
選挙ドットコムではYahoo!ニュースと共同で、9月17日告示・29日に開票が行われる自民党総裁選挙に立候補した岸田文雄氏に独占インタビューを行いました。今回はその内容をお届けします。

まずは、目標をしっかり定めることだと思います。
コロナをゼロにすることはなかなか難しいと思いますが、コロナと共存してできるだけ通常の生活を取り戻すことを目標とします。
そのための鍵となるのは、ワクチン接種と治療薬の開発だと思います。
「11月中には希望者のワクチン接種を完了する」という目標が掲げられており、「年内に経口治療薬の開発を普及する」とされています。
それまでを、人流の抑制と病床・医療人材の確保、そして何よりも数十兆円の経済対策で支えていきます。
通常の生活をできるだけ取り戻したとして、それを維持していくことを考えていかなければなりません。
ワクチン接種証明や無料PCR検査、簡易検査キットの普及、国産ワクチン治療薬の開発などを進めることによって「できるだけ平時に近い経済社会活動を維持すること」を目指していきたいと思っています。
デジタルはあくまでも手段であり、目的であってはならないと思います。
目的は「社会や組織を大きく変えていくこと」です。
東京の一極集中を改善するために「デジタル田園都市国家構想」という目標を私は定めています。
やはり日本の魅力は、地方における多様な可能性や魅力であると確信しています。
それを引き出すためにも、まずは5Gをはじめとするデジタルインフラを地方にこそ率先して展開していく。
そのことによって、テレワークはもちろんのこと、自動運転やドローン宅配、リモート医療やリモート教育、そして何よりも、地方にとって大切な農林水産業も、スマート農林水産業という形で「若い人たちにとって魅力ある産業」にしていかなければならないと思っています。
こうしたことによって地方を活性化していく。
さらにはそれを支える基盤として、地方大学や高等専門学校の存在は大きいと思います。「10兆円の大学ファンド」というものを用意して、これを支えていきたいと思っています。

皆さまにとって身近なサービスとして「日本版Aurora(オーロラ)サービス」というシステムを作っていければと思っています。
フィンランドでは「Aurora AI」というサービスが展開されていて、結婚・出産・就職など国民の人生の節目にあたって、国の方からプッシュ型で情報・サービスを提供していくシステムが存在します。
たとえば、子供が保育園に入る年齢になったら近所にある保育園の情報がプッシュ型で提供され、就職の時期には就職情報、離職することになったら就職情報やリカレント教育情報が提供されます。
人生の節目において、国が必要な情報をプッシュ型で与えていくサービスの展開を日本でもできるのではないかと感じており、デジタル化を進める中で実現したいと思っています。
デジタル化を進める上で、デジタル格差の問題にどう向き合うかは大変重要なポイントです。
みんなで共有することによってデジタル化の効果・意味もより高まりますので、誰も取り残さず、みんなで進めていくことを考えていかなければなりません。
ただ、高齢者の方や、なかなかデジタル化に馴染めない方もいます。私は「デジタル推進員」を全国に展開することはできないだろうかと考えています。
地方自治体や携帯ショップにも協力してもらいながら、困ったときには高齢者の方や、なかなか馴染めない方にアドバイスし、共にデジタル化を進めていく存在を全国に展開したいと思っています。

それに加えて、学生さんや若い人たちにも協力してもらえたらと思います。
デジタル推進員の取り組みやデジタル格差への協力を通じて、若い人たちに地域の絆みたいなものを感じてもらう。
さらには高齢者と触れ合う中で、若い人たちがデジタルの意義やリスクについて思いを巡らせるキッカケになるのではないかとも思っています。
そのような取り組みに対するインセンティブを若い人たちに感じてもらうためにも、資格制度みたいなものを用意すれば理解や協力を得られるのではないかと思っています。

多くの皆さんが岸田BOXを利用していただいていることに、心から感謝しています。
膨大な作業ではありますが、質問に対してはできるだけ目を通そうと毎日努力を続けています。
岸田BOXを開設して思ったことは「双方向でのコミュニケーションが大事」だということです。
そして、デジタルを使えば双方向でのコミュニケーションは実現可能だと、改めて気付かせていただきました。
「自民党の改革」というものを総裁選での大きな柱として私は訴えていますが、自民党の改革においても、双方向でのコミュニケーションの大切さを訴えております。
党員獲得や党費の納入など、党員の皆さんとの接点についてもデジタル化を進める。さらには、次の総裁選では「デジタル党員投票」を目指したいということも訴えています。
また、今は1年に1度人が集まって開催している全国幹事長会議や全国政調会長会議などの大切な会議も、デジタルを使えば毎月開催できるのではないかと考えています。
こうした取り組みを党改革でもしっかり生かし、デジタル化を進めていきたいと思っています。

「新しい資本主義」という政策を私は訴えています。
今までの政策は新自由主義的な政策と言われています。
市場、競争、利益、効率、これらを重視する政策は確かに経済成長しましたが、一方で富が偏在してしまいました。
20年間で、企業における株主への配当は20兆円増えたと言われていますが、従業員の給料は20兆円減ったと言われています。
経済は大きくなっているわけですが、その成長の果実はどこへ行ってしまったのか、どこに集中してしまっているのか、このあたりを考えていかなければなりません。
成長に合わせて成長の果実をどう分配するか考える、これが私の「新しい資本主義」という考え方です。
成長においては、科学技術・イノベーションを「10兆円のファンド」でしっかり支えていく。そして分配を考えた場合に、できるだけ幅広い方々の給料を引き上げる、こうしたことを考えていかなければなりません。
そのためにも看護師や介護士、保育士といった、国が給料を決める職業の方、特に働きの内容に比べて給料が低いと言われている方々の給料を、国が率先して引き上げる。そして、それが呼び水になって民間の給料が引き上がっていくといった流れを作っていきたいと思います。
成長はこれからも大事にしますが、分配ということにも目配りをして、みんなが恩恵を受ける。そして何よりも消費が喚起され、経済の好循環が再び動き出す。こういった経済を作っていきたいと思います。

私は外務大臣を4年8ヶ月務めました。その際に感じたことは「人と人との信頼が大事」だということです。
今日まで培ってきた信頼関係をベースにしていきながら、次の3つの覚悟が日本外交には必要だと申し上げています。
一つ目は、自由、民主主義、法の支配、人権といった、私たちが大事にしてきた普遍的な価値を引き続き大事にしていくこと。さらには、同じ価値を共有する国々と協力していくことが大事だと思っています。
二つ目は、自国の領土、領海、領空、国民をしっかり守っていくこと。海上保安庁の装備の向上や、ミサイル防衛システムの向上をしっかり用意していくことです。
三つ目は、環境、平和、防災、あるいは感染症といった地球規模の課題に、日本がしっかり汗をかくことによって日本の存在感を高めていく。引いては我が国の国益にもつながるこうした取り組みを進めていくことが大事だと思っています。
以上、3つの覚悟を大事にしながら外交を進めていきたいと思っています。
※取材は自民党総裁選の候補者四人全員に打診し、インタビューは新型コロナウイルス感染症対策を万全にした上で実施しました。
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