9月に予定されている自由民主党の総裁選に、小林鷹之(こばやし・たかゆき)衆院議員が8月19日に立候補を表明しました。同総裁選への正式な立候補表明は初めてです。このコラムでは、小林氏のプロフィールや政策をまとめました。
小林氏は1974年11月29日生まれ、千葉県出身の49歳です。
東京大学法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。ハーバード大学ケネディ行政大学院に留学し、在アメリカ日本大使館に出向するなど、海外勤務の経験も。
2012年衆院議員選挙(千葉2区)に初めて立候補し、初当選。以降、4期連続当選を果たしています。
2016年に防衛大臣政務官、2021年11月に発足した第2次岸田内閣で初代の経済安全保障担当大臣に就任しました。
他方で、私立開成中学・高校時代には「バスケットボール一筋」、東大在学中にはボート部に所属して主将も務めました。現在もマラソンが趣味という、スポーツマンの顔もお持ちです。
小林氏は総裁選の特設サイトを開設し、主な政策として以下を掲げています。(太字は編集部が付けました)
目次
オールジャパンで日本経済を「上昇気流」へ
- 「経済が財政に優先する」。「投資拡大、所得拡大、消費拡大」の好循環で「暮らしがよくなる」実感を。
- 国・自治体が一体のチームとなり、新時代の「飯のタネ」「稼ぎ頭」「若者の夢」になる戦略産業拠点を全国に創る「シン・ニッポン創造計画」。
- 官民あげて若者や中間層の所得増加を実現。
- 大企業と中小企業のより対等な協働による中小事業者の利益拡大支援、物価高などに伴う対策パッケージ策定。
- 電力需要増加時代における安価で安定した電力供給のための現実的電源構成の構築。
- デジタルサービスで稼ぐ国へ(デジタルサービス収支黒字化)。
- 政府調達の長期コミットメントによる「日本版COTS」でスタートアップに挑戦機会を。
- 食料安全保障のための予算拡充、農林水産業を利益を生み出す産業に。
「世界から信頼され、必要とされる日本」へ
- 新たな外交戦略「BRIDGE」構想
日本が世界の平和と未来創造のための実利を提供する「架け橋」に。産業政策含むグローバルサウス戦略も含めて、先進国とグローバルサウスとの分断を回避し、「架け橋」で繋ぐプロジェクトを実施。- 日本を守り抜くための防衛力の抜本強化/情報力の強化のためのインテリジェンス機能の抜本強化。
- 「経済安全保障戦略」策定と新たな官民枠組みで、他国の動向に右往左往しない国に。
世代や地域の分断がなく、「希望」「安心」を実感できる国へ
- 全世代の年金・医療・介護・子育て・少子化対策について、「安心」と「国の活力」につながる社会保障制度改革。
- 国・地方の全面協力による「人口減少対策実行計画」の策定。
- 「就学前教育」から「生涯学び直し」まで一気通貫した教育・人材育成基盤の構築/「完全国費留学制度」の創設。
- 南海トラフ巨大地震等の想定見直しと対策強化を含めた防災・減災・国土強靭化。
「2050国家戦略検討会議」の設置
これらの政策をはじめ、2050年を見据えたビジョンや政策を検討する「2050国家戦略検討会議」の設置
「国民の声が届く自民党に、国民の目が届く自民党に」
①不正には厳正に対処します。
②派閥解消の流れを絶対に後戻りさせません。
③政策活動費をさらに透明化します。旧文通費の使途公開も行います。また第三者機関の設置などの改革も確実に進めます。
④支部長の選任方法も含め、新鮮で開かれた、活力ある人事や意思決定の仕組みを作ります。「自主自律」に向けた憲法改正の実現
憲法改正は先送りできない課題の最たるもの。政治の要諦は、国家の危機管理。
緊急事態条項新設と自衛隊明記を優先改正項目として国民投票に付す。
2024年8月19日に開いた総裁選への立候補表明会見で小林氏は、「自民党は、生まれ変わる。」「世界をリードする国へ。」と前面に打ち出し、立候補への決意を以下のように語りました。
総裁選に出るのはまだ早い、とそうした言葉もいただきました。しかし、政治がこのままではいけないと、行動を起こすには十分すぎるほどの現場を見てまいりました。世界を見渡せば、今年G7の議長国・イタリアのメロー二首相は47歳、マクロン大統領は46歳、カナダのトルドー首相は52歳、私がG7に行っても、もはや若すぎるということはないんです。
「諸君、狂いたまえ」ーー吉田松陰先生が維新の中核を担った若き門下生たちに説いた言葉です。行動を起こす、想いを同じくする同志とともに国民の皆様の気持ちに正面から向き合って夢と希望あふれる日本を、世界をリードする日本をつくっていきます。より先の日本に責任を持てる世代として先頭に立って国を引っ張ります。
最後に、私の名前「鷹之」には空を舞う鷹の文字が入っています。鷹は、時折古い羽を新しい羽に変える「換羽」、羽を換えるという習性を持っています。一時的に飛べなくなるので命がけです。しかし、その困難を乗り越えて新しい羽でより高く、より遠くへ飛べるそうです。自民党も換羽が必要な時期を迎えています。時代に合わなくなった慣例という古い羽を勇気をもって脱ぎ捨てて新しい羽を生やす。私は自由民主党を心の底から誇りに思うからこそ大先輩から後輩に至るまであらゆる皆さんの協力を仰ぎつつ、守るべきものを守るため、新しい自民党を作ってまいります。自民党は、生まれ変わる。日本は、生まれ変わる。この国をより高く・より遠くへ覚悟をもって挑戦します」
なお、同日の会見では推薦人は公表されませんでしたが、武部新衆院議員が司会を務めたほか、20人を超える国会議員が会見に同席したそうです。
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