
5月8日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、防衛ジャーナリスト・半田滋氏をお迎え!戦後の安全保障の根幹であった「専守防衛」の変質についてインタビューを行いました。政府の攻撃能力強化の方針と、人手不足に追われる現場の自衛隊の感覚のズレや、国家情報局設立に対する違和感や危機感について、30年の取材実績を持つ半田氏が鋭く解き明かします。
MC伊藤:実際、もちろん戦争には誰も行きたくない。しかし国を守らなければならない、という議論が進んできました。半田さんがこの30年間で変わってきた意識を見てみた時、それは戦争を知らない世代が増えたからなのか、それとも現実的な安全保障のためなのか、ざっくり全体感としてどういう印象をお持ちですか?
半田氏:そうですね。かつては(自衛隊の)海外派遣こそありましたが、それも国連の旗の下であったり、徐々に日本の独自判断へとステップアップしていった。それでも常に「憲法の枠内」で日本を守るんだという大前提があったわけです。 もし日本だけの力で守るのに力不足であれば、日米安保条約に基づいてアメリカの力も借りましょうと。これで話が成り立っていました。

半田氏:ところが、安倍(晋三)政権が出てきて、アメリカを守るために「存立危機事態」の認定があれば、(集団的自衛権として)武力行使ができますと変えてしまった。さらにその後、岸田(文雄)首相が出てきて安保三文書を改定し、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」も必要とあればやるんだと言い出しました。 そのために、たくさんのミサイルを海外から輸入したり国産で発注したりしなきゃいけないから、これまで防衛費の目安を対GDP比「概ね1%」としてきたものを、「2%」へ倍増させることになったわけです。
こうなってくると、曲がりなりにも憲法の枠内で「海外で武力行使はしない」「節度ある防衛力」を維持してきた、その“タガ”が外れちゃっているわけですよ。つまり、条件次第では海外での武力行使もありだし、場合によっては守るだけじゃなくてこちらから攻撃もするぞと。そのために、国防にお金をどんどん注ぎ込むんだということで、防衛費が膨れ上がっているわけですよね。
実際に、4月1日から法人税が4%上がったし、タバコ税も上がっていますよね。さらに来年の1月からは、我々すべての納税者に関係のある所得税が1%上がることが決まっています。 このように、防衛費が上がることで我々国民がこの負担を背負うわけですが、それが本当に必要なものであればみんな納得するんだろうけれど、政府によるそこの説明が欠けているような気がしますね。
MC伊藤:まだ不十分だと。
半田氏:例えば岸田さんが敵基地(攻撃能力)の保有やGDP比2%への増額を決めたのは、2022年の12月なんです。この年の2月にロシアによるウクライナ侵攻があったでしょう。 「よもやない」と思っていた大国による侵略戦争が現実の地政学リスクとして目の前で起きた。それで「次は日本だ」「中国だ、台湾有事だ」ということが、政治家やメディアからまことしやかに言われたわけです。この時の世論調査で、危機感を持った多くの人が「防衛力強化に賛成だ」と手を挙げたものだから、岸田さんとしては非常にやりやすくなったという背景があります。
MC伊藤:その状態のまま、現在も続いているわけですね。アメリカの動きなど、実質的に攻撃が進んで。
半田氏:さっきも少し話しましたが、日本が他国から攻められた時に「守りの戦い」をするのが日本の安全保障政策の基本で、どうしても力が足りない時はアメリカに応援してもらうという仕組みでした。 だけど今、それを本当に期待していいんだろうかと。アメリカという国が、これからも世界の中で国際法や条約をきっちり守って日本防衛を果たしてくれるのか、あるいは他国で違法な戦争をしない国であり続けられるだろうかというと、今の情勢を見ても大きな疑問符がついちゃうわけですよね。
MC伊藤:アメリカと一緒でいいのかという問題もありますよね。現場の自衛隊の方々、国を守る当事者たちの意見としては、何か変化の声はあるんですか?
半田氏:僕、ちょっとまゆつばで聞いているんですが、今、実際に現役の自衛隊の皆さんに聞こうとしても、厳しい「かん口令」が敷かれていて一切言わないんですよ。 ただ、他のテレビ番組などで元将官クラスの方々と一緒になって話をすると、みなさん政府の公式見解と全く同じことを喋るんですよね。「守りだけでは足りないから、攻撃のための反撃能力も必要です」と一様におっしゃる。けれど、私は「本当ですか?」と言いたくなるわけです。なぜなら、現在の自衛隊は深刻な「隊員不足」に直面していて、過去にないぐらい人が不足しているという現実があるからです。(中略)人が減っているのに、役割が増えていく。こうすると、慢性的な過重労働になります。自衛隊というのは、基本的に残業手当がありませんから。

(中略)
MC伊藤: もう一つ、秘密保護法の運用拡大やインテリジェンス機能の強化が必要として、「国家情報局」の設立が目指されていて。(政府は)国家機密の漏洩を防ぐために特定秘密保護法を作り、民間にも秘密を守るように(経済安全保障セキュリティの機密保持を)しようとしている。そして「国家情報局」という機関も作ろうとしている。全体的に情報統制をちゃんとやろうという狙いがあると思うのですが、なんかチグハグな印象も受けまして。
半田氏:そうなんだよね。僕もこれ、なんか屋上屋を重ねているんじゃないかなと思う。 というのも、安倍政権の時に「安全保障の戦略を議論するんだ」と言って、すでに「国家安全保障会議(NSC)」を作ったわけ。これには「九大臣会合」と「四大臣会合」の2つがあって、普段の四大臣会合は総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣の4人で安全保障の最高意思決定を議論しているのね。これ、ほぼ毎週行われているのね。九大臣の方はもっと幅広く、警察庁長官や財務大臣が入ってくる。そういう合議体はもうあるわけ。この合議体を支えるための事務方として、すでに「国家安全保障局(NSS)」というものがある。この局長には、初代の谷内正太郎さん(外務省出身)や、外務省、警察庁出身の北村滋さんといった人が就いてきた。 ここでは当然ながら、各省庁から上がってくる情報を一元的に扱っているわけでしょう。安全保障の事柄を議論するのに、情報なしで判断するなんてことはあり得ないわけだから。情報がなければ議論の立ち上がりすらできない。それくらい情報は大切。半田氏:なのに今回、内閣情報調査室(内調)を潰して、わざわざ新しく「国家情報局」を作るというでしょう。しかも、その上に「国家情報会議」という、さっき話した国家安全保障会議(NSC)と同等の横並びの最高会議を作ります、その事務方に国家情報局を置きますと言う。 そうすると、「国家安全保障会議」のほうは情報を含む防衛・外交の諸々を全部やりますよと。新設する「国家情報局」のほうは、そのうちの情報だけを専門にやりますよ、となる。そしたら、そんな組織はいらないでしょ、国家安全保障会議の枠組みの中で一緒にやればいいじゃないかと。よくわからないわけだよ。おそらく縄張り争いが起きるはず。

MC伊藤:現在の国家情報局の成り立ちの(政府の)説明としては、各省庁に分散している情報を統合するための組織だ、としていますね。
半田氏:例えば外務省・防衛省・警察庁など各省庁が情報を持っていて、縦割りだから横の連携がさせられていないからダメだよねっていうのは、本来そうじゃないわけだよ。情報はすべて国家安全保障会議に集約されなければいけないはずなんだから。 しかも、既存の「国家安全保障局(NSS)」にはプロパーの職員なんていなくて、さっき言ったように全員が各省庁から来た人で作っているのよ。
MC伊藤:合議体ですもんね。
半田氏:だから同じような相似系の「二卵性双生児」のようなものができるイメージ。これは一体何なんだと。僕はこれは違うと思ってるわけ。つまり、これは実は「対外情報庁」という日本版CIAを上部の国家機関として作っていくための、手足になるんだと。そう理解すれば、早いと思うんだよ。でも、なぜ今まで日本に対外情報機関がなかったかといえば、さっき話してきたように、日本は海外で戦争をする必要がないでしょと。だから必要がなかった。また治安維持法みたいにね、小さく生んで大きく育てすぎた経験があるから、やめましょうと。 でもそれを、またもう一回やるわけ?そこがどうも腑に落ちない。憲法も何も変わっていないのに、あたかも戦争の準備のようなやり方をするのはいかがなものかと思うよね。
この詳細は、ぜひ動画本編でご確認ください!
選挙ドットコムちゃんねる、ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!
6/18告示・7/5投票の滋賀県知事選挙!
あなたと考えの近い候補者をたった3分で診断
【有権者の心に響く第一印象を。選挙ドットコムで、あなたの情報を掲載しませんか?】
選挙ドットコムの政治家情報ページには、顔写真やSNSアカウントへのリンクなどを完全無料で掲載いただけます。
有権者の皆さまにとって、こうした情報は候補者一人ひとりを知るための大切な第一歩になります。
ぜひ、あなたのページを充実させて、有権者の皆さまとの距離をぐっと縮めてみませんか?
情報掲載をご希望の際は、こちらのフォームよりお送りください。皆さまからの情報をお待ちしております!
※申請は「政治家・候補者本人」または「政治家・候補者本人から承諾を得ている方」に限ります。承諾がない場合は掲載できませんこと、予めご了承ください。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします