
2月4日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、
日本ファクトチェックセンター編集長 古田大輔氏(以下、古田氏): 僕はファクトチェックセンターを立ち上げる前からずっと言っているんですが、ファクトチェックだけで今の(偽情報の)問題が解決するほど甘くはありません。そもそもファクトチェックというのは、あえて対象を限定的にしているんです。
厳格なルールを作って、それに則って検証する。全ての出典を明記することで、もし視聴者が疑問を持ったら自分で出典を確認できるようにする。これが、メディアの情報発信に対する批判への一つの答えです。
基本的に、嘘は1秒でつけますが、僕らがそれを検証しようと思ったら、証拠を揃えて論理的な文章を書くのに数時間はかかります。だから、ファクトチェックだけで物事を解決しようなんて、はっきり言ってバカげているんですよ。絶対に不可能です。

古田氏: 僕が訴え続けているのは、「実例」を積み上げることの重要性です。ファクトチェックを通じて、今どんな情報がなぜ拡散し、人々がそれを受け入れているのか、どういう手法を使えば検証できるのかという「ノウハウ」を溜める。それをメディアリテラシー教育として提供していくことが2つの活動の柱です。
また、テクノロジーの議論にも実例は不可欠です。今、世界で評価されているイギリスの「フルファクト(Full Fact)」という団体が開発したAI検証サポートツールは、彼ら自身がファクトチェック組織だからこそ、勘所を抑えた優れたものになっています。限界はありますが、それでもやることに意義がある。それが僕の答えです。
ノンフィクションライター 石戸諭氏(以下、石戸氏): (投票マッチングが広がった)今、現役世代の投票率が少し上がり気味で、みんな政治に関心を持ち始めています。それはすごくいいことなんですが、一方で「この選挙で全てが決する」と思い込み、熱心になりすぎる危うさも感じます。
MC伊藤:政治は続いていくものですもんね。
石戸氏: この一回で、正しい情報一択で勝負しようとしなくていいんです。どうせ3年後には参院選が、4年以内には次の総選挙がやってきます。自分が判断を間違ったり、間違った情報をシェアしてしまったりしたとしても、「間違ってました、ごめんなさい」で済む話が大半です。人格否定はよくないですけど。政治は身近なものですが、少し距離を置いて「熱心になりすぎない」ことこそが、最大の対策だと僕は思います。
(中略)
古田氏: 全体状況を理解するには、やはり普段からニュースに触れて調べておく必要があると思うんです。難しいことですけど。
石戸氏: まあそれは、無理です。僕らでも。(中略)古田さんの言うことを要約すると「勉強してから投票しろ」になる懸念がある。

石戸氏:でも、そもそも投票制度というのは本来、調べなくてもみんな平等に1票を持って気軽に行けるように、ハードルを低く設定しているものなんです。もちろん調べていくのが理想ですけど、調べ始めれば限界なんてないし、そのために研究者がいるんだから。
そこまで一生懸命になる必要はないと思うし、「投票マッチングを3つくらいやってみる」とか、その程度のレベルからでいいんですよ。なんなら「やんなくてもいいよ」くらいのゆとりがないと、政治参加を遠ざけてしまう。
(中略)

石戸氏:(政策が正しかったかどうかは)また次の選挙で明らかになってくるじゃないですか。有識者は「それじゃ遅い」とか、「この一歩が破滅への道だ」なんて言いますけど、それは選挙に仕事がかかっている人たちだからそう言うでしょう。そうじゃなくて我々は有権者なんだから、成果が出るまでの数年の時間がある。(中略)気楽に入れてみて、後で「あ、間違ってたな」と思ったら次の選挙で変えればいい。そのくらいの感覚が、実はちょうどいいんです。
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