4月18日に行われる富山市長選挙に向けて、自民党は党としての候補者を一本化するために党員投票、議員投票及び世論調査による予備選挙を実施しています(1月20日告示、31日開票)。
今回の予備選挙には届け出順に富山市議会議員の舎川智也(しゃがわともや)氏(47)、富山県議会議員(富山市第1選挙区選出)の種部恭子(たねべきょうこ)氏(56)、富山県議会議員(富山市第1選挙区選出)の藤井大輔(ふじいだいすけ)氏(48)、富山県議会議員(富山市第1選挙区選出)の平木柳太郎(ひらきりゅうたろう)氏(36)富山市議会議員の久保大憲(くぼひろのり)氏(42)、富山県議会議員(富山市第2選挙区選出)の藤井裕久(ふじいひろひさ)氏(58)の6名が立候補しています。
富山市長選挙には現時点で9名が立候補の意思を表明しており、上記の6名の他には元富山市議会議員の島隆之(しまたかゆき)氏 (58)、元衆議院議員・富山維新の会代表の吉田豊史(よしだとよふみ)氏 (50)、共産党県委員会などが組織する「市民が主人公の富山市政をつくる会」代表委員の高野善久(たかのよしひさ)氏 (69)も立候補を表明しています。
富山県は、2017年の衆議院選挙では県内の3つの小選挙区で自民党の候補者が相手候補の比例復活を阻み議席を占め、2016年・2019年の参議院選挙でも富山県選挙区は自民党の候補者が当選してきたほか、自民党によれば有権者に占める自民党員の割合が日本で最も高い県であるなど、いわゆる「保守王国」「自民党王国」の地域でした。
富山県議会の議席構成をみても、全40議席のうち過半数を大きく超える33議席(会派名「自由民主党」「自民党新令和会」の合計)を自民党系の議員が占めており(富山県議会・会派別議員紹介)、県庁所在地の富山市議会の議席構成も全38議席のうち18議席が会派「自由民主党」で占めています(富山市議会・会派別議員紹介)。
今回の予備選挙に立候補している6名の顔ぶれを簡単に紹介します。
富山市議会議員の舎川智也(しゃがわともや)氏は富山市出身の47歳。富山第一高校を卒業後、富山信用金庫に25年間務めたのち、2016年の富山市議会議員補欠選挙で初当選し、翌2017年の富山市議会議員選挙で再選、2019年3月には富山市議会議長に就任しています。
富山県議会議員(富山市第1選挙区選出)の種部恭子(たねべきょうこ)氏は富山市出身の56歳。富山医科薬科大医学部医学科を卒業後、黒部市民病院での勤務、富山県済生会富山病院産婦人科医長などを経て、2019年には医療法人社団藤聖会女性クリニックWe!TOYAMA代表に就任。2019年4月の富山県議会議員選挙(富山市第1選挙区)で初当選しました。
富山県議会議員(富山市第1選挙区選出)の藤井大輔(ふじいだいすけ)氏は富山市出身の48歳。大阪大学経済学部を経て、株式会社リクルートに就職。2004年にフリーマガジン「R25」を創刊、現在は富山市新庄地域で株式会社アポケアとやま専務取締役を務めています。2019年4月の富山県議会議員選挙(富山市第1選挙区)で初当選しました。
富山県議会議員(富山市第1選挙区選出)の平木柳太郎(ひらきりゅうたろう)氏は富山市出身の36歳。東京学芸大学教育学部卒業後、株式会社アイバックに入社しました。その後株式会社LearnPutを設立、代表取締役に就任します。2012年の富山県議会議員補欠選挙に28歳で立候補・初当選、2015年と2019年の富山県議会議員選挙(富山市第1選挙区)でも連続当選し現在県議3期目です。
富山市議会議員の久保大憲(くぼひろのり)氏は富山市出身の42歳。国立名古屋工業大学工学部卒業後、土木コンサルタント会社で5年間勤務したのち富山県議会議員奥野詠子氏の秘書を経て2017年の富山市議会議員選挙で初当選しました。
富山県議会議員(富山市第2選挙区選出)の藤井裕久(ふじいひろひさ)氏は富山市(旧婦中町)出身の58歳。工学院大学工学部建築学科卒で、これまでに富山青年会議所理事長、日本青年会議所富山ブロック協議会会長、富山市南商工会理事などを歴任してきました。県議としては2011年の富山県議会議員選挙(富山市第2選挙区)に立候補し初当選して以来、2015年、2019年にも当選を重ねて現在県議3期目です。
そもそも予備選挙とは、本選挙の前に候補者を絞りこむために行われる選挙です。世界で最も有名なのは4年に一度のアメリカ大統領選挙に向けて行われる共和党・民主党の指名獲得のための予備選挙で、年~数か月単位の長期的なスパンで行われます。
一方、日本では予備選挙が地方首長選挙に向けて行われることは珍しく、過去に自民党総裁選挙において1978年と1982年に行われたことがありましたが今回の富山市長選挙のような地方首長選挙に向けた予備選挙は他に類を見ません。
今回の予備選挙に関して、自民党本部関係者に話を聞くと次のように語りました。
首長選挙での予備選挙は初めてだと認識している。この予備選は知事選挙からの一連の流れの中で開催されているもの。知事選の余波が残っているといっても過言ではない。
富山県は県民の中の自民党員の比率が最も高い県であり、自民党としての「優良県」。その優良県として、ある意味の油断もあったことが全体として昨年の知事選のような結果を招いてしまったのではないかとも考えている。実際、組織としての弱点というか課題のようなものが浮き上がってきてしまったのも事実ではある。
このままでは、知事選を端緒とした分裂が党活動全般に影響してしまうのではないかという懸念があり、やはり全党員一眼となって、老・壮・青・男性・女性、全てを含めた意見を聞き入れ市長選を戦うとともに党の結束の修復を図っているのだと思う。こうした動きをほかでは見ることはできないので、評価できる。
富山県では昨年10月の県知事選挙において自民党所属の議員の中でも支持・支援先が分かれる「保守分裂」の構図となり、結果として自民党富山県連が推薦する現職候補を新人候補が破りました。このことが4月に行われる富山市長選挙にも大きく影響しているようです。
今回の富山市長選挙予備選挙では立候補した6名全員が候補一本化への協力を誓約しています。予備選挙の投票結果は1月31日(日)に開票され、富山市在住の党員による党員投票40ポイント、議員投票40ポイント、電話による世論調査票20ポイントにおける合計ポイントが最も多かった候補者が4月告示の富山市長選挙の自民党候補者となります。
予備選挙に立候補した6名を含む9名が立候補を表明している富山市長選挙。今後の情勢はどのような動きを見せていくのか、引き続き注目です。
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