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【自民党総裁選】ネットでやたら高市候補に勢いがある「ように見えた」理由(米重克洋)

2021/9/28

米重 克洋

米重 克洋

この週末は、25日に毎日新聞などが行ったネット調査が話題だった。この調査では、自民党総裁選について、自民党支持層では高市氏が岸田氏を大きくリードする結果が出たためだ。同社もこの結果を「自民支持層、投票するなら河野氏47%、高市氏28%、岸田氏18%」と見出しに掲げて伝えていた。こうした結果を受けて、早速「高市氏の追い上げは足元で岸田を凌ぐ勢いだ」「岸田氏を既に超えていて、河野氏に迫るのではないか」といった趣旨の論を展開する議員や識者も多く出てきていた。

実は以前から既に「ネット調査・自民支持層」では「高市>岸田」の結果が出ていた

果たして、これは経時的に高市氏が岸田氏を追い抜きつつあることを示しているのだろうか?筆者は恐らくそうではないと見ている。その理由は、足元の党員・党友向け調査の結果と異なることに加えて、実はもっと以前に、同様のネット調査で、自民支持層において高市氏が岸田氏をリードする結果が出ていたからだ。

選挙ドットコムとJX通信社は、毎月合同で電話とネットの調査を行い、その結果を公表している。今月は11日と12日の土日に行った。つまり、上記で紹介した調査の2週間前の結果であり、自民党総裁選告示前のものである。

このうち、ネット調査で「次の自民党総裁になってほしい人」を聞くと、全体で1位は石破茂氏で37%(この時石破氏はまだ不出馬表明前で選択肢に入っていた)、2位は河野太郎氏で26%、3位は岸田文雄氏で24%、4位は高市早苗氏で14%だった。

ところが、これを、自民党支持層に絞ると順位がガラッと変わってくる。1位は河野太郎氏(55%)である点は変わらないが、2位が高市早苗氏で21%、3位が岸田文雄氏で15%、4位は石破茂氏で8%となっていた。調査の時期や規模、使用したサービスの違いはあるが、「高市>岸田」という点では上記の毎日新聞などの調査と似た結果になっていることが分かる。だが、やはり「ネット世論」と実際の党員の構成は年代など様々な点で異なる。結果「高市支持」の声を党員世論よりも強く拾った可能性はないだろうか。

経時的に比較できる調査から考えると……?

ただ、これらは同じネット調査とはいってもあくまで別物で、手法も規模も時期も微妙に異なる。そこで、経時的な情勢の変化を比較できる調査結果を紹介したい。

今回、読売新聞、日本テレビ、共同通信の3社が自民党総裁選への投票資格を持つ党員・党友を対象とした調査を行っている。このうち、日本テレビの調査は唯一、3週間連続で行われており、情勢変化のトレンドを可視化している(注:この日本テレビの電話調査には報道の通り、筆者の経営するJX通信社が協力している)。

最新の25日・26日の調査では、1位が引き続き河野氏で40%(前週比±0pt)、次いで岸田氏が25%(+4pt)、高市氏が19%(+4pt)、野田氏6%(+1pt)だった。順位は引き続き変わっておらず、岸田氏と高市氏の差も埋まっていない。

ちなみに前回、全国で党員・党友投票を含めたフルスペックの総裁選挙が行われたのは2018年だが、この時も今回同様に日本テレビの調査が行われていた。最終の調査の結果は、安倍氏51%に対して石破氏が41%となり、態度未定・不明者を除いてドント式で計算すると「安倍氏220票以上、石破氏180票程度」と予測されていた。実際の結果は安倍氏224票、石破氏181票とほぼ的中していた。

もちろん、今回も前回同様になるとは限らないのだが、同じく党員向け調査を行っている共同通信や読売新聞とも、数字に差はあれど順位や傾向は同じである点にも留意したい。

週末にかけて高市氏が追い上げているように見られたその「雰囲気」の正体は、ネットでの保守層の盛り上がりのタイミングで、こうしたネット調査の結果の発表が合わさった結果だろう。情報戦の側面も多分にありそうだ。

総裁選最終盤、党員投票・議員票の動向はいかに

既に態度未定者はかなり減った。恐らく党員投票の順位は河野、岸田、高市、野田の順である点は最終盤まで変わらなかったと見られる。投票も郵送で行われるうえ、28日が必着であるために、この週末が実質的な最終盤だった。

今後はこうした党員票や世論の動向を踏まえて、議員票がどう動くかに焦点が移る。自民党議員にとっては「次の首相」という以上に、彼ら自身の首のかかった「選挙の顔」を選ぶ重い1票となるだけに、投票日の更にその時間まで動き続けるだろう。

その判断の結果は、29日に出る。

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米重 克洋

米重 克洋

1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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