2026/6/22
今日はYouTubeでも語った朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』についてです。
この小説のテーマは、いわゆる「推し活」や「ファンダム」と呼ばれる現象です。
ファンダムというのは、あるアイドルや表現者を応援するファンたちのコミュニティ、その集団のことを指します。
SNSの普及によって、ファン同士がインターネット上で繋がり、励まし合い、煽り合いながら、アーティストや芸能人を支えていく。そうした熱狂のなかに取り憑かれていく人々を描いた作品です。
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この作品のなかでは、選挙と政治の話がストレートに出てくる場面があります。
ある登場人物が、信者のようなファンをあえて作り出すマーケティングを語ります。
「100万人の薄く広い支持者を作るのが普通の選挙だ。でも、本当に重要なのは1万人の熱狂的なファンを作ることだ」
と。薄く広い支持者は自ら布教してくれないけれど、熱狂的なファンは自ら動き、政策や中身を周りに伝え、票や売上を集めてくれる──
そういう手法を実践する政党が政治の世界に出てきた、と熱弁するのです。
どの政党がモデルかは分かりませんが(笑)、現実の政治のなかで目にしてきた光景と重なって、ゾクゾクしました。
ワクチン陰謀論やマスク陰謀論、特定の思想へと人々を引きずり込んでいく描写も含めてありそうな話、いや「あった話」なのです。
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そうしたマーケティングの先進性と恐ろしさを感じる一方で、私はこの本を読みながら、石丸伸二さん界隈への期待を改めて感じたりしたのです。
唐突に思われるかもしれませんが、ファンダム的なコミュニケーション、支援者同士が横で繋がり鼓舞し合う現象そのものは、もう時計の針が巻き戻ることはなありません。
これは今後の政治家にとっても、政策にとっても、大きな力になっていくのだと思います。
問題は、その力が健全に機能するかどうかです。
一部の動きを見ていると、極端な主張に走り、グッズや高額の献金、クラウドファンディングで集金活動を強めながら、特定の思想へと人々を導いていく。あこぎな商法にも近いものを感じることがあります。
その点、石丸さんは献金集めくらいはされますが、特定の思想を押し付けたりはしていないように見えます。むしろ政治参加を促し、間口を開いて多くの方を政治に流入させたい、というかなりフラットな立ち回りをされている。
色がないにもかかわらず、ファンダム的にはしっかり盛り上がり、支援者同士のコミュニケーションが活発になっているわけです。
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推し活やファンダムの界隈でも、再生できないCDを何百枚も買わせるようなあこぎな商法が問題になっています。盛り上げながらも、そこで踏みとどまれる人はなかなかいません。
石丸さんに対する評価は色々とあると思いますし、私も全肯定するわけではありません。ただ、極端に走らずにファンダムが生まれる、そういうムーブメントの作り方は、ひとつのモデルになり得るのではないでしょうか。
推し活やファンダムにはついていけない、と感じている方も多いと思いますが、こういうあり方もあるのだと思える、ひとつの形になっていくのかもしれません。
そんなことを、一冊の小説から考えた週末でした。
2〜3時間でサクッと読める作品ですので、選挙やファンダムに関心のある方は、ぜひ手に取ってみてください。
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