国会では年収の壁をめぐる議論が白熱しましたが、年収「103万円の壁」の見直しは、国民民主党が求めていた178万円への引き上げには至りませんでした。
3月7日に公開された「選挙ドットコムちゃんねる」に国民民主党の玉木雄一郎代表が出演。年収の壁をめぐる与野党の攻防の裏側について解説しました。
年収の壁は、政府案では最大で160万円まで壁が引き上がりますが、引き上げ幅が年収によって4段階に分かれるという複雑な制度です。
また、160万円までアップする人は、所得税を払っている人全体の5%未満と、極めて限られた層だけが恩恵を受ける結果になりました。
今回の政府案について玉木氏は「低所得者の対策としては一定の効果があるが、中所得者に対して恩恵が薄い」と指摘します。
特に、現役世代で一生懸命働いて税金を払っている中間層に対して、非常にメリットが薄いのが問題だと語りました。
さらに、玉木氏は「地方税」について新たな課題も指摘します。
地方税は、基礎控除と給与所得控除で大体100万円が住民税がかからない金額でした。今回、給与所得控除は10万円上がりましたが、基礎控除は据え置きとなり1円も上がっていません。
玉木氏は「年収の壁が160万ですよと話をしても、地方税は110万円。結局、103万の壁って言われたのが、110万の壁になったぐらい」と言及。
働き控えの解消を目的にしていましたが、これでは根本的な解決にはなっていないと指摘しました。
国民民主党は、賃金が上がっても税金と保険料が差し引かれ、物価高で国民の生活が苦しいため、手取りを増やすことを実現したいというのが、根本的な考えでした。
玉木氏「国民生活を今は守るということが最優先だ」
今回の政策決定のプロセスにどのような成果と課題があったのでしょうか?
玉木氏は「まずは我々の議席が少ないので力不足」と言及。年収の壁の178万円への引上げを選挙で掲げて、多くの人が期待してくれたのに実現できなかったことに率直にお詫びを申し上げなければいけないと語りました。
一方で、国民民主党の公約や政策、与党との交渉には、一定の成果があったと振り返ります。
まず、大学生の親に適用される特定扶養控除は、103万円から150万円まで上がり、約1.2兆円の減税が実現しました。
次に、防衛増税では、法人税、タバコ税、所得税の増税が検討されていました。国民民主党と所得税減税の議論もあるため、所得税の増税は見直しに。「みなさんの2000億円の税の負担が軽くなった」と玉木氏は解説します。
また、高校生の児童手当の延長に伴い、高校生の扶養控除を縮小しようという政府の方針にもストップをかけました。
玉木氏は「国民民主党によって『手取りが減る未来を回避できた』という意味では良かったけど、まだまだ不十分。かえってヘンテコな税制を作らせてしまったので、引き続きこれは見直したい」と述べました。
与党が過半数を確保するために、国民民主党と日本維新の会を天秤にかけているような場面もありました。
玉木氏は、今の時点では国民民主党よりも日本維新の会の方が議席が多いことにも触れ、「結局突き詰めると、我々の議席が少ない。力不足だということに尽きる」と反省の弁を述べました。
玉木氏は、2024年8月に選挙ドットコムに出演した際に「次の選挙の後は、どの政党も過半数取れないような状況になるかもしれない」と発言し、少数与党の可能性を示唆していました。
少数与党となった国会は、ごちゃごちゃしているように見えます。
新しいルールがまだ確立されていない過渡期の模索期であり「仕方がない」と説明し、宙づり国会の中で野党との合意形成をどうしていくのかは、これから試行錯誤の中で定まっていくだろうと語りました。
その中で、国民民主党は、1.2兆円の減税や2000億円の増税を回避するなど「国民民主党がいなければできてなかったこと」を実現。
玉木氏は「かなり兆単位の爪痕を残すことはできたかなと思う」と述べました。
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