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自民党総裁選・野田聖子氏インタビュー「『人口減少』が最大の有事。多様性ある社会のために『こどもまんなか』の政治を実現させる」

2021/9/27

選挙ドットコム編集部

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選挙ドットコムではYahoo!ニュースと共同で、9月17日告示・29日に開票が行われる自民党総裁選挙に立候補した野田聖子氏に独占インタビューを行いました。今回はその内容をお届けします。

Q.現在日本が直面する課題である新型コロナウイルス感染症対策について、今政府として行うべきこと、今後行っていくべきことは何だと考えていますか?

「今」ということであれば、行動制限解除をして経済を少しずつ動かしていくことがコロナ禍対策でもあるので、そのために何をするべきかという現状認識です。

従来株からデルタ株に置き換わる中で何が変わったか?というと、ワクチン接種です。

ワクチンを高齢者から打ち始めた結果、ほぼ高齢者の重症化から死に至る数が激減しています。これは科学的・医学的に認められています。

ですから、ワクチン接種を望む人はすべて受けられるように急ピッチで取り組むということをしなくてはなりません。

おそらく9月末で接種率が70%くらいまで届くと思うんですね。

それよりも上にいけば、ある程度今のデルタ株までにはしっかりと対応できるということがアメリカやイスラエル等で徐々に分かってきているので、そこを目指して一定の打ち手確保をしていきたいです。ワクチンはしっかり供給量を確保してあるので安心してください。

次はやはり重症者を出さないということ。これはやはり早期発見・早期治療がカギです。

今は保険証を介しているので普通にインフルエンザ等で病院に行くのよりちょっと手間がかかってしまいます。

そこは酸素ステーション・抗体カクテル・通常のステロイド医療が進んでいるので、網羅的にリーチできるように。医療難民をなくしていくことが必要ですね。

また、最悪の事態――重症者が急増してしまった場合は、緊急事態の中ですみやかにサブホスピタル等医療ができる施設作りを速やかにやること。

「できない、できない」と言われていますけれど、どこかの体育館等空いているところに薬・酸素・医師・看護師がいればいいですね。確保できるかを常にウォッチする必要があります。

各県のベッドの入院率と重症化している割合といったデータは既に出ていますから、それを見ながら「ここまで来たらスタンバイしよう」ということを機動的にしていきたいです。

1人1人がかかっても不安にならない、かかっても医療にリーチできるという体制を作っていって、コロナは基本的にはゼロにはならないと思いますから、意識の共有をしていきたいです。

重ねて言うならば治療薬ですね。

特にインフルエンザとコロナの違いは経口薬があるかないかです。経口薬があれば家にいて急変しても薬を飲めて不安が解消されます。

あとは子供たちへのワクチン接種です。

ニュースではアメリカで「大丈夫だ」と出ているので、日本でも望む親には積極的にすすめていきたいです。

意外と子供ってたくさんワクチンを打っているんですよね。その中でコロナ対策ということでしっかりと説明をしていかないとなと思っています。

Q.日本の課題であるDXについて、今後どのような分野でどのように活用していきたいと考えていますか?

よく人はDXとITを混同してしまうのですが、似て非なるものです。

確かにデジタル技術を使うものですが、IT化というのは効率化や人員削減の手段として使われてきたことで、今言われているDXというのは社会を変える、なかったものをあるようにしていくということです。

私のそもそものDXのはじまりは重度の脳性麻痺の男性との出会いです。

彼はおしゃべりができなかったんですよ。当時はインターネットがなかったので「パソ通」をやっていて、夜中じゅうずっとチャットをするんです。昼間会ったときは身動きの取れない24時間介護の障がい者、という風に見える彼と、夜中のチャットではまだ25~26歳の一人の若い男性としてのやりとりをずっとできた――ということが、私にとってはDXのはじまりでした。

常にアクセシビリティ、ないものをあるようにしていくという発想でDXを捉えていきたいと思います。

具体的には国会。国会に女性が少ない理由のひとつは、産前産後は国会議員としての投票券が現状ないんですよ。そういうところから「女はダメだよね」という発想になってしまうので、DXを使って出産直前直後であっても病気ではないですし意思もはっきりしているから国会議員の責務を果たせるようにするべきだ、って私はずっと言っているんですよ。

Q.具体的に、地方自治体や行政におけるDXの導入方法やデジタルの活かし方についてはどう考えていますか?

今は「テレワークだから地方に行こう」って言うけどそれは大間違いで、通信環境においてはやることがいっぱいあるんですよ。基地局がないところもいっぱいあります。

地方に行ったはいいが、会社とつながらない!という現状があるんですよ。

ですからやはり通信環境のインフラの強化。北海道から沖縄まで同じレベルの通信が保たれること。

実はテレワークだけじゃなくて、(携帯電話通信の)ギガもそうなんですね。

東京目線で「東京でできることは地方でもできる」って思っている人がいるけれど、地方でやりたいことは実はできていない現状があります。

携帯電話の値下げも喜んでいるのは東京の人が多いです。

私は地方議員出身なので、そのあたりは地方創生のイロハを、言葉だけ先行させるのではなくできる化させていきたいです。

課題の1つに人材不足があります。

行革でデジタル技術を持つ人を減らし続けた結果、受け手である各市区町村に人材がすごく少なくて、それがDXが遅れている理由の正直なところだと思います。

もし首長さんがとってもDXに関心を持っていて、好きだと言うのなら進むのだけれど、多くの首長さんの場合はそこそこの年齢でITに対する怯えも持っています。

そんなお金があるんだったら河川改修、道路を作ろうとなってしまうので、そこは国が見てあげないといけないと思います。

みなさんのような方が地方自治体まで入り込んで東京と遜色ないDX環境を作る、という流れになればと思うのですが、そこまでは至っていません。

Q.これまでも少子化や子ども政策が課題だと言われ続けていましたが、改善に至ってこなかったのは何が原因だったのでしょうか。今後どうしていくべきだと考えていますか。

長年のイメージとして、子ども政策とか、少子化対策は与党・自民党がやるべきことではないって空気が自民党内で満載だったんですよ。

新しいメディアも、古いメディアも全く同じです。

安全保障や農業や中小企業政策は大きく報道されますが子ども政策や少子化対策って社会面なんですよね。それがこの国を滅ぼしているのではないかと。

ためらいなく子ども政策・少子化対策に重みをおける社会じゃないとどんどんこの国は疲弊していきます。

なぜかというと、1番の有事は人口減少なんですよ。

総裁選で年金をどうするとか、敵基地攻撃能力とか聞きますが、その背景にあるのは人手不足です。

例えば日本は海の国ですから外から海を守らなければなりません。敵基地攻撃能力の以前にミサイル防衛、イージスアショアが話題になりました。イージスシステムを展開するのは船で展開できればいいのですが、なぜ陸地なのかといえば船に乗る人がいなくなったからです。海上自衛隊の自衛官が定員割れしているからなんですよ。

年金も「なぜこんなことになったか」ということを考えると、若い人が担う前提で作っているのに若い人が人口減少でいなくなっているからです。

すべての行き詰まっている政策の根本は、少子化による人口減少です。そこにリーチしないと政治は動きません。

しかし、少子化や子ども政策は女々しいという間違った価値観が自民党に横行していた結果、やるべきことは進みませんでした。やるべきことを伝えられませんでした。

私が常に総裁選に出ようと思っていたのは、1日でも早く国民に本当のことを知ってもらいたかったからです。4度目でようやくです。

だって、これがなかったら「こどもまんなか」のことを1人も言っていなかったから。3候補とも、1人も言ってなかった。それを止めたかったんです。

Q.「こどもまんなか」という言葉について、具体的に詳しくお聞かせください。

まずは政治の意識改革です。

子どもというのはいわゆる社会的弱者です。社会的弱者は多様性になくてはならない存在で、私が出したいのはこの国の多様性です。

子どもはそのアイコンの1つであり、大きなアイコンです。

ここが崩されていることに誰も気がついていないからか、言及しないことを私は警告したいんです。

「こどもまんなか」とは、まず目の前にあるものの不幸がなぜ解決できないのか、なぜ虐待が増えるのか、なぜ自殺が増えるのか、なぜ母親が子どもを殺してしまうのか、なぜ産後子どもがせっかく生まれたのに産後うつで死んでしまうのか……

そういうことを真正面から取り組んで、ああここが底が抜けているから少子化が拡大しているんだという問題意識を持つこと。

あとは、日本の取り柄は知性でしょう、ということで教育の充実ですね。

日本は小学校から義務化なんですけど、その前の幼児教育は任意ですから、幼稚園・保育園・こども園、行かない人までさまざまなんですよ。

義務教育でよーいドン、と始まったところで既に格差ができていて、そのコンプレックスから伸びるべき子どもが伸びないという非常にもったいないことをしているんです。

できれば幼保一体一元化ではなく、幼児教育もしっかり義務化させて、どの子どもでも近場の幼児教育の場に行って、学びながら虐待がないか、発達障害の予兆はないか等を専門である先生たちに日々見ていただくことで、陥らなくていい穴に陥らぬよう私たちが守る……そういう1つの基地なんです。司令塔です。

そして、出自の権利をご存知ですよね?

法律で第三者からの精子提供・卵子提供を国は正式に認めました。

本来ならば自然の妊娠ができればいいけれど、もう世界はそうじゃないんですよね。

あのスティーブ・ジョブズも養子でした。生みの親が育てられなくても育ての親がいたからAppleはできた、という風に考えていかないといけません。

要するに、子供という人材を1人でも無駄なく支えていかなきゃいけないという発想が今の日本にはないということです。

そして出自を知る権利のデータベースが日本にはあります。まだこれは法律をきめられていませんが、私の子どもを含め精子提供・卵子提供の子どもはたくさん生まれているので、その子どもたちの望んでいる権利は守らなければなりません。

日本はいい加減なことをしない、人あっての日本だということを子ども庁の動きで国内はもとより世界に知らしめたいと思います。

Q.多様性のある社会を子ども政策以外ではどのように実現していきたいと考えていますか。

「そこにいること・あること」だけですよ。

私の1番のラッキーなところは、自分の偏差値を知らないところなんです。受験していないから。

自分と違う人に対して、違うことでマウントしたりされたり……それをやめればいいだけじゃないですか。

それで不自由だと思ったことを直してあげればすむことで、怖がったり差別だ!とか言う必要はないんですよ。生きやすくしてあげることだけ考えればいいんです。

私も健康だけが取り柄みたいなもので普通に義務教育を受けられたのですが、息子は障害があるっていうことだけでそこから堤防ができるんですよ。

そんなものいらないじゃないですか?それだけのことです。

Q. 女性の政治家を増やしていくためにはどのような方策が必要でしょうか。

1番に必要なのは有権者教育、リテラシー教育ですね。

私より上の世代の人は「大相撲と自民党は男の仕事」と思っているところがありますから、それは意識を変えることは不毛ですよ。

そういう人は教育のもとで「政治は男女両方の仕事だ」ということを子どものころから教えてもらうことでまずは変えていきたいなと思います。

そのために私は政治分野における男女共同参画促進法を作って全国の学校で法律に基づいて男女半々なんですよ、と今頃教え始めてるんです。当たり前のことなんですけどね。

あとは、私たちが陥ってしまったのが……小選挙区は多様性が反映されると思っていたのですが、小選挙区は既得権益になってしまっていて、自民党の場合はそれが男性でした。そこは私もちょっと勘違いしていましたね。

私自身が「小選挙区ならジェンダー別なく・属性別なく・女性でも1人前の仕事はできる」と思って賛成したのですが、自民党の場合は現職優先というルールがあり、現職は9割が男性だったんですね。

それで(女性の政界進出が)進まないという現実問題がありますし、空いたところで自民党の場合は地方での選考委員会で決めるんですね。男性が10割近くになるので、悪気はないんですが、女性が男性トイレに行くことを想定しないのと同じように男性の選考委員会も女性の候補者のことを想定しないんです。

これはもう女性蔑視以前の男性の小宇宙・女性の小宇宙の中がまだ混ざってないということで、男性を責める必要はありません。だって、女性じゃないんですから。

ただ、これは自民党としても意図的に選考委員会は男女半々にする等して、男性だけが候補者だという思い込みを変えていく必要があると思います。

Q.これからの日本の成長や発展に向けて、どのような経済対策を実行していきたいと考えていますか?

優先順位があると思います。

まずはコロナ禍なので、コロナにかからないためのヘッジをすることで経済が少しずつ動き出すということ。これが序盤です。

その次にコロナ禍で歪んでしまった部分への給付です。

デジタル庁を急いだ理由はそこにあって、一律でないとスピード感が出せなかったのがアナログですが、デジタルでは選択して集中的にやれるプッシュ型サポートという強みがあります。

例えば、現在、学生の方が大変困窮しています。

私の友人が女子大に生理用品と食品を届けたんです。そこで生理用品を買えないくらい女子大生が困窮している、アルバイトとかを失っているということがわかりましたが、このことはあまりクローズアップされていないんですね。

そういうところに速やかにプッシュ型で現金給付をして、生活の最低限を維持してもらう。

この人たちがやっぱり乗り越えてくれないとこれからの次の日本はないわけですからね。

同じようにひとり親、そして非正規、そういうところに手が届いていません。

雇用調整助成金など、シフトが減っていて実は申請すればもらえるのに、無意識に「これくらい減ったわけじゃしょうがないかな」って損してるわけですね。

家計が減るということは経済の先が下がっていくということです。

今用意されているものをどんどんプッシュ型でサポートし、不安感を取り除いて消費を維持することが必要です。

次は経済活動がそろそろ始まるころですね。

GoToトラベルとか、GoTo with キッズでもいいし、1番大事なのは預貯金に回らないことです。景気の個人消費に回していく手法を考えていく必要があります。

今「おうち○○」、例えばホームビールサーバーですとか、家にいることからイノベーションが起こっていて、全て業種が凹んでるわけではないんですよね。

特に凹んでいるのはサービス業、観光、それと飲食業です。そこをいかに起こしていくか、ということです。

ワクチン、抗原検査、PCR検査のようなパッケージを当たり前にして観光振興を進めていき、いずれ本格的解除になればインバウンドも進めます。

コロナ前の銀座のデパートの売上っていうのはアジア・中国・韓国の人がダントツだったわけですね。これらの国々とは外交上色々言ったりしているけれども、日本の経済を支えてくれてる人たちなんですよね。

それが「日本人っていいよね」っていう国民運動につながってきます。「いいよね」と思ってる国を攻撃しようなんてねなかなかなくなってくるわけで、実際インバウンドは優れた安全保障なんですよ。

そんなことを考えていくと観光っていうのはただ単に景色を見るだけじゃなくってそういう安全保障、世界中に好かれるという利点もあります。

なおかつ、コロナ前の現実を見ると、少子化で消費者が減っていく中でインバウンド依存というのはやむを得ないし、それはこれからもなくならないでしょう。それはやっぱ割り切って進んでいかないといけないと思います。

また、2050のカーボンニュートラルも無視できません。

そのために2030年度に(2013年比で)46%削減という高い目標を達成するために、再生エネルギー等の投資をある程度公共事業化して行っていきたいです。

EVステーション、水素ステーション、洋上風力、さらに私のライフワークである地熱発電など、そういったところにしっかりとお金を投入して、ここで新しい産業を――新しいインフラを作るという取り組みを国が率先して投資することで、経済に寄与するのではないかと考えています。

まずは補正予算からスタートさせて10年くらいで20兆円を考えています。

最後は「こどもまんなか」。やはり何はともあれ1丁目1番地は子どもをしっかりと守り高めて育てていくということに集中投資です。

1つの案が子ども国債です。財源をあちらこちらから引っ張ってくるようなことをせず、ドーンと国債を作って、安定した大きな財源の中でやれなかったことをすべてやっていくようにする。

これはあくまでも先行投資です。リターンとして絶対に消費者、労働力、納税、さらには付加価値として戻ってくるという画期的な国債を、国債のあるべき姿を見せたいと思っています。

Q.日本における外交の課題はなにか、今後どのような姿勢でのぞむかも含めて聞かせてください。

日本は安全保障面においても国力がなくなっていると思います。

人口減少ですべてにおいて数でも質でもどんどんクオリティが下がっている結果を、世界中の経済の指標の中、例えば時価総額ランキングでも落ちているのはいきなり日本人の知性がなくなったわけではない、次から次へとイノベーションを生み出す才能が枯渇してきている予兆だということ、昭和・平成の預貯金を今吐き出しているということ、そのあるがままの姿を受け入れた上で日本が外交上手にならないといけません。

自らが軋轢を生み出すようなアクションはせず、賢く立ち回る。

1つは、主従関係に見えるかもしれませんが日米同盟。これは外せません。

そして今、ようやくインド太平洋戦略というとても広い範囲で、あちこちの国々もそれぞれの国益のために何かしようという取り組みが始まっています。

日米安保のみならずありとあらゆるところに手立てを講じて、やれることはやる、自分が窮地に陥ったときに自分だけで解決する、アメリカの力を借りるだけでなく周辺諸国の人たちにも「そうだよね」と言ってもらえるような外交活動をしっかりしないといけません。

※取材は自民党総裁選の候補者四人全員に打診し、インタビューは新型コロナウイルス感染症対策を万全にした上で実施しました。

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2023年に年間1億PVを突破した国内最大級の政治・選挙ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営しています。元地方議員、元選挙プランナー、大手メディアのニュースサイト制作・編集、地方選挙に関する専門紙記者など様々な経験を持つ『選挙好き』な変わった人々が、『選挙をもっとオモシロク』を合言葉に、選挙や政治家に関連するニュース、コラム、インタビューなど、様々なコンテンツを発信していきます。

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