昨年のアメリカ中間選挙はおおむね民主党の勝利に終わりました。そして、2019年には早くも2020年大統領選に向けた戦いの火ぶたが切って落とされようとしています。今回の記事では、2020年大統領選に向けた民主党の動きについて解説したいと思います。
2016年選挙では、ヒラリー・クリントン氏という、元ファーストレディの知名度や就任すれば初の女性大統領という話題性を兼ね備えた候補がいました。しかし、今回の大統領選にはそのような候補は今のところいません。知名度という点では、ジョー・バイデン前副大統領やバーニー・サンダース上院議員といった候補が現時点で支持を伸ばしています。しかし、彼らはいずれも70代後半であることに加え、新味に欠けるという問題があります。他の候補を見ると、かつてのオバマ大統領のようなスター性に欠けているといえるでしょう。
また、民主党には現在深刻な路線対立が存在します。一方では、サンダース議員や最年少下院議員誕生で話題になったオカシオコルテス氏のような、国民皆保険や環境保護を訴えるリベラルな議員がいます。しかし、もう一方では、ペロシ下院議長のように状況次第では財政支出削減を訴える議員もいます。ペロシ議長らは既に財政支出削減を求める議会規則案を提出していますが、オカシオコルテス氏らは反対しています。
このように、民主党はいかに現職トランプ大統領と戦えるスターを見出し、さらに党内の対立の妥協点を見いださなければならないという課題を抱えているのです。
ここからは主要候補と目されている人たちの動きを見ていきましょう。
まず出馬に向けた動きを本格化させたのがエリザベス・ウォーレン上院議員でした。彼女は、元々ハーバード大学の教授で、格差問題や金融業界への批判や追及で知られる民主党の中でもリベラルな名物議員です。ウォーレン氏は主要候補の中でいち早く準備委員会を立ち上げ、Twitterでも支持を呼びかけました。
しかし、支持は大きく低迷しています。直近の調査では3%にとどまっています。また、民主党地盤の州選出でありリベラルな政治姿勢で知られることから、超党派的な支持を獲得できるかという点について懸念が残ります。
今現在支持率の上で優位に立っているのはオバマ政権期の副大統領という知名度を誇るバイデン氏です。バイデン氏は昨年大統領選出馬に向けた意気込みを多く語っていました。今後、ウォーレン氏に続いて準備を本格化させるかどうかが注目されます。
しかし、先述の通り、バイデン氏は76歳と、72歳のトランプ氏以上に高齢です。加えて新鮮味がなく、トランプ氏と戦えるかという点で不安が残ります。
オローク氏は先の中間選挙で、共和党の地盤であるテキサス州において2016年大統領選挙にも出馬したテッド・クルーズ上院議員と接戦を演じたことで話題になりました。日経新聞の調査によれば、民主党候補の中でトップのtwitter拡散力を誇りました。また、注目すべきは、政治資金の獲得能力です。オローク氏は選挙期間に小口の寄付を中心として総額80億円にものぼる政治資金を獲得することにしました。こうした知名度と資金獲得能力は大統領選において極めて重要になります。
しかし、オローク氏はクルーズ氏に負けてしまいました。その結果、現在連邦議員ではなくなっています。また、過去には連邦下院議員を務めたのちに連邦上院議員や州知事を経由して大統領に就任した人物は数多くいますが、主要政治ポストのうち連邦下院議員のみの経験を有する大統領は19世紀のガーフィールド大統領が最後です。このように、政治キャリアという点において物足りないと言えます。
このように今現在かつてのヒラリー・クリントン氏のような有力な候補は民主党にはいません。2019年に支持を拡大できるかが、大きな課題といえます。
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