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2023年12月1日に公開された動画では、朝日新聞政治部記者の今野忍さんをお迎えして「前原新党の狙い」を解説していただきました。
折しも撮影当日に飛び込んできた前原氏の国民民主党離党の速報。MCの山本期日前が、収録中にも関わらず、問い合わせの電話が鳴ってしまう今野氏に、離党の裏側について迫ります。
ところで、11月24日に一部で離党の意向と報じられたことに対し、自身の「X」(旧ツイッター)で「補正予算の賛否を理由に、重大な政治決断をすることはありません。本人に確認することなく、この様な記事を書くとは。誤報です!」と反論した前原氏。なぜ、この時期に新党を立ち上げたのでしょう?
【このトピックのポイント】
・前原氏の離党会見、その数時間前に恐るべきできごとが?
・今回の「新党騒動」、もともとは党内の「路線対立」
・前原新党、この先どうなる?
今野忍さんは、2009年に政治部配属以来、二度の政権交代を最前線で取材。番記者としては菅義偉前首相、そして岸田文雄首相の担当を10年以上されているベテラン記者です。
民主党では、鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏、海江田万里氏を担当されたことがあるそうです。
ところで今回の収録は、ちょうど11月30日の16時を過ぎたところでした。
MC山本期日前「……たいへんな日にご出演いただいて(笑)」
今野忍氏「職場のひんしゅくを買いながら抜け出すように、逃げ出すように出てきて(笑)」
前原誠司氏が国民民主党を離党する意向を固め、30日夕方に新しい政党「教育無償化を実現する会」を設立すると説明をしました。
このニュース自体について今野氏は「驚いたとかじゃなくて、そもそも新党名が先に出ちゃったんですよね」と暴露します。
通常であれば、新党立ち上げ記者会見のメインイベントとなるはずの新党名のお披露目。今回、どのように新党名が公表されたかというと……。
前原氏が16時に会見を開くその前の昼頃、なんと、日本維新の会の馬場代表の定例の記者会見で、前原氏が離党することと新党名を発表してしまったのです。
今野氏「他党の代表が、新党名を発表すると。他党の記者会見で。前代未聞ですよ、日本の政治史において」
そして、今回の件に限らず、年末に新党を設立する動きが多い理由として、今野氏は、1月1日付けで政党交付金が出ることを指摘します。
今野氏「5人だと年間で2、3億行くんじゃないかな。もっと行くかな。この計算式、ちょっと複雑なんで。まあ数億は行きます。数百万とか数十万ということはないです」
今野氏は、今回の新党騒動は、国民民主党の中での路線対立に基づいたものだと説明します。9月に行われた玉木氏と前原氏の代表選の際、前原氏の非自民、非共産で保守系の野党を作りたいという主張に対し、玉木氏は自民党や公明党と組んで政策を実現する、いわば与党寄りという立ち位置でした。
MC山本「ちょっと前に前原さん離党みたいなニュースが出て、前原さんが『これはデマです』っていう。あれは前原さんがウソをついてたっていう」
今野氏「結果としてそうなりますよねえ」
MC山本「玉木さんはびっくりしているというか」
今野氏「びっくりするし怒るだろうし、打撃でもありますよね」
新党に参加予定の国会議員は、前原氏のほか次の4人です。
MC山本「代表選の前原派が全員離党したと思えばわかりやすいと」
今野氏は、新党結成後も、新党「教育無償化を実現する会」で活動を続けるというより、「野党多弱」と言われる中でどの党と組むかがポイントになるだろうと指摘します。また、来年、野党数が元に戻っている可能性があるとも指摘します。
今野氏「どこと組むかって、答えが出てるじゃないですか。新党名を発表したのが維新なんですよ」
ある維新の大物が「来年には統一会派を組むんじゃないか」とコメントしたとまで暴露する今野氏。新党結成は合流前に一拍置いただけで、維新との統一会派結成、合流まであると予測します。
いきなり合流できないのは、比例当選の議員が政党として当選しているということが背景にあります。このため、党の移動はできないものの、公職選挙法などでは、選挙の時に存在しなかった新党に移動するのはOKであると。そういったことから、新党を結成し、統一会派を経て維新に合流するのではないかというのが、今野氏の見立てになります。
MC山本「維新の近畿の比例枠で復活しやすいとか」
今野氏「近畿で維新はむちゃくちゃ強いですからね」
こうした構図をこれまでどう説明しようか迷っていた今野氏ですが、今回は楽だと笑います。
今野氏「馬場さんが自分で政党名まで発表したからね」
今回の前原氏の離党発表の背景をまとめますと、
・新党を作ったら1月に政党交付金がもらえること
・新党を作ることで比例選出の議員も他党に合流しやすくなること
の2点が想像できます。来年の会期末である6月くらいに解散が行われるかもしれないことから、「慌てても入る(合流する)ことができる」という形になります。
今野氏は、維新側への取材では、合流を予想する声が多かったとコメントしました。
今野氏「次の衆院選までに維新に入らず政党が続いてたら、僕ここで土下座します」
MC山本「僕も一緒に土下座します」
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