2026/6/12
今年2月28日のホルムズ海峡封鎖から3カ月が経ちました。ナフサ由来の製品は食品トレー・医療器具・塗料・プラスチック部品と私たちの日常のあらゆる場面に使われています。
国内12基のナフサクラッカーのうち4月初旬時点で6基が減産体制となり、フル稼働を維持できたのはわずか3基という異常事態でした。
日本塗装工業会は「政府発表と現場のサプライチェーンには大きな乖離が生じている」として国交省に安定供給を要望しています。
中小の加工業者からは「材料が届かず受注をこなせない」という悲鳴が上がっています。この乖離はなぜ生まれているのか。そこに問題の本質があります。
◆「足りている」は本当か
政府は「国全体として必要量は確保できている」と繰り返します。しかし代替輸入で確保できているのは例年の8割であり、在庫は漸減傾向にあります。「8割確保」は「充足」ではありません。さらに政府は「国全体の総量」という集計単位を意図的に使い、「特定品目・地域・企業への到達量」という現場の実態指標を用いません。
最大の問題は「川上に量があ
る」ことと「川下に届いている」ことを混同している点です。産地に米があっても食卓に届かなければ飢える。届かない量は、ないに等しい。数字は嘘をついていないが、現実を映してもいないのです。
◆正論が「職業的自殺」になる構造
見逃せないもう一つの構造があります。高市総理が早い段階で「必要量は確保できている」と公言したことの影響です。永田町・霞が関では、上位者の発言を否定すること、たとえ正論であってもそれを修正することは「職業的自殺」に値します。政治家には政治生命の、官僚には出世とポストの終わりを意味するからです。赤沢大臣が記者に「まったく認識が違う」と強く反論した言葉も、この構造の中で読み解くべきだと私は見ています。一度「足りている」と言った後の撤回コストは甚大です。撤回すれば総理の判断ミスが公式に確定し、野党・メディアの追及が激化し、市場と国民の不安が噴き出します。こうして強弁を続けることが合理的選択となり、現場との乖離はどんどん広がっていくのです。
◆問題の本質は制度の欠陥
2011年の福島第一原発事故直後、民主党政権の官房長官が
「直ちに健康に影響はない」と繰り返しました。私もその政権の一員でした。言葉で現実を管理しようとした結果、現場との乖離が拡大し続けました。あの苦い経験と同じ構造が、今また繰り返されています。
制度的欠陥も直視すべきです。日本はエチレン原料の約95%をナフサに依存し、その約74%を中東産に頼っています。原油には約250日分の国家備蓄がありながら、ナフサには備蓄制度すら存在しません。誤りを正すことが職業的自殺になる国では、構造を変える力が働かないのです。
◆私が求めること
現場からこそ問題の本質は見えます。私はエネルギー安全保障の根幹は防衛費の積み増しではなく、供給構造の多様化と強靱化にあると主張してきました。今必要なのは三つです。
第一に、ナフサの国家備蓄制度の創設。第二に、エタン・LPGへの原料転換支援による脱ナフサ依存の加速。第三に、政府発表と現場実態の乖離を解消する透明な情報開示です。強弁を続けても現場の混乱は止まりません。
正論を言える政治・行政の仕組みを取り戻すこと、そして現実を直視し構造を変えることこそが、政治本来の役割です。
~スタッフ日記「いざいざ熊野⑤」
山を抜けると、目の前に三重県熊野市の海が広がりました。
数日間、山と谷ばかりを見ながら歩いてきたので、久しぶりに見る海は新鮮でした。ここからは七里御浜の海岸沿いを南下し、熊野三山を目指します。
海岸でテントを張りながら歩き続け、まずは熊野速玉大社へ。歴史について詳しく語れるほどの知識はありませんが、ここまで自分の足で歩いてきたからこそ、ようやく辿り着いたという達成感がありました。
その夜は那智勝浦で宿を取り、港町ならではの生マグロを堪能しました。ここまで缶詰やコンビニ飯が中心だったので、旅の中でも特に贅沢な食事だったように思います。
翌朝は那智の滝と熊野那智大社を参拝し、そのまま最後の目的地である熊野本宮大社へ向かいました。旅の序盤は山道に苦戦していましたが、不思議なもので、ここまで来ると長い山道も以前ほど苦になりません。
そして念願だった熊野本宮大
社へ到着。これで熊野三山をすべて巡ることができました。
今回の旅で印象的だったのは、多くの外国人が熊野古道を歩いていたことです。海外からこのために来日した人や、日本に留学中の学生など、様々な人と話す機会がありました。
日本人の私たちが当たり前に思っている風景や文化に、遠く海外から関心を持って訪れる人がいる。その姿を見ているうちに、こうした文化をもっと日本人自身が知り、体験する機会が増えても良いのではないかと感じました。
本宮大社近くの居酒屋では、4日前に山中で出会ったイギリス人の夫婦と偶然再会する出来事もありました。せっかくのご縁なので、本宮大社でいただいた牛王札をお渡しすると、とても喜んでくれました。
次回はいよいよ最終回。
旅の終着点となった高野山で、この10日間を振り返ります。
(チャーリーブラウン)
The post 第1229号 「ナフサは足りている」は本当か? first appeared on 馬淵澄夫(まぶちすみお)奈良県第1区 前衆議院議員.
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