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2024年9月28日に公開された動画のテーマは「首長輩出の新しいスキーム誕生へ!?」
大阪府四條畷市長・東修平氏。東氏が新しく作った政治団体「四條畷市民の力」が目指すのは、首長がきちんと政策を実現でき、市民が正しく首長を評価できるエコシステムです。選挙プランナーの松田馨氏をまじえ、具体的な構想をお話しいただきました。
【このトピックのポイント】
東氏のプロフィールは以下の通りです。
1988年大阪府四條畷市生まれの東氏。
京都大学を卒業し、同大学院を修了後に、外務省に入省しました。
2015年からは野村総合研究所インドにて、経営コンサルタントとして働き、市長選に挑戦をするために帰国。
2017年に、当時の全国最年少市長の28歳で四條畷市長に初当選しました。
最近では、兵庫県芦屋市の高島崚輔市長や、秋田県大館市の石田健佑市長など20代の市長が続々と誕生しています。
松田氏「東さんが当選したことで、全国的にも若い人が出ていく機運が高まったんじゃないかな」
東氏は首長を取り巻く状況の問題点に関して、3つの指摘をします。
2日目は「新人首長のノウハウの不足」から始まります。
28歳で市長になってから、他の自治体で若くして当選した首長とコミュニケーションを取る機会が多かった東氏。「経営者の本はたくさんあるが、組織マネジメントや議会との関係性構築に着目した、首長としての経営の本はほとんどない」と指摘します。
東修平氏「新人首長さんがうまく政策を実現できない、実現できても撤回せざるを得ない状況が起きている。新人首長がどういう風にしていけば思いを成し遂げていけるのか、ノウハウが不足しているというのが課題感ですね」
MC鈴木邦和も、自身の経験から、民間企業の経営と首長のマネジメントはまったく違うと指摘します。
東氏は、古今東西の歴史の本でノウハウを身につけたと語ります。ポイントは、「それぞれのリーダーが何で失敗したか」。
東氏「失敗したやり方というのには共通項がある。それをなるべく回避するやり方を考えるのが僕は重要だと思う」
「首長の仕事として実践的な本はないと感じるくらい、すごく良いことが書いてある」と例に挙げたのは、マキャベリの『君主論』。難しい政策判断をする時、優しい声かけで話しかけるのか、厳しい表情で話しかけるのか、どちらがいいかなど、具体的な事柄を理由とともに説明していることを、今の状況に合わせてピックアップする、と紹介します。
こうしたノウハウを、新人首長に伝えていくシステムはどう構築するか。
東氏は、政策は学べますが、こうしたノウハウを学べる場所がないと指摘します。
そして、自身の任期が終わるまでは市長としての仕事をしっかりしながら、立候補予定者に政治活動をやってもらう、と説明します。
東氏「民間人になってからじっくり考えようかなと思いつつ、新しく着任した方や新しく首長になった方と学び合える場を作ることが重要」
市民が得られる情報が不足しているというのが、東氏が掲げるもうひとつの問題意識です。
報道だけでは、キャッチーな話題で空気作りがあっても「首長のマネジメントによって、どうよくなったかという指標がない」と指摘する東氏。
東氏「結果として4年前に投票した人も、漠然とした基準で評価せざるを得ない。それは良くないと思いまして」
東氏は、自身の政策で市民に何ができていて何ができていないのかを知らせるため、市政報告として64ページの冊子を発行しました。
各地の選挙に関わる松田馨氏は、選挙では、人柄とか面識があるという部分で一定程度投票行動が左右されるのは仕方ないことと前置きしつつ、首長の成果のわかりづらさを説明します。
松田馨氏「市役所にはたくさん優秀な職員もいて仕組みもあるので、誰がやっても一定程度の成果が上がる。でも、そこに優れたリーダーが来て、職員や議会の理解を得て、いろいろなことが進む。そういうことを市民はご存じない」
松田氏は、地方自治の特徴である二元代表制にも言及します。
松田氏「政治家というと、国会議員をイメージする人が多い。国会は議院内閣制だが、地方は二元代表制」
二元代表制における首長の評価は、判断の軸が市民にないと厳しい。わかりやすい例では、人口がどう増えたか、税収がどう増えたかなどですが、ほかにもたくさんあります。
東氏「(評価の判断に関する)アナロジーとしては、民間企業のマネできるところもマネすればいい。統合報告書ではさまざまな財政指標を載せており、株主の判断根拠に用いている。首長は提出を求められていない」
松田氏も「失政がないということが、次を選ぶ理由になるんですよ」と力説します。
東氏は「失政がないことでいいこともあれば、緩やかに衰退しているパターンもあり、この時が危険信号」と語り、人口減少を例に説明します。
東氏「人口の減少はわかりやすい。田んぼだったところが住宅に変わって人口が増える時期をもって人口増というのか、激減しているのを、まだ減っているけれど、下がり具合をとどめたら実績になる」
東氏は、1700を超える全自治体と比較するのは難しいが、
といった分類軸のアイデアを例示し、「ある程度分類して、諸要素が似ているところと比較してどうかということを検討すれば、僕はできると考える」と説明します。
こう説明する東氏に、MC鈴木邦和も「有権者に判断する時の基準があったほうがいいと思っている」と呼応します。
松田氏は、掲げた政策が実現されたかどうかのチェックが、次の投票に反映されていない問題点を指摘します。
松田氏「政策で選ぼうというのがあるじゃないですか。どういう政策を掲げるかも大事。掲げた政策が果たして実現できるのか。財源を含め、いろいろな面で評価されるはずだが、選挙が終わると忘れてしまう」
有権者が「お任せ民主主義」「陳情民主主義」とならないために、東氏は次の2点の必要性を指摘します。
東氏の任期中にはコロナ禍がありました。東氏はコロナ前に市役所業務のデジタル化が進んでいたことが、コロナ対応に集中できたと振り返ります。
東氏「コロナがなければ、市職員も市民もそのことに気づけなかったかもしれない。危機に備えておく力というのは、非常に重要な素質のひとつなんだろうと思います」
東氏が提案するのは、新しく当選した首長がしっかりノウハウを持ってやりたい政策を実現する環境や場所と、それを評価する仕組みがある、いわば「一連のエコシステム」です。
首長の属人的になっている現状が、市民に跳ね返ってしまっている現状。
今回、東氏が立ち上げる政治団体と政党の違いは、「選出した候補が違うと思った時には、躊躇わずによりよい候補者を探すことも責任」と説明します。
東氏「政党だと構造上、特定の主張を大きくするために影響力を広げなければならない。規模を広げることが目的になりがち」
東氏は、今回立ち上げる政治団体について、前例がないので、賛否あるものだと思っている、としながらも「それもまた民主主義を育てるひとつの議論になると思っています」と前向きに語ります。
すぐ受け入れられるのは難しいとしながら「100年先の四條畷市が暮らしやすくなるための土壌」を作るための政治団体を作りたいと構想する東氏。
松田氏も、チャレンジングなこの取り組みが広がることを期待します。
地域の民主主義を機能させる仕組みとは?四條畷市長、経験を元に構想!
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