゃんにも移行するため、生後数ヶ月赤ちゃんもその抗体で守られます。米国において妊婦にワクチンを強く推奨しているのはそういったことがあるからだと思います。
●同様に子供の新型コロナの病床も随分と埋まりつつあります。20代30代の感染が増えるにつれて家族内感染が原因となっていますが、ここ数日は、託児関係なのか原因がわからないものも出てきており、市中感染になってきていると言うことが言える段階に入っていると思います。
子供の新型コロナウィルス感染症は軽症なことが多いと言われていますが、赤ちゃんの場合は発熱だけで飲めなくなるので、特に1から3ヶ月の場合は、点滴をし全身管理が必要になるため入院となることがほとんどです。
また親が感染をし濃厚接触になった子供の行き先が、入院や児童福祉施設や宿泊療養などのパターンがありますが、濃厚接触者の入院で病床が埋まっており、本当に治療の必要な子に対する加療を優先したいので、ここは早急に対応が必要だと思います。
●感染者数は、毎日積み上がりしに処理は到底1日でそれぞれの保健所が処理できるレベルを超えていると言わざるを得ないでしょう。処理能力と言われますが、定員が20人しかいないレストランで、ランチを店員2人から3人で回しているところに500人のお客様が押し寄せるような状態です。そのところは理解をしなければなりません
●この1年で随分とハーシスの活用も定着しました。通称かもしれませんがMyハーシスをご存知でしょうか。医療従事者の皆様に利用していただいているハーシスと言う仕組みの中に、患者様個人が入力し利用できる画面があります。
自分のバイタルや自覚症状などを入力し、一括で管理できる画面があります。アラートなども把握できます。病棟での患者様全体の温度版のような画面を管理してる人は見れます。最近では大都市圏でも宿泊療養や軽症者の自宅療養者に使われていましたが、これからは中等症の自宅療養者にも活用されることだと思います。
中等症の自宅療養者は、在宅で入院して行うような投薬や酸素投与を行うことになります。そこの整備は大変なものがありつつも今ここは関係者が全力で対応していますが、とにかく、かからないことが1番ではあります。
繰り返して恐縮ですが、今回の感染の波はとても大きいです。そしてその波が収まるには、行動変容が起こって感染が実際に抑えられるようになってから最低でも2週間はかかります。いちど埋まった重症病床が空くのには約1ヵ月かかります。現在の感染力の強さや院内感染の発生状況を考れば、8月と9月は実質上、相当大変な事態が続くと覚悟しておく必要があると思います。
東京以外の地方都市も、数週間以内に同じことが起こり得ると警戒しておく必要があります。特に医療関係者や介護関係者は、デルタ株が流行って居ない地域でも院内や施設内感染にご注意ください。
若い世代へのワクチン接種を早急に進めること等は非常に重要です。ただし秋までかかります。また国際的には経口内服薬の開発や治験も進められています。特に軽症が飲めるものです。インフルエンザの場合で言うタミフルのような治療薬ができた時と、ワクチンがある一定接種が行き渡る時、この2つの要素が大きく風景を変える必要がありますが、そこまで数カ月かかります。
今回の波は最後の波ではない可能性もあるとあらかじめ知っておく必要があります。今の我慢は今の感染から多くの命を救うために行うものであり、かつこの現状では自分自身の命を守るために行う行動だと理解してください。
このタイミングでは、一人一人が予防していくしかないですが、今の感染力では、今までと同じような予防していてもかかる可能性があります。それでも予防していくしかないです。
特に野外で見かけるマスクをとっての会食や飲酒は、今は多くの人に迷惑をかける行為に直結します。自身が入院する先がなく辛い思いをするだけではなく、他の病気の医療のアクセスも間接的に制限してしまいます。
朝から重たい話になりましたが、私から見える、そして、多くの医療従事者や関係者から見えているであろう都心の現状を共有させて頂きました。
立法府の私の立場から、政府の方々や
与党議員に鋭意共有させていただいていますし、
より一層努力して参ります。
読んで下さった医療関係者も
それぞれ本当に大変な現場に置かれていると
思いますが、がんばりましょう。



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