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「野党は反対ばかりして対案を出していない?」客観的にデータ検証してみた 【2021年版】(立憲民主党 中谷一馬氏ブログ)

2021/10/20

選挙ドットコム編集部

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主に与党支持の人たちが、「野党は対案を出さずに反対ばかりしている」と言っているのを聞いたことがある人は多いかもしれません。本当に野党は対案ばかりで反対ばかりなのか?立憲民主党の中谷一馬氏が自身のブログで、党から出した法案の本数や内容、与党の法案に反対する割合などを挙げ、具体的なデータを用いて検討しています。

ブログ全文は以下の通り。

「野党は反対ばかり」の真っ赤な嘘

政権与党幹部などから、こうした趣旨の発言が繰り返しメディアなどを通じて発信されることがあります。しかしながら、本当に野党は、法律案・対案を出さずに与党が言っていることに対して反対ばかりしているのでしょうか?

それらの意見をファクトチェックするために、様々なデータをもとに検証してみました。

第195回国会から第204回国会までの野党各党の賛成・反対・欠席の割合(「野党各党の政府提出法案に対する賛否まとめ」部分をご覧ください。)

データで見る賛成率

2017年11月に開会された第195回国会から2021年6月に閉会された第204回国会を見ていくと、立憲民主党会派は、政府提出法案の82.6%に賛成しています。最も賛成率が高かったのは、日本維新の会の88.7%、最も賛成率が低かったのが、日本共産党の53.9%でした。

日本維新の会は、政権に近いとされている党でありますが、客観的データからも賛成率が一番高いというデータが出ています。また、賛成率が一番低い共産党でも、政府提出法案に53.9%賛成をしています。

そして立憲民主党は、82.6%と、8割以上に賛成していますし、反対は15.8%です。(残り1.6%は欠席等)

また、2020年10月26日~2020年12月5日の期間で開催された第203回国会、2021年1月18日~2021年6月16日の期間で開催された第204回国会に関しては、衆議院において99本の法案が審議されましたが、立憲会派は法案の79本(79.8%)に賛成。コロナ禍という難しい情勢だったにも関わらず、反対した法案は20本(20.2%)とコロナ禍前とほとんど変わらない賛成率でした。

立憲民主党は多くの法案に賛成しているというのが、データから示されます。

尚、第202回国会は、安倍内閣の退陣を受けた国会でしたので、法案の採決は行われませんでした。

立憲民主党は、野党なのに政府が言っていることに対して、賛成ばかりしていてけしからんと、お叱りを頂くこともあるかも知れませんが、良いものは良い、悪いものは悪いというスタンスで生産的な議論を進めていきたいという想いからであることをご理解いただきたく思います。

もし周囲に「野党は反対ばかりしている」という発言をされる政治関係者がいたら、その方は、内容が嘘偽りだとわかっていてもプロバカンダとして意図的な印象操作を行っているか、もしくはファクトチェックを行わず、ステレオタイプで情報発信をしている可能性が高いのではないかと思います。

注目してほしい「反対」の20本の法律案

”何でも”反対ではない

データから見ても明らかな通り、立憲民主党はライバルである政権与党の提案であるから何でも反対をしているわけではありません。

平和で豊かな国民生活を創ることを念頭に、深く審議した上で、賛成すべきであるか、反対すべきであるかを判断しているからこそ、与党提案の法律案に約8割賛成しています。

そうした中で、みなさまに注目してほしいのは、第203回国会と第204回国会で、立憲民主党が反対をしている20本の法律案についてです。

多くの法律案に賛成しているにも関わらず、20本の法律案に反対しているのには、必ず理由があります。

明らかに反対すべきおかしなポイントが存在しているのです。

例を挙げれば、

  • 所得税法等の一部を改正する法律案
  • 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案
  • 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案
  • 少年法等の一部を改正する法律案

など、反対している方々が一定数いる法案ばかりです。

今後、私たちが反対している法律案があった時には、「野党だから反対している」と思うのではなく、何かしらの問題があるから侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論を与野党で行っているのだなと客観的な目でご注目頂けましたら幸いです。

そこには、必ず反対すべき「明確な理由」があることがおわかりいただけると思います。

×野党は対案を出さずに批判ばかりしている

○野党が対案を出し続けても、政権与党が審議を蔑ろにしている

これもよく聞こえてくる発言ですが、これは客観的な事実でしょうか?

表にしてみれば一目瞭然ですが、新型コロナウイルス発生による未曾有の危機においては、野党である立憲民主党が提案をし、与党が後追いで承認していることが分かります。

立憲民主党は、結党後開会された第195回国会から第204回国会までの約三年半の間に165本の対案となる法律案を提出させて頂きました。

この中には、

  • ギャンブル依存症対策法案
  • 原発ゼロ法案
  • 子どもの生活底上げ法案
  • 隠蔽情報公開促進法案
  • 手話言語法案
  • 電子署名法改正案
  • 新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための休業者、離職者等の生活の支援に関する特別措置法案
  • 新型コロナウイルス感染症関連支援に係る手続の迅速化に関する法律案
  • 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者等に対する緊急の支援に関する法律案
  • インターネット投票の導入の推進に関する法律案

など、皆様にお約束をした公約、政府案への対案、新型コロナウイルス関連の法案などが多く含まれています。

しかしながら、今の政権与党はあまりにも数が多く、審議する法案や内容も自分たちの都合で決めることができます。

こうした法律案は他にも多数あり、立憲民主党を含めた野党議員のみで提出した法律案357本中、与党が議決に応じた数は、わずか7本(2.0%)でした。

政治にはバランスが重要

歴史上、権力は必ず腐敗するという格言がありますが、政権与党が自分たちの意見のみを反映させた政府提出法案の成立を優先し、対案である野党提出法案を殆ど審議すらせず、蔑ろにしている現状は健全な民主主義とは程遠いと思います。

国会の現状は、「野党は対案を出さずに批判ばかりしている」のではなく、「野党が対案を出しても政権与党が審議を蔑ろにしている」がデータから導き出される正しい見解と言えるのではないでしょうか。

立憲民主党は165本の法律案を国会に提出

立憲民主党提出 議員立法一覧

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2023年に年間1億PVを突破した国内最大級の政治・選挙ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営しています。元地方議員、元選挙プランナー、大手メディアのニュースサイト制作・編集、地方選挙に関する専門紙記者など様々な経験を持つ『選挙好き』な変わった人々が、『選挙をもっとオモシロク』を合言葉に、選挙や政治家に関連するニュース、コラム、インタビューなど、様々なコンテンツを発信していきます。

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