
2026年6月10日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、最終国会の目玉となっている議員定数削減をめぐる議論の最新動向をMCの産経新聞編集長・水内茂幸記者と政治ジャーナリストの今野忍記者の記者コンビが解説します!
MC水内記者:衆院議員の定数削減の議論がホットになってきてるかなと思うわけです。よく日本維新の会の吉村(洋文)代表がこれはもう自民と維新の連立のセンターピンだという話をしているから。ただ、衆議院選挙の前までは、最初、公明党なんかともすごく話し合ってですね。これ実は萩生田(光一)さんなんかも関わっていたと思うんですけども。

今野記者:衆議院の定数465を1割削減する話なので、小選挙区25比例20で合計45(削減の方針)になりました。
MC水内記者:ところが、やっぱり維新とすれば比例45を削る方が分かりやすいって話をずっとしていました。衆議院選挙で(与党が)勝った後、この前高市さんが自民党の鈴木(俊一)幹事長に対して、比例45カットの話を進めろと、この時には比例代表45に重きを置くような指示を1回出しましたよね。そんな話が出てきていて、昨今自民党がまとめてきたのは、与野党で色々議論をして、1年経っても結論が出ない時は「比例45削減」をまとめる法案を今国会中に通すべきだ という話をしてきたんですけど、今野さん、まずこの話自体はどう思いますか?

今野記者:取材したところ、これには色々論点があります。朝日新聞に吉村代表のインタビュー記事が出ていて、元々は維新との連立合意の時の約束ですよね。身を切る改革で大阪府議会で議員定数を減らしてきた維新としては連立するにあたって、国政でも存在感を示したい。自民党の補完勢力やただの人数合わせじゃないんだと。自分たちの看板政策を実現させるんだ、それが連立の意義だ、ってことで、最初は企業・団体献金だったんです。ただ、これは絶対自民党が譲れないから、改革の弾が他にないかと言って出てきたのが議員定数削減です(この話は馬場伸幸さんが暴露しちゃったんですけど)。これを連立交渉の終盤に吉村さんが言うんですよね。センターピンです、議員定数を1割削減しましょうと。これは民主党政権も約束していたじゃないですかと。民主党政権時代に野田(佳彦)さんと安倍(晋三)さんの党首討論があったんですよ。それで掲げたんですけど、ただなかなか自民党内で固まらないし、野党も困るから進まないと。比例45は野党が絶対呑まないですよ。だって減るのは野党ですから。
MC水内記者:しかも少数政党だと、相当厳しくなりますよね。
今野記者:国民民主党や参政党と半分になっちゃうわけだから、れいわなんかゼロになっちゃうんじゃないか。呑めるわけないだろうという話です。そこで、自民党で考えたのは小選挙区も入れることです。小選挙区25と比例20を削減して同じ45でいいですよねって作った法案なんだけど、そうすると今度は小選挙区が今選挙やって自民党があれだけ勝っちゃうと小選挙区を減らせないんですよ。だって、自分の領土を失う武将がいっぱいになるから。それで話を戻すと、実は1月の解散する前に官邸で吉村さんと高市さんが会談しました。あの時に高市さんが言ってんの。これやっぱ比例じゃなきゃ無理やろ、と。それで選挙で公約にしましょうと。もう高市さんの意思なのよ。比例定数削減を維新と約束したからやりましょうねと。ただ、小選挙区20、比例の25は無理だから、もう1回比例45に戻しましょうと。比例だけなら行ってこいでできるから。ただ、これが難しいのは参院で足りないじゃん。否決されるんだよ。
MC水内記者:間違いなく否決されるでしょうね。ここで吉村さんが言っていたのが衆議院で否決された法案を衆議院に戻して3分の2の賛成を得れば再度否決された法案も「再可決」できる制度があって、それだったらオッケーですみたいな話を言ってるわけですよね。今度はこの是非が来るわけですよね。
今野記者:つまり、本来法案を衆議院と参議院で可決したら法律は成立ですよね。ただ、例外があって、衆院で可決して、参院で否決された時、もうだめ(不成立)ですか?と言ったら、いや違うんです。参院で否決されても衆院に戻して、衆院で3分の2で再可決したら、それは(一度)否決してても法案は成立すんですよね。
MC水内記者:衆議院と参議院でそれぞれあの多数派が違う「ねじれ国会」というのがあって、昔は「ガソリン国会」とかなんか色々あった。今はもうなくなっちゃったけど、暫定税率を維持するかどうかとかを巡って、参院で否決されたとか、(議員が)ハチマキを巻いて「ガソリン値下げ隊」を結成して止めてやるってすごい大乱闘みたいな、衆院の議員運営委員長室を封鎖したりとかね。
今野記者:あれだけ自民党政権時代にやれって言ってさ、自分たちが政権取ったらやっぱやりません。 あれすごいよね。
MC水内記者:確かにね。入口を封鎖して籠城している議員に出てきなさいとか結構言いながらやってててたね。
今野記者:そう。あれだけ言っててやらないのにあの岡田(克也)さんと安住(淳)さんの厚顔無恥ぶりがすごいよね。
MC水内記者:あの時に参院で否決された法案を衆院に戻して再可決をしたことがあったりしたわけですよ。これをやってもいいんだ、みたいなことを吉村さんが言ったわけですよ。 客観的なことを言うとね、これまで国会には不文律があって、こういう選挙制度みたいなものは民主主義の根幹のルールなので、ある程度の会派が合意したものでないと、要するにある勢力が強い時にその勢いのままで好きなように選挙制度をいじると結果的に強いままバンバンいっちゃうじゃないかと、 一応与野党の合意を不文律みたいな感じでやってきた部分があるわけですけども、ただ、多分この前の衆院の定数1割削減っていうのは自民と維新の公約にも入れていて、あれだけ大勝したんだからこれは制度でドーンとやるんだっていうのが多分維新の考えだと思います。高市さんがどう受け取るかは分からないですけれどもね、この二つの見方があって難しいんです。

今野記者:だから、吉村さんは優秀な方でめちゃくちゃ頭もいいけど、国会のそういう歴史や3分の2を使う時にどれぐらい大変かっていうことを知らないと思いますよ。当然、衆議院のことだからで衆議院で決めればいいっていう理屈は通る。弁護士さんらしいよね。理屈としてはその通りなんだけど、実際それを国会でやろうとすればものすごいハレーションが起きるから、なかなか僕は難しいと思う。あと、これを忘れちゃいけないのは衆院で可決して参院で否決されたら戻してすぐできるって言ったじゃん。これはすぐじゃないんですよ。衆院から参院に送って60日間は猶予期間があるんですよ。だから参院の野党側からみれば衆に戻したら、自民党だけで3分の2もありやがるから負けちゃうな、どうしよう、そうだ 60日間寝かしとこうとなる。
MC水内記者:寝かしといた時に「みなし否決」ってありますよね。
今野記者:そう、議決しない。でもみなし否決は2カ月じゃないですか。今国会は7月17日までですね。8月のお盆まで会期延長しないと、60日間は寝かせられないんですよ。60日がタイムリミットなんですが、60日過ぎても野党がサボタージュしてて議決しないんだったら、もうみなし否決、もう否決されたと見なして衆院に戻して3分の2で再可決をやるってことです。これを使うには60日間寝かされたらおしまいなんですよ。で、自民党の萩生田さんはなんて言ってるか、出すまでが約束だって言ってですよ。
MC水内記者:なるほどね。なるほどですね。
今野記者:これが大人の決着点です。連立合意文書には、出して「成立を目指す」って書いてあるの。提出するまでは与党の力でできるじゃん。 提出して「成立を目指す」なんだよ。なぜなら、それは萩生田さんに限らず、連立合意を作る時の人たちもそんなバカじゃないからね。議員定数だから、決めるのは国会です。さすがに高市さんが支持率60%あって、人気の総理でも議員定数削減って国会のことは国会で決めるというルールがあって無理だと分かっていたからそう書いたんですよ。だから僕は時間切れじゃないかなと思う。これをやるとしたら、国民民主党との関係が全くダメになるだろうし、高市政権もかなりダメージを食らうと考えたのではないか。

MC水内記者:うん。なるほどですね。このためだけに会期を延ばしてやるとなると批判も出るでしょうしね。
今野記者:そのとおり。維新との約束のためにここまでやるのかと、維新はみんな感動するかもしれないけど、国民を含めてどこまでついてくるかはかなり厳しいと思います。
MC水内記者:維新の意見も代弁すると、1割削減とずっと言ってるけど、結局できなかったやん。去年の臨時国会だってやると言っていたのに結局最後の最後にできなかった。今回だって今までずっと議論してもやっぱりできなかった。小選挙区だと削減する選挙区の選定などに時間もかかるから、一番端的に我々が身を切りましたっていう方向を国民に示すためにはこれしかないんだ。ましてや、選挙でこういう風にしたんだから、これが世の中の人の声だっていうのが維新の意見ではあります。けれども、もう一歩言うと、自民党の中にも自民と維新の横綱相撲でうっちゃるのもマズイんじゃないかっていう人たちもいることはいる。加えて言うと、維新の人たちからするとね、そんなこと言っても自民党はこの前の衆議院選挙の公約に自民党の中でも立ち上げたんだから公約違反になるんだ。そういう人は自民党を離党して批判活動をしろという人たちがいたりするんですよね。まあでもこれ難しいな。
今野記者:まだだから可能性ゼロではないけど、成立まで行く確率は今のところ30%~40%じゃないかな。確かにね。あとは、総理と吉村さんの本気度というかね。あと、吉村さんが難しいのはあともう 1個「副首都法案」があるから。議員定数削減と副首都法案のどっちを優先するのかって結構、自民党内にも反発多いから。副首都法案のあり方はいいんだけど、大阪都構想が混ざっているところ。
MC水内記者:都構想の投票を大阪府全体で投票させるのがおかしいでしょ、という反発ですね。
今野記者:自民党の松川るい大阪府連会長とかが、こんなの憲法違反ですよと言ってるから。どっちも結構厳しくて、でも、どっちを取るかって言ったら、維新は副首都を優先すると僕は思うんですよね。 定数削減をセンターピンと言ってるけど、副首都は明確なリミットがあるから。来年4 月の統一地方選で知事選・市長選・大阪府議選・市議選と一緒に都構想の住民投票をやりたいと言っているから。そうすると、この法案に関しては必ず今国会中に通さないと多分間に合わないと思うんですよね。
MC水内記者:吉村代表も国政来るのかなと思っていたら、彼自身がそのために続投するんだと言っている。
今野記者:もう補正予算も本予算の審議も終わり、残り1カ月の終盤国会でこの二つは最後の見どころですよね。
この詳細は、ぜひ動画本編でご確認ください!
選挙ドットコムちゃんねる、ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!
【有権者の心に響く第一印象を。選挙ドットコムで、あなたの情報を掲載しませんか?】
選挙ドットコムの政治家情報ページには、顔写真やSNSアカウントへのリンクなどを完全無料で掲載いただけます。
有権者の皆さまにとって、こうした情報は候補者一人ひとりを知るための大切な第一歩になります。
ぜひ、あなたのページを充実させて、有権者の皆さまとの距離をぐっと縮めてみませんか?
情報掲載をご希望の際は、こちらのフォームよりお送りください。皆さまからの情報をお待ちしております!
※申請は「政治家・候補者本人」または「政治家・候補者本人から承諾を得ている方」に限ります。承諾がない場合は掲載できませんこと、予めご了承ください。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします