2026/8/12

新宿区議会議員の川村のりあきです。
新宿区西落合に隣接する哲学堂公園。
約100年前、東洋大学の創設者でもある哲学者・井上円了が、「園内を散策しながら哲学を体験できる場」として創設した公園です。
新宿区民も日常的に利用し、朝のラジオ体操には多くの方が集まります。
また、災害時には周辺住民にとって重要な避難場所でもあります。
そして何より、都心にありながら豊かな緑と生きものが残る、かけがえのない場所です。
ところが、この哲学堂公園でかつて、多くの樹木の伐採を伴う再整備計画が突然持ち上がりました。
当時、「区が決めたことだから、もう仕方がない」という声もありました。
しかし、住民の皆さんはあきらめませんでした。3,300筆の署名。自然環境の調査。自然観察会。行政との交渉。新宿区議会での質問。東京都、そして国への直接確認。さらに区長選挙で示された民意。さまざまな力が積み重なり、最後には計画そのものが中止になりました。私自身も、「哲学堂公園広場と緑を守る会」の皆さんから依頼を受け、哲学堂公園で署名活動に立ちました。
今回は、「区が決めたことだから仕方ない」と言われた計画が、なぜ動いたのか。その約1年半を振り返ります。
中野区が「哲学堂公園再生整備基本計画」を発表したのは、2017年10月でした。
「観光の拠点にする」として、新たな学習展示施設の設置などとともに、樹木の伐採や、子どもたちやラジオ体操の皆さんが利用していた児童遊園の大幅な縮小などが盛り込まれていました。
計画では、
「常緑樹の整理」
「ヒマラヤスギは伐採」
「見通しを遮る樹木は整理」
「景観の回復のため樹木を除去」
「明るさ確保のために樹木を整理」
など、さまざまな理由が示されていました。
しかし、その結果として多くの樹木が失われる可能性がありました。
「長い年月をかけて育ってきたこの緑を、本当に切ってしまっていいのか」
住民の皆さんから声が上がり始めました。
さらに重要なのは、哲学堂公園が単なる都市公園ではないことです。
哲学堂公園は、2009年に東京都の名勝に指定されています。
ところが、再整備計画をめぐって調べていくと、計画の進め方についてさまざまな疑問が浮かんできました。
私は、「行政がそう説明しているから、それで終わり」にはできないと考えました。
本当にそうなのか。東京都はどう考えているのか。国の認識はどうなのか。
一つひとつ確認していくことになります。
計画に対し、地域の皆さんが立ち上がりました。
「哲学堂公園広場と緑を守る会」をはじめとする住民の皆さんは、公園の広場や樹木を残すことなどを求め、行政や議会へ働きかけました。
そして中野区議会には、3,300筆の署名を添えた陳情が提出されました。
私自身も、「哲学堂公園広場と緑を守る会」の皆さんから依頼を受け、哲学堂公園で署名活動に立ちました。
公園を利用している方々と直接お話ししながら、
「この緑を残してほしい」
「子どもたちが使っている広場を残してほしい」
という声を集めました。
しかし、この運動は署名だけではありませんでした。
日本自然保護協会(NACS-J)が残している活動レポートを見ると、哲学堂公園を守る取り組みが、さまざまな形で広がっていったことが分かります。
自然観察指導員の皆さんによる自然観察会。
鳥類や昆虫などの調査。
SNSなどを通じた情報発信。
自然環境の調査結果をもとにした意見書の提出。
他の自然保護団体との連携。
哲学堂公園にどのような自然が残されているのかを、感覚だけではなく、調査と記録によって「見える化」する活動も進められました。
これは、とても大切な取り組みだったと思います。
「木を切らないでほしい」という思いだけではありません。なぜ、この自然を残す必要があるのか。その根拠を調べ、多くの人に知らせ、行政に示していく。
住民、自然保護に取り組む皆さん、議会など、それぞれの立場から行動が広がっていきました。
「哲学堂公園は中野区にあるのに、なぜ新宿区議が取り上げるのか」と思われる方もいるかもしれません。
理由は明確です。
哲学堂公園は新宿区西落合に隣接しています。新宿区民にも日常的に利用されている公園であり、災害時には新宿区民にとっても重要な場所です。
そこで2018年、私は新宿区議会の一般質問で、この問題を取り上げました。
中野区から新宿区への事前の意見照会はあったのか。自然環境と避難場所としての機能に十分配慮するよう、新宿区から中野区へ働きかけるべきではないか。
これに対し、新宿区は、中野区から意見照会は受けていないと答弁。そのうえで、質問の趣旨を中野区に伝えると答えました。
隣接する新宿区にもかかわる問題として、私は新宿区議会からも声を上げました。
私は、新宿区議会で質問して終わりにはしませんでした。
東京都、さらに文部科学省の担当者にも直接話を聞きました。
すると、中野区が住民にしていた説明と、東京都や関係機関の認識との間に食い違いがあることが分かってきました。
この経験は、私のその後の議会活動にもつながっています。
行政から、「こうなっています」と説明されたとき、それをそのまま受け取るだけではなく、「本当にそうなのか」と一次情報まで確認する。必要なら、東京都にも国にも聞く。区民の皆さんから寄せられた疑問を、事実に基づいて確かめる。
それも区議会議員の大切な役割だと考えています。
2018年6月10日、中野区長選挙が行われました。
哲学堂公園の再整備計画の見直しも、まちづくりをめぐる重要な争点の一つとなりました。
日本自然保護協会の活動レポートにも、計画見直しを区長選挙の争点にする取り組みが行われ、その後、新区長によって計画見直しが正式に発表された経過が記録されています。
そして2018年10月には、計画の象徴でもあった「建築計画のお知らせ」の看板が撤去されました。予定されていた着工も行われませんでした。
2019年、私は区政報告で、「中止に追い込むことができました」と報告しました。
振り返ってみると、誰か一人の力で計画が変わったわけではありません。
3,300筆の署名。
哲学堂公園での署名活動。
自然観察会。
鳥類や昆虫などの調査。
SNSやメディアを通じた情報発信。
自然保護団体との連携。
住民と行政との交渉。
新宿区議会での質問。
東京都・国への確認。
そして、区長選挙で示された民意。
さまざまな人たちの行動が積み重なりました。
私も「哲学堂公園広場と緑を守る会」の皆さんから声をかけていただき、署名活動に参加し、新宿区議会で取り上げ、東京都や国にも確認しました。
だからこそ、私はこの経験を、「自分が止めた」とは考えていません。
住民が声を上げる。自然の価値を調べる人がいる。署名をする人がいる。行政と交渉する人がいる。議会で取り上げる。そして選挙で意思を示す。
多くの人の力がつながったからこそ、行政の計画を動かすことができた。それが、哲学堂公園で私が学んだことです。
当初は、「区が決めたことを変えるのは難しい」という声もありました。
それでも、住民の皆さんはあきらめませんでした。
私自身も、公園に立って署名を集め、議会で質問し、東京都や国へ確認しました。
一つひとつは、小さな行動に見えるかもしれません。しかし、それがつながれば、行政を動かす力になります。
「もう決まったことだから」で終わらせない。
これは、その後の私の議会活動でも大切にしている姿勢です。
ここまでなら、「哲学堂公園の計画を住民の力で止めた」という話です。
しかし、本当にお伝えしたいのは、ここから先です。
計画が中止になったあと、哲学堂公園はどうなったのか。
2009年に指定されながら、再整備計画の際には十分に生かされなかった「東京都指定名勝」は、その後どうなったのか。
そして、住民は計画づくりに参加できるようになったのか。
さらに5年後――。哲学堂公園で得た経験は、新宿区で起きた「神宮外苑の樹木伐採問題」へとつながっていきます。
私はそのとき、「哲学堂の緑を守ったように、神宮外苑の緑も守りたい」と考えました。
「止めた」で終わらない。守った緑を、どう守り続けるのか。そして、一つの地域で得た経験を、次のまちづくりにどう生かすのか。
続編では、その後の哲学堂公園と神宮外苑へのつながりをお伝えします。
▶ 続編はこちら
【哲学堂公園②】守った経験は神宮外苑へ――「名勝」という盾と住民参加
(Part2公開後にリンクを追加)
📌 哲学堂公園をめぐる約1年半
2017年10月
中野区が哲学堂公園再生整備基本計画を発表
↓
住民が立ち上がる
「哲学堂公園広場と緑を守る会」などが活動
3,300筆の署名
自然観察会・自然環境調査・情報発信
↓
私も哲学堂公園で署名活動
守る会の皆さんから依頼を受け、署名活動に参加
↓
2018年
新宿区議会一般質問で取り上げる
東京都・国にも直接確認
↓
2018年6月
中野区長選挙
↓
2018年10月
「建築計画のお知らせ」看板撤去
↓
2019年
計画中止へ
↓
そして5年後――神宮外苑へ
📖 続けて読んでいただきたい記事
【哲学堂公園②】守った経験は神宮外苑へ――「名勝」という盾と住民参加
(Part2公開後にリンクを追加)
続編からは、そのまま神宮外苑再開発シリーズへつながります。
「住民の声で計画は変えられるのか」
「行政と事業者の協議は、きちんと記録されていたのか」
ぜひ続けてお読みください。
📋 区政アンケートにも皆さんの声を
身近な公園や緑、再開発、まちづくりについて、
「大切な木が切られそう」
「知らないうちに計画が進んでいる」
「もっと住民に説明してほしい」
「この場所を残してほしい」
そんな声がありましたら、ぜひお寄せください。
皆さんからいただく声や情報が、私が現場を調べ、議会で取り上げる出発点になります。
💬 ご意見・ご相談
📱 公式LINE:@819zzafp
📧 kawamura.noriaki71@gmail.com
📞 070-6510-8893(ショートメール歓迎)
FAX:03-3950-8893
川村のりあき
日本共産党新宿区議会議員
「区民のためなら、あきらめない」
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