2026/9/8
沖縄に入って3日目です。
昨日も多くの皆さんにお会いし、様々なお話を伺いました。今日の午前中も沖縄で活動を続けます。
1)生ジャガイモの輸入に断固反対
アメリカ産の生ジャガイモの輸入問題、生産者や農業団体などから多くの反対意見が上がっています。しかし、政府、さらには与党が、この問題にどう向き合おうとしているのか、その姿が十分に見えてきません。
農水省は「輸入ありきではない」「慎重に協議する」と説明しています。しかし実際には、検疫協議が進められ、産地での説明会も始まっています。
このまま、十分な国民的議論もないまま、少しずつ輸入解禁へと進んでいくのではないか。そんな気配を感じています。
ジャガイモは北海道農業を支える重要な作物です。一度侵入すれば長期にわたって農地に影響を及ぼしかねない病害虫への懸念もあります。そして何より、日本の生産基盤、食料安全保障をどう守るのかという大きな問題です。
私は、アメリカ産の一般流通用生ジャガイモの輸入解禁には、断固反対です。
政府は、結論ありきで手続きを進めるのではなく、生産現場の声に真正面から向き合うべきです。
2)日銀は匍匐前進
匍匐前進昨日の日記に関し、重要な質問を複数頂きました。少し長くなりますが、今日は、そのうちの次の質問にお答えします。
「日銀は巨額の国債を保有している。その状態で、本当に政府から独立して金融政策を判断できるのか」
結論から言えば、制度上、日銀の金融政策の独立性は確保されています。
日本銀行法でも、金融政策について日銀の自主性を尊重することが定められています。政府が日銀に「金利を上げろ」「下げろ」と直接命令する仕組みではありません。
ただし私は、制度上独立していることと、実際に自由度高く政策を動かせることは、同じではないと考えています。
日銀は2013年以降、いわゆる異次元の金融緩和を続けました。
金融緩和とは、簡単に言えば、金利を低くしたり、日銀が大量の国債を買ったりすることで、お金を借りやすくし、企業の投資や個人の消費を後押しする政策です。
その結果、日銀の国債保有額は極めて大きくなりました。現在も国債発行残高の相当部分を日銀が保有しています。
ここで問題になるのが、異次元の金融緩和から、通常の金融政策へ戻る道筋、いわゆる「出口」です。
例えば、物価高などに対応するため、日銀が金融政策を正常化し、政策金利を引き上げるとします。
日銀が直接動かすのは主に短期の政策金利です。これが上がると、銀行の貸出金利、住宅ローン、企業の資金調達など、さまざまな金利に上昇圧力がかかります。
一方、10年国債などの長期金利は市場で決まります。ただし、日銀の政策金利や今後の金融政策への見方は、長期金利にも大きな影響を与えます。
金利が上がると、日銀が過去に買った低い金利の国債は、市場での価格が下がります。簡単に言えば、「今売れば損が出る状態」になります。これが、いわゆる「含み損」です。
含み損が生じたからといって、直ちに日銀が金融政策を行えなくなるわけではありません。日銀は民間の銀行とは性格が違いますし、国債を満期まで持てば、原則として額面で償還されます。
むしろ、より大きな問題は、日本経済全体が長い低金利に慣れてきたことです。
長年、極めて低い金利が続いたため、家計も企業も金融機関も政府も、「金利は低い」という環境の中で行動してきました。
ここで政策金利を急速に引き上げれば、住宅ローンの負担が増えます。企業の借入金利も上がります。国債価格が下がれば、国債を多く持つ金融機関にも影響します。
政府も例外ではありません。国債の借り換えが進むにつれて利払い費が増え、財政を圧迫します。
さらに、日銀自身にも影響があります。
日銀が政策金利を上げれば、金融機関が日銀に預けている巨額の当座預金に対して支払う利息も増えます。
一方、日銀が保有する国債の多くは、低金利の時代に購入したものす。つまり、保有国債から受け取る利息はすぐには増えない一方、金融機関へ支払う利息は増えやすくなります。日銀の収益が圧迫される可能性があります。
また、日銀が国債保有を減らそうとしても、一気に減らすことは困難です。
急激に国債購入を減らしたり、大量に国債を市場へ放出したりすれば、国債市場が混乱し、長期金利が急上昇するおそれがあるからです。
そのため日銀は、国債購入を段階的に減らしています。
つまり、異次元の金融緩和によって日銀が政策を決められなくなったわけではありません。
しかし、政策を変更するときに考慮しなければならない影響が、以前より格段に増えました。
物価や為替などの状況を考えれば、金利を上げる必要があるかもしれない。
しかし、上げ方が急なら、家計、企業、金融機関、国債市場、政府財政、そして日銀自身にも大きな影響が出る。
国債保有を減らす必要もある。
しかし、減らし方が急なら、長期金利が大きく上昇するかもしれない。
だから日銀は、物価、賃金、景気、為替、国債市場などを一つ一つ確認しながら、慎重に政策を正常化せざるを得ません。
私はこれを、いわば「匍匐前進」のような金融政策だと受け止めています。
日銀に制度上の独立性はあります。しかし、長年にわたる異次元緩和によって、現在の日銀には多くの制約条件が残されています。
言い換えれば、日銀は車のハンドルを握っています。
しかし、長年の異次元緩和によって道路は狭くなり、急ハンドルを切れば経済や金融市場のどこかに大きな負担が生じかねない状態です。
しかも、この狭い道は数年で終わるものではありません。
日銀自身の計画でも、国債保有残高は2030年3月になっても、2024年6月と比べて36~39%減る程度です。単純計算では、なお360兆円前後の国債を保有することになります。
異次元緩和以前とは、なお大きな開きがあります。
少なくとも2030年前後まで、そしておそらくその先も、日銀は巨大な国債保有と、長期の低金利政策が残した影響を抱えながら金融政策を運営することになります。
したがって、「日銀は政府から独立しているか」という問いに対する私の答えは、こうなります。
制度上の独立性は確保されている。
しかし、政策運営の自由度には大きな制約がある。
そして、その制約の多くは、十年以上にわたる異次元の金融緩和が残したものです。
日銀はハンドルを握っています。
しかし、走っている道は以前よりずっと狭い。
だからこそ、これからの金融政策には、これまで以上に慎重で的確なハンドル操作が求められており、一歩間違えば、崖に落ちる危機と背中合わせなのです。
さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
【26年9月8日 その6952『逢坂誠二の徒然日記』8649回】
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