2026/6/5
栃木県で16歳の少年が強盗殺人に加担し、逮捕されました。奈良県においても奈良市学園南で10代の少年による強盗致傷事件が起きました。
これらの背後には指示役がいました。これが今の日本で起きている現実です。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による事件が後を絶ちません。警察庁の統計によれば、2025年の摘発者数は前年比2割増の1万2178人。そのうち30歳未満の若者が約6割を占めています。しかも「主犯または指示役」はわずか約1割。残る9割は末端の実行役です。若者が組織的に「使い捨て」にされている、これが現実の構造です。
◆現行法では対応できない
暴力団対策法も暴排条例も、「継続的な組織の実体」「上下関係」「資金の集中」という明確な要件を前提に設計されています。しかしトクリュウは先輩・後輩・知人という緩やかなつながりをベースに、SNSで集めたメンバーを都度入れ替えながら犯罪を実行します。指示役は匿名の通信手段の背後に隠れ、収益だけを吸い上げます。既存の法では、この構造を捕捉できません。
◆なぜ新法の議論が進まない
警察庁は2025年10月に専門対
策本部を設置し、犯罪収益移転防止法の改正検討にも着手しました。しかしトクリュウそのものを標的とした新法制定の議論にはまだ至っていません。なぜか。理由は三つあります。
第一に、法的定義の困難です。トクリュウを法律上の「団体」として定義しようとすると、一般の友人グループとの境界線が引けず、憲法の結社の自由との抵触問題が生じます。
第二に、既存法の「使い回し」で乗り切ろうとする行政側の現状維持バイアスです。組織の強化と既存法の改正の組み合わせで対処しようとすれば、新法制定に必要な政治的エネルギーを割かずに済みます。
第三に、指示役が海外に潜む構造への国内法の限界です。テレグラムなど暗号化通信アプリを介した海外拠点からの遠隔指示は、国内法だけでは規制の対象を描けません。これらの困難を直視した上で、立法の設計を本気で議論する場が必要です。
◆孤立と貧困が「入口」をつくる
しかし取り締まりの強化だけでは問題の根を断てません。なぜ若者がトクリュウに群がるのか。カネだけが動機ではありません。問題の本質は「孤立」です。現行のセーフティネットは、手が届くまでの速さと手軽さにおいて闇バイトに大きく
劣っています。行政の相談窓口は平日昼間のみ、書類は複雑、審査に時間がかかります。一方、闇バイトはスマホ一台で深夜でも即座に応答が来ます。経済的に追い詰められ、友人もなく孤立した若者が「困った」と検索して辿り着く先が犯罪の入口になっている。防衛費の倍増を急ぐ前に、国民の日常の安全を守ることこそが政治の本義ではないでしょうか。
◆格差と孤立をなくす政治へ
私が訴えるのは二つの柱です。
第一に、立法府が正面から向き合うことです。法的定義の困難を理由に議論を先送りするのではなく、憲法上の制約を踏まえながら立法可能な枠組みを具体的に設計する。その議論を国会で始めなければなりません。 第二に、孤立した若者への即応型支援の構築です。若者向け相談窓口のデジタル化と24時間対応、居場所の確保、所得再分配の強化。行政の支援が「すぐに、簡単に、手が届く」ものでなければ本当に困った人には浸透しません。
16歳の少年を強盗殺人の実行役に追い込んだのは、その少年だけの問題ではありません。そこまで追い詰めた社会の構造的欠陥を直視し、政治が責任を果たすべき時です。
~スタッフ日記「いざいざ熊野④」
大峰山を下りた後は、大峯奥駈道から一度それて、三重県熊野市の海岸を目指しました。
この日の誤算は、上北山村へ向かう路線バスの時刻を見間違えたことです。利用する予定だったのは、日本一長い路線バスとして知られる「八木新宮特急バス」。ところが平日と休日のダイヤを勘違いしており、気づいた時にはすでに出発した後でした。
時刻は午後2時過ぎ。空は曇り始め、夕方からは大雨予報です。仕方なくヒッチハイクを試みることにしました。近くにあった大きなのぼり旗を手に、とにかく車へ向かって振り続けます。 しかし2時間近く粘っても、一台も止まりません。後から聞いた話ですが、どうやら路肩のお社の前で旗を振っていたため、通りがかった方々には「祭りの関係者かな」と見えていたようです。
本降りまで残された時間はわずか。地図を見ると、上北山村までは20キロ弱です。こうなれば走るしかありません。荷物を
背負ったまま国道を走り続け、夕方にはなんとか上北山村へ到着。真っ先に日帰り温泉へ飛び込みました。
風呂上がりにロビーでカップ麺を食べていると、ホテルのフロントの方から「お兄さんたち、さっき国道を走っていましたよね」と声をかけられます。さらに驚いたことに、その場にいた地元の男性も、数時間前にヒッチハイクをしていた私たちを目撃していました。
宿泊先が決まっていないことを伝えると、「うちで休んでいくか」と一言。その晩はご自宅に泊めていただくことになりました。夜になると、仕事を終えたホテルのフロントの方まで訪ねてきてくださり、「明日の非常食に」と大きなおにぎりを差し入れてくれました。大雨の中で途方に暮れた日でしたが、最後は人の温もりに触れられました。翌朝、見送られながら、私たちは再び熊野を目指して歩き始めました。旅はまだまだ続きます。
(チャーリーブラウン)
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