2026/5/26
◆ 「欲のぶつかり合い」が世界を壊している
元国連紛争調停官の島田久仁彦氏は、戦争の本質についてこう喝破しています。宗教の対立、民族の違い、政治体制の相違——これらはいずれも「事後的につけられた理由」に過ぎない。戦争の根源にあるのは、個人・組織・国家が抱く「もっと、もっと」という尽きない欲である、と。
私はこの分析に深く共感します。ルワンダのジェノサイドも旧ユーゴスラビアの崩壊も、その本質は領土欲・支配欲・権力欲のぶつかり合いでした。宗教や民族という衣をまとっているだけで、動かしているのは常に人間の欲望です。
◆ ホルムズ海峡封鎖が日本を直撃する
今、その「欲のぶつかり合い」が日本の安全保障に直撃しています。イスラエルとイランの戦争激化を受け、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖。世界の石油需要の1割にあたる日産600万〜900万バレルの供給不足が生じ、原油価格は1バレル110ドル台の高止まりを続けています。
日本が輸入する原油の約8割はこのホルムズ海峡を通過します。エネルギーの安定調達こそが日本の最大の安全保障上の脆弱性であることが、あらためて明確になりました。にもかかわらず、高市政権が進める安全保障政策の中心は防衛費の倍増と殺傷兵器の輸出です。これは根本的な問いへの答えになっていません。
◆ 米中首脳会談「失敗」が示す大国不信の時代
5月14日に北京で開催された米中首脳会談は、ホルムズ海峡危機をはじめとする国際的な緊急課題に何ら打開策を示せず、「失敗」に終わりました。続く中ロ首脳会談も「現状維持の容認」にとどまりました。大国が国際秩序の維持に機能しない——その現実が、「力あるものが自らの欲の実現を優先する弱肉強食の世界」の到来を告げています。
私が深刻に懸念するのは、こうした状況の中で日本が「日米同盟一辺倒」の外交路線を続けていることです。米国がトランプ政権の「自国ファースト」に傾斜し、中国と二国間の利益調整を優先するシナリオの中で、日本が蚊帳の外に置かれるリスクが高まっています。「揺るぎない日米同盟」という言葉だけでは、複雑化する世界情勢を乗り越えることはできません。
◆ 軍事力増強は「欲のぶつかり合い」への加担である
島田氏が「強欲に導かれる世界秩序の構築」と呼ぶこの流れの中で、日本が選ぶべき道は何か。私は一貫して主張してきました。防衛費の倍増や殺傷兵器の輸出拡大は、軍拡競争という「欲のぶつかり合い」への参加に他ならず、日本の安全を高めるどころか、緊張の連鎖に日本を巻き込むリスクがあります。
ソニー創業者・井深大氏はかつてこう言いました。「軍事に手を出さなかったから日本は製造業大国となった」と。この言葉は今こそ重く受け止めるべきです。真の国家安全保障の基盤は、外交力の強化、再生可能エネルギーによるエネルギー自立、そして民間技術の競争力です。これが私の変わらぬ立場です。
◆ 「もう一つの欲」を日本が示せ
島田氏は論考の最後にこう問います。「私たちはどのような欲を掲げるべきなのか」と。私はこれを日本外交への問いと受け止めます。答えは明確です。「世界中の人々が安定と繁栄を享受できる秩序の構築」という欲——これこそが日本の掲げるべき国家目標です。
強欲に導かれる世界において、力と力のぶつかり合いに加担するのではなく、外交・対話・共存の論理を世界に発信し続ける——それが戦後80年、平和憲法のもとで歩んできた日本の役割であり、私が政治の場で追い求めてきた道です。中道改革連合は、この原点に立ち返ることを改めて訴えます。
弱肉強食の世界に抗い、「もう一つの欲」を日本が示す——それが今、求められています。
The post 「強欲の世界」で日本はどう生き残るか! first appeared on 馬淵澄夫(まぶちすみお)奈良県第1区 前衆議院議員.
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