
1月10日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」は、読売新聞が報じた通常国会冒頭の衆院解散説を大特集。予算成立の日程上「1月解散はない」と見ていた政界とメディアに激震が走っています。なぜ今、冒頭解散の可能性が浮上したのか。背景には不安定な国際情勢や、政権の推進力確保を狙う高市総理の判断があると見られます。13日にも正式表明かと推測されるなか、2026年年始の「解散風」の正体を朝日新聞の今野忍記者、選挙芸人の山本期日前氏、編集長の鈴木邦和が徹底分析します。

朝日新聞 今野忍記者(以下、今野記者): 解散に関してはね、僕も朝日新聞政治部でずっと同じように騙されてきた。
2014年も菅(義偉)官房長官に解散なんかないって言われてたのに、消費増税延期なら解散も検討って読売(新聞)に出るんですよ。
選挙ドットコム編集長 鈴木邦和(以下、鈴木): セオリーは当たらないのが解散っていうのもありますよね。
今野記者:解散だけは嘘ついていいってのがあってね。
選挙芸人 山本期日前氏(以下、期日前氏):ただ、色々言ってるんですけど当たってる人いるじゃないですか。
今野記者:だから、それで僕はもう不明を恥じるしかなくて何も言い訳できないです。ただ、じゃあなんで僕を始め多くの政治記者、もしくは国民民主党の玉木(雄一郎)さんとか日本維新の会の藤田(文武)さんとか野党の代表クラスに至っても冒頭解散はないって去年の年末に言い切れてたかっていうと、やっぱり国会の召集日なんですよ。
去年の年末に、通常国会の召集日が1月23日に決まったんですよね。そうすると、23日に召集して冒頭解散して、どんなに早くても1月27日公示・2月8日投票もしくは2月3日公示・2月15日が投開票の日程が想定されている。いずれにしても、国対の関係者を取材すると予算の年度内成立が難しいとおっしゃるんですよ。予算を年度内に仕上げるっていうのは時の政権の至上命題。これはみ出ちゃうとその分暫定予算組むし、経済対策・物価高対策って言ってる中で、やはり1年間の予算が4月前に組めないと、アメリカなんかでも予算組めなくて公務員への(給与)未払いとか起きちゃったりしてるけど、基本的に年度内に予算仕上げるのに全力を尽くすのが時の政権の使命だから。
もしも1月16日の召集と去年決めてれば、ワンチャン冒頭(解散)考えてんな高市総理、と思えたんだけど、23日にされちゃうともう年度内予算はみ出すことがほぼ確定してくるから。
期日前氏:予算はどうなるんですか?
今野記者:まず、1月13日に韓国大統領の来日を奈良でお迎えします。ご本人の希望で。高市総理の地元に行きたいとおっしゃってたんで。それで13日に会見した時に表明するんじゃないと言われている。だからこの3日間は沈黙守るのかなと。 当然各社、取材は殺到してますよ。 だって、7条解散は総理の専権事項だからね。だけど、今のところ高市総理は沈黙を守ってると。そうすると、そっからイタリアのメローニ首相とか来るけど、結局国会が開かないと解散できないから、23日の冒頭で解散する。多分27(日公示)だとさすがに間に合わないだろうから、2月3日公示の方が有力なんすよ。総務省がもうお触れを出しましたよね。
期日前氏: そうです、もう準備しろと
今野記者: そうすると、2月上旬に衆院選、首相指名選挙、組閣やると、2月下旬ぐらいから予算審議でしょ。1ヶ月ぐらい予算遅れんじゃない。早くて4月中旬、下手したら4月の下旬とか
期日前氏:4月成立は特に問題ないんですか? 今までの伝統がちょっと外れるぐらいですか?
今野記者: 過去にもあったから。安倍政権の時も。野田(佳彦)さんの時、(2012年衆院選)も年末解散になって、(2013年度予算が)ちょっと遅れたはずですよ。
鈴木: 今野さんに是非お話聞いてみたいのが、まさにその高市さんが23日に国会召集の日決めたけど、もしその(冒頭)解散を少しでも選択肢に置いていたら16日より前に(召集日を設定)しておくってのが本来のやり方ですね。それを23日にして、しかし今、解散の可能性が浮上してるってことは、高市さんの中で心変わりがあったと見るべきなんですか?
今野記者: 僕はそう見てます。色々取材してても。ただ、古屋(圭司)さんとかね高市さんに近い人は年末言ってたじゃないですか、解散は総理の専権事項だから、それに向けて準備を進めてると。だって予算も国民民主党と「年収の壁」で合意して、玉木さんが予算賛成するって言ってるから、3月まではスムーズに行くわけだから。普通だったら予算を年度内に通して、すっきりさせて4月以降に解散を狙う。
期日前氏: だから、それでもう1月(解散)ないかなと思いました
今野記者: 4月以降になれば議員定数だったり予算以外の法律は、自民と維新では参院では否決されちゃうと通れないから。そうするとスパイ防止法とか外国人の土地規制の問題とか高市さんのいわゆる保守的というか右派的銘柄やってくために、そこで1回推進力つけるために解散はあるかなと思ったけど。
鈴木: 私の聞いてた情報も12月の中旬から下旬にかけて高市さんが検討はしてたと。ただ結局、下旬で1回見送ったっていう話を信頼できるところから聞いてたんですよ。だからその後に高市さんの判断を変えるような要素があって、それで結局この解散に傾いてるんじゃないかって私も見てるんですよ。そうするとその要素って何なのかなっていうのは気になってて、今野さんなんだと思います?
今野記者: というかそもそも、そうやって言ってただけでやはり念頭にはあった。要は解散だけは嘘をついていいと言われてるけど、自民党で選挙とか仕切るようなかなりのレベルの幹部でも分からないとか否定してたし、官邸でも官房長官以外のクラスだとみんな「えっ」っていう感じだったし
期日前氏:上のクラスの人たちにとってもすごい不意打ち
今野記者: 維新も吉村(洋文)さんとか普通に解散は感じてないって言ってたわけだし。もう相当、高市さん本人と数人レベルの話だったのか、もしくは年明けてこの経済が思いのほか円安が進んできたり、中国がレアアースまで止めてきて、この先ちょっと経済と外交ですよね。
韓国大統領、イタリア大統領が来るけど、3月にはトランプさんとこ行かなきゃいけないでしょ。トランプさんもニューヨークタイムズのインタビューで「国際法は俺には関係ない」って言ってみたり、台湾は習近平さんがどうするかだみたいな、俺が大統領の(時は)やんないと思うとは言ってるけど。
要は、年明け、この先イランだベネズエラだグリーンランドだと国際情勢かなり不安定化するじゃないですか。そうすると、経済や外交のことを考えても冒頭で解散して勝つことで推進力をつけておきたいという風に変わるというか、要は3月まで待って予算通した後の先行きがあまりにも不透明すぎるということで、よしいっちょやったるかと判断。元々やるつもりだったけど前倒しされたのかどうかっていう。

鈴木: 私もその説が結構有力かなと思いますね。やっぱり経済もその年末年始で結構円安とかマーケットの反応とかで割と今年不透明な状況になってるし。外交安全保障もやっぱベネズエラとか出てきて、もしかしたらこの解散を打つこと自体に国内世論で猛批判が出てくる可能性がどんどん高まってくると、もしかしたらやっぱりこのタイミングしかないと高市さんが判断を少し変えた可能性があるのかなと思いますね。
山本: 今、懸念されているポイントに関しては、2月15日までは持ちますか?そこに関しては影響出ないまま(選挙を終えられるか)?
今野記者:やってみないとわかんないですよ。ただ、今のところ野党だと立憲民主党は「政治空白」だと批判してるよね。
あと1個ちょっと気になったのが、文春の報道を受けて、旧統一教会のTM文書(トゥルーマザー特別報告)、あそこに高市総理の名前が32カ所入ってくるから。全文入手してんのは文春さんだけなんで、詳細な内容はわかんないけど。そういったのでリセットするんじゃないかっていうような批判を一部の野党の方はしてる。ただ、僕がちょっと確認すると名前があるだけで、要はすごい高市総理自身が関わってたとか関わってなかったって話ではないみたい。ただ名前が出てた。だから文春でも32カ所に名前が入ってたとしか書かれてないわけですよね。あれに続報がどんどん来週以降出てきてまずいことになる、だから先に解散してリセットだ、というそういう感じでもなさそうなんですよね
鈴木:これ今お話聞いていて、我々メディアにいる側がどうして解散の日程を読み間違えたかっていうと国会日程から来てますよと。そして、高市さんがこのタイミングで解散踏み切った理由はもしかしたら我々がさっき言ったような経済とか外交の影響大きいかもしれません、と。
で、ポイントはやっぱ読売しか先行してない点。ここも気になるんですよ。

今野記者: そうだね。
鈴木: でしかも読売の出し方は僕気になってて、読売が本当にスクープ的に出すんだったら絶対23時のネット配信じゃなくて朝刊だろうと思うんですよ。
今野記者:未だにデジタルは紙を取らないと読めないっていう「紙ファ―スト」だからね。
鈴木: それだったら他社を完全に出し抜けるじゃないですか。でもネットの23時配信って要は翌日の朝刊までに各社に取材をさせて、なんなら朝刊にその他の記事も書かせる余地を与えた出し方じゃないですか?なんかそれはなんかどっちかっていうとスクープじゃなくて観測気球を打ち上げてるように見えるんですけど、今野さんそこはどうなんですか?
今野記者: でもこれは観測気球ってわけじゃないっすよ。あんまり同業他社さんのことを言うのはあれですけど、去年読売さんは石破総理の退陣と、あの特捜部が逮捕する維新の対象を間違えて、かなり大きな誤報を2つやってる社が。2人が読売新聞の政治部長だとして観測気球であげていいですかって言われて打てます?
鈴木:いや、だからこれは間違いなく、本人から裏取ってますよね。
今野記者: そうでしょ。ガチで本人に確認したかったら書けないでしょ、怖くて。
鈴木: 僕は高市さんの立場だったら、その意向を一旦書かせて世論の反応を見て最終的に13日(発表)。世論の反発がすごかったら、いやいやそんなつもりはありませんって否定すれば良くて、ただ今のところ世論はそんなに反発がない
期日前氏:野党とか全員慌ててるから、もうこれやったらもう一番いいんじゃないか
今野記者:(10日18時時点での)状況見るとあれでしょ、毎日新聞さんだけ半追いしてんだよね
鈴木: トーンはだいぶ下がってますよね。でも、ここまで続報は出ないっていうのは、もう完全に沈黙を保ってるわけですか、総理が。
今野記者: そういうことでしょ。多分内閣記者会はぶら下がり(取材)を要請してるけど多分応じてないでしょ。この時間で(続報が)出てこないってことは。高市総理が記者のカメラ取材に応じてないんですよ。
期日前氏:解散に関して、こんなに後追いが出ないことってあるんですか?
今野記者: うーん、2014年もちょっとすぐではなかったかな。2017年は割とさっと出たけどね。あと、野田さんの時(2012年)は毎日が早くてしばらく打てなかったよ。数日後に、その民主党の大臣と俺飯食ってて「誤報だよな」つって話してたらその大臣落選しちゃったからな。
期日前氏:毎日を信じて準備しておけば……。
鈴木: 僕らもね、これ高市さんの目線から見た時に読売だけに情報を流しでそれで沈黙を保ってるってことはやっぱり意図としては一旦世論の反応を見たいっていう意図ではあるってことですよね。
今野: そうでしょうね。全部に追いかけさせてないわけでしょ、取材にも応じてないよね。
鈴木: だからそのこの2日間とか3日間で状況見て最終的にジャッジをするっていう。
今野記者: そうね。なるほど、だからまだ世論が急になんだ経済優先って言っていたのになんでこのタイミングなんだ、予算やってからじゃないのかみたいになれば、ひょっとしたら確かに検討したけど私は経済優先ですって言って(解散を)やらない可能性もなくはないけど。まあ、でもうこうやってはっきり出てきた以上ね。
期日前氏:しかもすぐ否定してないじゃないですか。ってなると、今、全国の議員がもう準備始めてるから止めらんなくなるっていう。観測気球でやったのがもう今更無理ですってのができなくなるんじゃないかと
山本: 僕ある野党の若い議員さんから「どうしましょうか」って連絡来たからとりあえず選挙事務所借りる用意とポスターとか全部準備して13日まで待てって言ったの。13日に高市総理が正式表明したら一気に動けるように秘書さんと今から話して準備だけしといたらって言っといた
期日前氏: 次の衆院戦の勝敗ラインってどこの辺りに設定されるんすかね。
今野記者: それもう高市さん決めることだけど、今よりは増えるだろ。
鈴木:基本は自民と維新で過半(数)超えなんじゃないですか。裏テーマとして、自民単独過半(数)。だって自民党の情勢調査をやったって話あるじゃないですか。でも情勢調査の結果の情報は錯綜してて、自民が単独過半超えたっていう結果もあれば、微減だったみたいな話もあって
今野記者:あれすごい違うよね
期日前氏: 自民党本部の調査っていうのは都議選の時と同じ感じなんですか?あれだって死ぬほどドーピングされた数字が出てくるじゃないですか

鈴木: 大元の調査から一体どう加工されてどう出てるかはわかんない。
今野記者:あれ数字を加工してるからあんまり当てにはならないですよね

鈴木:ただ少なくとも生のデータは高市総理のとこには行ってるはずなんで。それは解散判断に影響を与えてるはずなんですよ
今野記者: だって石破さんの時は「2000万円問題」が出て、最後に大失速してるじゃん。だからあれ(2024年衆院選)より減らすことはないじゃん。200は行くでしょ。
で、国民民主が今40ぐらい立てて、今から急いであと10~20くらい(擁立するか)。参政党はすごいね一気に立てるって言ってんでしょ
期日前氏:100は立てるって言ってます。今、約60ちょい64でプラス50
今野記者: 公明党ほとんど小選挙区立てらんないから、事実上、やっぱ自民党と立憲民主党の一騎打ち。選挙区によって、国民民主と参政党が入るか。
ただ、この状況が自民党にとってプラスなのかマイナスなのか。公明党・学会票が26年ぶりに乗らなくなると。
期日前氏:あと1個気になるのが、公明党が結構不意打ちというか、今までは最後聞いてみたいな準備する時間あったと思うんですけど、今回できてないんで今解散したらもう全小選挙区応援しないぞっていう、その維新の定数削減と同じぐらいのプレッシャーをかけてくのかどうか。
今野記者: 解散はやっぱ総理の専権事項だから、それは言えないと思いますよ
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