2026/4/16
京都で継父による痛ましい子どもへの事件が起きました。心からお悔やみを申し上げます。そして、こうした投稿が広がる心理や気持ちはわかります。
でも、これはデータとして正確ではなく、政策論としても成立は困難です。少し丁寧に整理させてください。
■ データが示す現実
厚生労働省の統計(2023年度)によると、児童相談所が対応した虐待の加害者は——
実母:48.3%
実父:42.3%
実父以外の父親(継父・養父):5.1%
加害者の約9割は実の親です。「継父が危ない」という印象は、データとは乖離しています。
一方で確かに警察の検挙データ(重篤事案)では継父・内縁の父の比率が相対的に高く見える傾向はあります。
ただしこれは、日本ではステップファミリーの全国的な分母を厳密に置ける公的統計が乏しく、リスク比較にはなお限界があるため、リスクの高低を正確に比較することが現時点ではできません。
「多く見える」と「リスクが高い」は別の話です。
■ 私自身も継父(ステップファザー)です
少し個人的なことを書きます。
私はステップファミリーの父親、つまり継父です。7歳で娘が養女となり、子どもたちと向き合う中で、血のつながりがない親子関係の難しさも、その豊かさも、身をもって感じてきました。
だからこそ、「継父という属性」だけで危険視するような言説には、どうか少し立ち止まって考えてほしいと思います。
同じように悩みながら、真剣に子育てに向き合っている継父・ステップファミリーの方々がいます。
こうした言説が、そういった家族やその想いをさらに孤立させることにならないか。そこが気がかりです。
■ 問題の本質は「家族の形」ではない
研究者たちが指摘するのは、虐待リスクを高める要因は家族構成そのものではなく、以下のような複合的な背景だということです。
・経済的困窮・孤立
・DVの存在
・親自身が虐待を受けた経験
・地域・行政との繋がりの希薄さ
・ステップファミリーへの支援・相談窓口の欠如
■ では政策として何ができるか
「再婚・交際を禁じる」は憲法上あり得ませんし、残念ながら何の解決にもなりません。むしろ必要なのは、
・ステップファミリーに特化した相談・支援窓口の整備
・継父母と子どもの関係形成を助けるペアレンティング教育の普及
・虐待の早期発見のための要対協(要保護児童対策地域協議会)の機能強化
・孤立した家庭へのアウトリーチ型支援の拡充
などではないでしょうか。
あわせて指摘したいのが、離婚後の親子関係のあり方です。単独親権のもとでは、離婚後に実父が子どもの生活から切り離されやすい。
共同養育が機能していれば、継父との関係に何か異変があっても実父が気づけるなど、複数の大人が子どもを見守るセーフティネットとして働きます。
虐待防止の観点からも、共同親権・共同養育の推進は重要な論点ではないでしょうか。
■
悲しい事件が起きるたびに、怒りの矛先を「属性」に向けてしまうのは理解できます。
でもそれは問題の本質から目を逸らし、当事者を傷つけ、有効な対策を遅らせてしまいかねません。
痛ましい事件を、どうにか正しい政策議論につなげていきたい。継父の一人として、一人の政治家として、そう思っています。
【追記】
数字の見せ方についてご指摘をいただいています。お伝えしたかったのは「実父の方が多く継父の比率は少ない」ということではなく(母数が違うので当然そうなってしまう)、後段で強調した
>日本ではステップファミリーの全国的な分母を厳密に置ける公的統計が乏しく、リスク比較にはなお限界があるため、リスクの高低を正確に比較することが現時点ではできません。
という部分でした。しかし最初にこの数字を挙げて印象論を否定しようとしたため、逆の意味でミスリード気味になってしまいました。申し訳ありません。
海外事例やデータも含め、ステップファミリーに様々な課題があることは承知しています。ただ、日本における「率」の実態はいまだ正確には定かではありません。
こうした現状も踏まえながら、調査統計の徹底も含めて日本の行政が出来ること・すべきことを考えていきます。補足でした。
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