コロナ禍で外出を控える事が推奨されているため、街頭演説を直接見る機会は減ってきています。
一方でインターネットを使った選挙運動は2013年に解禁されており、有権者が情報を得る方法としてネット選挙の需要が高まっています。
この記事では、ネット選挙の疑問についてQ&A方式で解説していきます。
Q1. 有権者です。ネット選挙運動では何をしてよくて、何をしたらダメなんですか?
A1. 選挙が始まる告示日~投票日前日までと投票日当日でやっていいこと・ダメなことが違います。一覧表をつくってみましたので参考にしてください。
選挙期間を通してネット選挙運動でやってもいいことは2つあります。
・特定の候補者のSNS投稿へのいいね
・投票に行くことの呼びかけ
ただし、当日は内容によっては問題ありとみなされる場合もあります。
例えば特定の候補者の情報を拡散することを目的に多くの「いいね」をすることは、違反になる可能性があります。
・特定の候補者を応援するWebサイト、ブログの更新
・掲示板等への特定の候補者を応援する内容の書き込み
・特定の候補者を応援する内容でのSNS更新
・特定の候補者を応援する動画の投稿
・LINE等のチャットアプリを使って特定の候補者を応援する行為
・特定の候補者のSNS投稿のシェア、RT
投票日の前日までは選挙運動は認められており、ネットでの選挙運動も同様です。
上記の6つは選挙運動とみなされるため、前日までは問題ありませんが、当日に行うことはできません。
・有権者が電子メール、携帯SMSで特定の候補者の応援をする
・メルマガ、メーリングリストで特定の候補者を応援する
・候補者のWebサイト印刷物の配布
・ネット広告を配信する行為
電子メール・携帯SMSを用いた選挙運動は政党や候補者が行うことは認められていますが、有権者が行うことは認められていません
ただし、SNSやLINE等のチャットアプリでのメッセージ機能はWebサイトで発信をしている扱いになるため、有権者の活動も認められています。
また、ビラなどの配布物は選挙活動で使うことができる枚数や規格などが決まっているため、Webサイトのページを印刷して配布することはできません。
ネット広告は政党や確認団体にのみ認められており、候補者や有権者は使用できません。
広告は選挙用のページへ直接リンクされている必要があり、候補者の名前や写真を使うことは禁止されています。
(選挙運動期間ではなく政治活動期間であれば、政治活動としてネット広告を配信することは可能です)
Q2. 投票日当日にTwitterやFacebookのようなSNSで「いいね」をすると問題になる場合があるのですか?
A2. 意図的に特定候補の投稿に対して連続で多数の「いいね」をするなど、特定候補の盛り上げや拡散を目的とした「いいね」は違反になる場合があります。
投票日当日はネット選挙運動に関わらず、選挙運動は一切できません。
そのため、当日に応援している候補者や政党の発信を拡散する行動(シェアやRTなど)は選挙運動とみなさる可能性があります。
選挙運動とみなされた場合、公職選挙法の違反になる危険性があるので注意が必要です。
また、候補者の投稿に「いいね」をすることは基本的には違反にはならないと考えられますが、候補者のSNSやHPを盛り上げる目的で多くのアカウントから「いいね」をした場合には選挙運動に当たると判断される可能性があります。
ただし、投票日前日までのシェアや「いいね」が、投票日当日に表示されることは問題ありません。
Q3. 投票日当日に投票に行ったことをツイートしたいです。気をつけることはありますか?
A3. 投票日当日は「特定の候補に投票した」という投稿は選挙運動とみなされる場合があります。「選挙に行った」「投票に行った」ならOK!
投票日当日はいかなる選挙運動もできません。選挙運動とみなされた場合、公職選挙法の違反になる可能性があります。
投票に行ったことなどの事実を伝えることは特に問題はありませんが、「〇〇さんに投票してきました!」や「投票してきました。○○候補がんばれ!」といった内容は、その投稿を見た人に「あの人が入れたなら私も入れようかな」と候補者への投票を促してしまう可能性があるため注意が必要です。
ただし、投票日前日までであれば選挙運動は認められているため、期日前投票であれば「〇〇さんに投票しました!」という内容の投稿は違反にはなりません。
特定の候補者の応援のために投稿する場合は投開票日前日までに投票を済ませましょう。
Q4. 候補者の街頭演説をスマホで動画撮影して、YouTubeにアップロードしたいです。注意することはありますか?
A4. 公開して行われたものでその内容が政治上の演説である場合には、著作権法40条1項により無制限に使用することができます。ただし、出所を明示する義務があります。
一般に公開されている政治上の演説であれば著作権や肖像権の侵害にはあたりません。そのため、街頭演説の動画をYouTubeにアップロードすることは問題ありません。
ただし、出所を表示する義務がありますので注意が必要です。
なお、公の場での演説ではない場合や政治上の演説ではない場合にアップロードすると、著作権や肖像権の侵害になる可能性がありますので注意が必要です。
Q5. 選挙カーのスピーカーを使った選挙運動や、街頭演説ができるのは投票日前日の20時までだと思いますが、ネット選挙も前日は20時までなのですか?
A5. 街頭演説は20時までですが、選挙運動は投票日前日の23時59分59秒まで可能です。ネット選挙も同様ですので、20時以降も日付が変わる直前まで活用できます。
投票日前日の23時59分59秒まではSNSの更新をしたり、動画をアップロードすることは可能です。日付が変わるまでは応援している候補者のために選挙運動をすることができます。
ただし、発信内容には注意が必要です。
応援に熱が入るあまり、他の候補者に関するデマや虚偽の情報を発信してはいけません。虚偽事項公表罪(公職選挙法第235条第2項)にあたる可能性がありますので、デマの拡散をしないように注意しましょう。
Q6. 当日は禁止なことばかりで疲れちゃいました。いつまで規制が続くんですか?
A6. 投票日当日の20時に投票が締め切られてからは何を発信してもOKです!お疲れさまでした!
投票を締め切った時間からは投票には影響が無いため、どのような発信をしても問題はありません。候補者の名前や政党名を含んだ発信ができます。
ネットを使った選挙運動に関しては、投票日前日までと当日でできる事や発信できる内容が異なるため、ややこしく感じることもあるでしょう。
しかし、ネット選挙は、うまく活用できれば街頭演説等のアナログな選挙運動よりも候補者の情報を多くの人に伝えられる可能性を秘めています。
応援している候補者がいる方は、一生懸命ネット選挙に臨んでみてはいかがでしょうか。投票先を決める上でも、候補者のネット上での発信は参考になると思います。
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(執筆協力:佐々木ダイスケ)
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