選挙ドットコム

時代は変わった?武器輸出5類型撤廃の狙いと賛否拮抗する世論を政治記者がダブル解説【産経×毎日】

2026/4/23

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコム編集部

日本の安全保障の「大転換」かーー4月22日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、高市政権が4月21日に「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定し、殺傷能力のある武器の輸出解禁に踏み切ったニュースを取り上げました。この政策の背景にある日本を取り巻く安全保障の環境や世論の変化について、MCの産経新聞編集長・水内茂幸記者と毎日新聞・田中裕之記者がそれそれの視点で紐解きます。

MC水内記者: 今日はもう1個テーマがあり、武器輸出の件です。「武器輸出三原則」に基づく5類型というものを今回撤廃する方針を決めたというニュースがありますよね。

この5類型というのは、日本の憲法、平和主義に基づいて、これまで武器を海外に輸出する時に厳しい条件をつけていたものです。大雑把に言うと、これまでは「殺傷能力のある武器は輸出しない」という感じだったわけですけれども、これをもう撤廃したということなんですよね。

このニュースについて、ひょっとしたら産経新聞と毎日新聞では立場が違うのかもしれないけれども、僕の方から言うと、これはすごく意味があることなんです。国会の中では野党の人たちが「平和国家の歩みをおろそかにするのではないか」と言ったり、地方紙に掲載されていた記事も「平和国家への道を大転換」という趣旨でした。僕は、これは逆に日本をより安全にするためのものだと思うわけですよ。

意味合いは2つあります。一つは、日本がつくったものを使ってくれる、使うことになったら大変なことかもしれないけれど、使う前から常備しているとメンテナンスも必要になる。そのメンテナンスで日本の製品を使って、いざとなったら同じものを使っているので共同で防衛にも対処できるかもしれない。東アジアで対中国を考えた時、同じ価値観を持ってて同じ装備で対処できる仲間が増えることは、抑止力を高める意味で非常に大事です。面として防衛のパートナーが増えることで、野心を持つ国が手を出しづらくなれば、結果的に平和につながる。

もう一つは、自前で武器を作れるのは日本の防衛産業を育てるという意味でも大事です。ある防衛産業の方々と話をすると、皆さん赤字覚悟で日本の防衛のために技術を維持してきた。供給先が細ければ商売として成り立たなくなります。輸出というツールができることは、いざという時の自国での生産能力維持にも直結する。究極のかたちでいうと、現在進行している日本、イタリア、イギリスによる戦闘機の共同開発のようなフレームが標準的になれば日本にとっても安全が広がる部分があると考えています。「死の商人」などと批判するのは一時期から考えが止まっているように思うのですが、田中さんはどう思われますか?

田中記者: 今、水内さんがおっしゃった二つの目的、「地域の抑止力を高めること」と「国内防衛産業の維持」、この大きな目的については僕も大賛成です。それは必要なことだと思います。

僕の考えと社論がいつも一致するとは限らないという前提で私見を述べると、世論がどう受け止めるかという点では賛否が拮抗しているんですよね。3月、4月の日経新聞と読売新聞の世論調査を見ると、読売さんで賛成40%・反対49%、日経さんでも容認する44%・容認しない48%。朝日新聞さんも聞いてるんですが、これは反対が強く出やすい質問の仕方をしていて、賛成25%、反対67%と、少し開きがあります。ただ、読売と日経の結果をみると、賛否は拮抗しつつも慎重意見もでてきているかなと受け止めています。

これはどういうことかと考えた時に、興味深い国会質疑がありました。3月17日の参院予算委員会で、公明党の西田実仁幹事長が高市早苗総理に質問した際、1976年に武器輸出を全面禁輸した三木武夫内閣の宮沢喜一外務大臣の答弁を引用したんです。これは、当時は供給する側の国は罪悪感を伴っていない。そこへ日本が入っていくかは慎重に、消極的に考えるべきで、我が国は兵器の輸出で金を稼ぐほど落ちぶれていないという趣旨の答弁でした。公明の西田さんがこの答弁を引用してどう感じますかと聞いたのに対し、高市総理は「時代が変わったと感じる」と答弁しました。1976年に当時の宮沢外相は落ちぶれていないと言っていたけれど、2026年は違う、産業につなぎ、お金を稼ぐことが不純なことだとは思いませんと。

じゃあ時代が変わったとはどういうことかというと、50年前の日本国民は罪悪感が強かったんでしょう。しかし、今の世論調査では賛否が拮抗してきていて、罪悪感の部分やあるいは武器輸出した国が紛争に巻き込まれることへの不安みたいな感情が薄まってきているという意味だと考えています。

これは安全保障政策で賛否が割れる時の典型例だと思いますが、合理的・論理的に考えて抑止力が確保できる日本の安全、ひいては平和につながるという現実的平和主義みたいなものと、一方でそこにまだ気持ちが追いつかない、または紛争に巻き込まれてかえって平和じゃなくなるんじゃないかという見方をする。これは典型的です。

MC水内記者: 防衛系の超重鎮の方は、現実的平和主義か空想的平和主義かと良く言っています。その空想的平和主義だと、防衛できないと思う人が特に今回の衆院選で高市さんを勝たせた50以下の武闘派保守的な人たち、50代以下はリアルに色んな危機を感じる時代になっているのかと思います。確かに、宮澤答弁を紐解けば日本が殺し合うための道具をやる罪悪感はないのかと。

田中記者:当時はまだ生々しいでしょうね。戦後の空気もあったと思います。

MC水内記者:僕がもし答弁する立場なら、脅威を感じている・接している国をブロックするために日本として、平和を守るために出すんだという感じで答えるかもしれませんね。

田中記者:そうですね。集団的自衛権の限定行使を容認した時の法律の名前に、政府は平和につながることを強調したいから「平和」をつけて「平和安全法制」という名前にしましたからね。

MC水内記者:今は守るということをリアルに考えていくことが大事だと思います。社民党の福島瑞穂さんは参議院の外交防衛委員会で防衛産業に対して基金から何百億円出していることに対して、なぜ儲かっている軍事産業にこれだけ投入するのか、それなら赤字の国立病院を救えという議論をされていますが、次元が違う話ではないかと僕は思うんです。この議論から踏み出さないと、多数の支持は得られない時代になっていると思います。

田中記者:まず安全保障と社会保障の議論は切り離さないといけないですし、「死の商人」的な言い方は響かないと思います。防衛産業の方にも失礼にあたります。

MC水内記者:そうなんですよ。防衛産業は決して儲かっていなくて、むしろ設備投資や維持に多額のコストがかかり、継続的な事業がなければ大赤字になります。

田中記者:ちょうどゴールデンウィークには、高市総理や小泉進次郎さんが東南アジアを訪問してトップセールスを行うという話もあります。

MC水内記者:フィリピンなどはまさに対中国の最前線です。日本が装備を提供し、対中国の抑止力という意味では防波堤になります。中国と戦争をさせるためではなく「手を出させないため」が大きいです。そこを考えてもらいたいです。

田中記者:「抑止力」を高めておく一方で、「外交努力」で紛争を起こさせないようにする、この両輪ですよね。

MC水内記者:そういうところが大事だと思います。

動画本編はこちら!

この詳細は、ぜひ動画本編でご確認ください!

選挙ドットコムちゃんねる、ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!


有権者の心に響く第一印象を。選挙ドットコムで、あなたの情報を掲載しませんか?

選挙ドットコムの政治家情報ページには、顔写真やSNSアカウントへのリンクなどを完全無料で掲載いただけます。

有権者の皆さまにとって、こうした情報は候補者一人ひとりを知るための大切な第一歩になります。

ぜひ、あなたのページを充実させて、有権者の皆さまとの距離をぐっと縮めてみませんか?

情報掲載をご希望の際は、こちらのフォームよりお送りください。皆さまからの情報をお待ちしております!
※申請は「政治家・候補者本人」または「政治家・候補者本人から承諾を得ている方」に限ります。承諾がない場合は掲載できませんこと、予めご了承ください。


政治家限定!
選挙の最新情報をLINEで配信中友だち追加

この記事をシェアする

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコム編集部

2023年に年間1億PVを突破した国内最大級の政治・選挙ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営しています。元地方議員、元選挙プランナー、大手メディアのニュースサイト制作・編集、地方選挙に関する専門紙記者など様々な経験を持つ『選挙好き』な変わった人々が、『選挙をもっとオモシロク』を合言葉に、選挙や政治家に関連するニュース、コラム、インタビューなど、様々なコンテンツを発信していきます。

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

採用情報

記事ランキング

ホーム記事・コラム時代は変わった?武器輸出5類型撤廃の狙いと賛否拮抗する世論を政治記者がダブル解説【産経×毎日】

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode