アメリカ中間選挙が終わってまだ間もないですが、早くも2020年大統領選に向けた動きが活発化しています。今回は大統領選に向けた流れを簡単にまとめたいと思います。
アメリカではあらゆる選挙で予備選が行われています。予備選とは、本選挙を前に党候補者を決めるための選挙です。政党執行部の意思決定が重要な日本と異なり、アメリカでは党候補は有権者による選挙によって行われます。そのため、しばしば政党幹部の意向と離れた候補者が善戦するのが面白いところでもあります。たとえば、2016年大統領選予備選では共和党ではトランプ氏が、民主党ではサンダース氏が善戦したのが好例です。
このように、大統領選候補者はまず、2020年2月から各州で数か月かけて行われる予備選において勝ち残らなければなりません。従来ではアイオワ州やニューハンプシャー州といった小さい州から始まり、3月のスーパーチューズデーと呼ばれる一斉予備選挙や、6月の最大州カリフォルニア州予備選を経て、7月には決着するというのが大きな流れでした。しかし、2020年選挙では、カリフォルニア州が大幅に前倒しされることが検討されています。これによって、広告など多額の選挙資金を早期に獲得できる知名度の高い候補が一層有利になることが予想されています。その結果、2019年に準備を本格化させる動きは一層強まるでしょう。
そして、予備選挙を勝ち上がった候補と民主党、共和党以外の候補によって、11月に本選挙が行われます。
大統領選で重要なポイントはなんといってもトランプ大統領が再選できるかという問題です。予備選挙で勝ち上がらなければならないのは大統領も同様です。とはいえ、通常では現職の大統領が自党から出ているときは、主要候補は出馬しません。今回も反トランプ候補としてミット・ロムニー上院議員の名前が挙がっていますが、中間選挙で共和党候補に投票した有権者のうち、80%以上はトランプ大統領を支持しています。共和党内で反トランプはそれほど盛り上がっておらず、このままいけばいつもどおり現職トランプ大統領が共和党候補になるでしょう。
そして、本選挙でトランプ大統領に勝てる民主党候補が出てくるかという問題があります。こちらは一層予測が困難ですが、2016年選挙におけるクリントン氏のような本命候補は今現在ではいません。このことはトランプ大統領を有利にするでしょう。また、1996年のビル・クリントン大統領や、2012年のオバマ大統領は、いずれも直前の中間選挙では敗北しましたが、大統領選では勝利しています。このように、トランプ大統領は依然として有利な位置にあるといえます。
ただし、民主党には武器があります。過半数を占めた下院における議会調査権の活用です。トランプ政権は、自身の納税や、家族の利益相反、2016年選挙の疑惑といったスキャンダルが依然として続いています。民主党は、議会調査権を活用することによって、関係者を議会公聴会に召喚して疑惑を追及したり、資料を提出させたりすることができます。それによって、大統領の支持率が下落することは十分に考えられます。
以上、大統領選の流れを簡単にまとめました。2019年は、大統領選候補者の出馬表明や準備が活発化し、また議会ではトランプ政権追及が本格化するでしょう。ますますアメリカ政治から目が離せなくなります。
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