
2月5日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、ゲストに社会調査支援機構チキラボ所長荻上チキ氏をお迎えし、投票行動に関する分析を解説!独自データによって導かれたファクトチェックの「逆効果」、とそれを乗り越えるためのヒントとは?
荻上氏:去年はたくさんのファクトチェックが出まして、結果的にファクトチェックって何の意味があったのかという検証も必要だと思うんです。とりわけ参政党が外国人に関わる流言とかデマを多く流したということは、もう言いきれると思うので、その辺りについてのファクトチェックのみを今回抽出しました。そうしますと、参政党支持者は、実はそうではない人と比べてファクトチェックにより多く触れてます。
MC鈴木:あぁ、そうなんですね。
荻上氏:ファクトチェックは「参政党に届かない」ではなくて、「参政党支持者ほどファクトチェックに触れている」というのが、先の参院選、それから都議選以降の情報接触状況でした。下の、例えば「分からない・覚えてない」っていう方は参政党支持者では少ない状況にあり、一方で他の項目などで見たら、参政党支持者の方が触れてるという状況があったりするわけですね。

MC鈴木:それぞれの項目、「ファクトチェックに触れたかどうか」で答えてるグラフなんですね。だから基本的に上の方は全部オレンジ(都議選での参政党投票者)の方が青(東京都有権者全体)より長くなっているのは、参政党支持者の方が有権者全体よりも少し触れてるという、こういう結果ってことですね。
荻上氏:そうですね。なので、「フェイクにも触れたけれどもファクトにも触れている」というのが参政党支持者であり、半数以上の方々は何かしらのファクトチェックには選挙期間中触れたよということなので、半数近くにファクトチェックが届いてるっていうのは、結構な影響力ということになって。
MC鈴木:ただ、届いてはいるけども、それによって投票行動が変わっているか。例えば、その参政党に関するデマが仮に多かったとして、それは支持者の方にはむしろ有権者全体よりは触れてはいるけども、結局参政党支持は変わってないわけじゃないですか。
荻上氏:変わってないです。
MC鈴木:だからファクトチェックはあんまり投票には影響を与えてないですかね?
荻上氏:ファクトチェックには、私あえて「触れる」って言ったんですけど、「触れる」のと「ファクトチェックに対してしっかりと意見を変える」とか「ファクトチェックについて検証する」っていうのは、また別の作業であると。そのデータもいくつか見ていきたいと思います。

荻上氏:まず、そもそもファクトチェックにどこで触れたかということで言うと、結構「民放テレビでのファクトチェック」に触れた人が、有権者全体(東京都のサンプル)で3分の1ぐらいがテレビ経由で触れていて。その他のメディアで触れたっていう方も1割、2割ぐらいいらっしゃったりするわけですね。
参政党に投票した人とそうじゃない人を比べると、参政党に投票した人は「YouTubeで触れた」という人が3分の1で。一般の有権者ですと15%程度なので、倍近くの差があるわけですね。なので、参政党投票者の方もYouTube経由でファクトチェックに触れたという方が相応にいるので、そこまで届いたんだなというようなことはわかる。
MC鈴木:うん、なるほど。
荻上氏:ただしなんですが、ファクトチェックに接触した後の「行動や判断」というのが異なりまして。

荻上氏:はい。都民全体で見ると、「元の情報が正しいと思い込んでいたから、考えを改めなくちゃ」、つまりファクトチェックに触れて「やばい」って思ったっていう人が、大体3分の1ぐらいだったということになります。「強く思った」「ややそう思った」を合わせて。
ところが、参政党に投票した人は、その割合がちょっと下がるということになるので、参政党の情報をファクトチェックしたとしても、参政党支持者にはちょっと届きにくくなるっていう。スピードが落ちるというか、ブレーキが踏まれるというのが見えてきますね。
続いてのグラフなんですが、むしろ「ファクトチェックの内容の方が間違っていると思った」と答える割合は参政党支持者で増えて、大体半数近く。ファクトチェックには確かに触れた。でも「その内容は間違っていると思う」と判断される方は多くいらっしゃった。

MC鈴木:これ、かなり有意な差ですね。
荻上氏:そうですね。加えてですけれども、「ファクトチェックは正しいかもしれないが、自分の実感とは異なり考えを改める必要はないと思った」っていう。この聞き方を工夫してみたんですが、「ファクトチェックが間違っている」じゃなくて「正しいとは思う」と。ただし「それを信じない」ということなので。ファクトはどうかともかく、つまり認知はどうかは別として、「自分の信念は変えない」ような方というのがそれ相応にいて、参政党支持者の方はその傾向がより顕著であったということが見て取れるわけですね。

MC鈴木:面白いですね。これは多分、私見たことないですね。このデータ初めて見ました、こういう調査は。
荻上氏:そうですね。私、流言の研究もしてるんですけれども。流言というのは、もちろんそのファクトチェックとか訂正情報を流してそれに触れるということもとても重要なんですが、訂正情報に触れることによって逆に元々の流言を強化するという「バックファイア効果」とされるものや、流言自体は訂正されるけれども感情は残る、「信念の残響」という現象があるんですね。
「信念の残響」は、多くの人が経験したことあると思うんですけど。特定の政治家についてのデマが流れました。それについてTwitter(現・X)とかで「こんなことを言う政治家には投票しない!」って投稿しちゃいました。その後、それがデマだっていう風に訂正されました。その時、「あ、ごめんごめん。やっぱり投票します」ってなるかというと、なかなかそうはならない。
MC鈴木:うん。これってやっぱり人間、誰しもある種、一貫性というか、自分の過去の行いを一つ正当化したいみたいな思いがあるんですかね。
荻上氏:それもあると思います。一貫性の原理というものもあると思いますし、加えてそういう際にどのように自分を肯定するかというと、自分がデマを流したことを批判するというよりは、「疑われるような政治家もまずいよね」とか「李下に冠を正さないといけないよね」っていう格好で、政治家の振る舞いの方について触れる。
例えば私、昔いくつかの政治家の方のデマ検証したんですけど、辻元清美さんが期間中に自衛隊反対のビラを配っていたっていう有名なデマがありました。配られたビラを私全部見て、そんなことは書いていないと検証しました。そうすると、辻元さんに対して批判していた人は、でもやっぱり辻元さんが嫌いだし、自衛隊反対とか元々言ってた気がするし、「そうしたようなこと言われてもおかしくない普段の言動でしょ」みたいな格好で、認知は修正しても信念はやっぱり変えないということがあったりする。
自民党の方に関する言説を検証しても、維新や他の政党についても検証しても、やっぱり同じような「信念の残響」というのは残るので。それは今回の様々なフェイクニュースのファクトチェックでも同じことが言えるかなと思いますね。
MC鈴木:投票行動にもいろんなアプローチがあると思ってて、自分と政治的な考えが近い人を選ぶというのが一つの基準だとすれば、それにおいても「信念」という表現になるのは、これ結構面白いギャップですね。
荻上氏:そうですね。例えば保守・中道・リベラルという感覚や理念というものは、一見すると古びていて現状の政治を分析しきれない大雑把な尺度であるという批判があって、それは確かにそのとおりであると。つまり、現実政治はもっと緩やかにいろいろな概念がつながっているので保守かリベラルかだけで語ることはできない。しかし、多くの人たちはそれ相応に中道・保守・リベラルっていう自分の立ち位置は若干意識はしていて、そうした信念というのは、簡単に一つの情報で揺らぐわけではない。
MC鈴木:うん、なるほど。
荻上氏:簡単に一つのツイートを見てフェミニストになるとか、簡単に一つの情報を見て例えば公明党に入れるようになるとか、そうではない。緩やかな情報の接触と芯となる信念のようなものがあって、信念と異なる投票に(選挙期間の)2週間で変わるっていうことはなかなか考えづらいので、情報と信念の絡みというものを普段から分析することが必要になりますね。
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